見出し画像

広告の裏



僕: 姉ちゃん、本ばっか読んで
   将来何になりたいと?

姉: はあ?
   なんで何かにならないかんとよ

僕: 僕が赤ちゃんやった頃から
   ずっと小説ば読みよったっちゃろ?
   ほんで今は子育てしながら
   まだ小説ばっか読みよるやん

姉: うん
   それがダメなん?

僕: いや、、それを活かしたいとか
   思ったことないん?

姉: ないよ、読みたいだけ

僕: とんでもない量やん
   町の小さい図書館分くらい
   読み漁ってきたんやない?
   もったいないとか、思わんの?
   発信する側に、なりたくない?

姉: うん?
   しつこいねえ、あんたも
   あたしがこの世に向けて発したいこととか
   なーーーんないっち
   もうずっと前から言いよるやん

僕: 強いて言えば何?
   なんかあるやろ、流石に

姉: フェミニストみたいな
   イキリ散らした女には
   もうちょい黙ってほしいってことかな

僕: それ姉ちゃんになんか関係するん?

姉: するよお!

僕: せんやろ笑

姉: 女はね、ちょい差別され気味で
   弱者くらいに思われてた方が
   コスパ良いんよ
   社会進出とか言ってゴリゴリ働いて
   本読む時間なくなったら困るやん

僕: 姉ちゃんそういえば
   就活の時、最初は
   CA受けまくってたよね
   ゴリゴリにエロい女アピールして


姉: ははは笑
   あの頃めっちゃ色気づいてたかも笑

僕: なんでCA諦めたん?

姉: グループ面接の時ね
   こいつブスで性格悪そーって奴が
   なんかすっごい熱量で語っててね
   わあ、ブスこえ〜って思ってるうちに
   どうでもよくなって退出したんよ

僕: ふうん
  姉ちゃん、なんか就活の最後の方
  タウンワーク読んでたもんね

姉: うん、バイトは楽しいっちゃもん

僕: 正社員とか管理職とか興味ないん?

姉: ないね
   ウンコみたいな部下を管理とか
   考えただけで吐きそうやん
   決められたことをこなすだけでいい
   身軽な環境がいいんよ、あたしは

僕: ふうん
   働き方は身軽やけど
   限界集落にどっしり腰据えてるやん

姉: あたしはこっから出たくないもん

僕: 宿便やないんやから

姉: 結婚してちょっと🤏出かかったけど笑
   すぐ引っ込んだ

僕: それで良かったんかな?

姉: さあ、あたしはあんたみたいに
   いちいち振り返って
   一晩中悶々としたりせんから

僕: そっか



姉: ねえ、なんであんた音楽せんの?

僕: なんでって、、
   わからんちゃ、そんなこと

姉: ふうん
   あたしに小説書けって言うくらい
   ナンセンスなことなんやろね

僕: 僕が活動しようがしまいが
   どうでもいいやん

姉: そうね
   やけど
   何かを発信したいっちゃろ?

僕: さあ

姉: 大して上手くもないのに
  全校生徒の前で歌いまくってた子が
  何も発信したいことないと?笑

僕: 、、ない

姉: うそやん笑

僕: ないんよね、よくよく考えたらさ
   他人に認めさせたいこととか
   他人に認められたいこととかないし
   他人と思えない人に対しては
   わざわざ書かなくても
   通じ合うわけやし

   ただ
   表現したいその、題材というか
   記憶の源泉みたいな
   大事な思い出の断片から来る、、
   感情を示したいなと思うし
   それを自分で見てみたい

姉: それを書いたらいいっちゃないの?
   お気持ちの、表明笑
   くぼみのお気持ち

僕: 書けん

姉: 読書感想文すら書けんかったもんね笑
   本読まん男子が書きそうな感じで
   毎回代筆してあげたの懐かしいわ

僕: 難しいやんか、自分の感想捉えるの
   常に動いてるもんやからさ

姉: はあ、、
   とりあえず下書きでもいいけん
   書いたらよかろうもん
   広告の裏にメモする感じで

僕: ヤフコメみたいな執筆サイトには
   わりと投稿してるんやけどね

姉: ふうん、読者の反応は?

僕: ないよ、コメント欄閉じてる

姉: は?何がしたいと?笑

僕: 僕のこと何も知らんやつに
   ガチャガチャ言われたらいややん

姉: じゃあ広告の裏に書いとき

僕: 新聞🗞️とってないんよ

姉: 知らんちゃ笑
   あ、子ども帰ってきた
   カレー作らないかんけんまたね

僕: 宿便なだけに?

姉: うるさい黙れ

僕: 姉ちゃん、LIN◯のトップ画
   花じゃなくなったんやね
   何このよくわからんピンクのモナカ笑
   、、うわ銃やん、怖っ笑

姉: 花ばっかやとメンヘラと思われるやん

僕: 植物の生殖器官を接写とか
   バチクソにキモいしね

姉: その感覚が気持ち悪いわ笑
   またね、切るよ



-----広告の裏----- 
国語の先生のドッペルゲンガーを見たこと
レコード好きの叔父さんが自殺したこと
じいちゃんの特許について
ドラムの先輩が電車と接触したこと
元同僚の自殺を知らされたこと
行方不明の友人がまだ見つからないこと
底辺まで行く勇気はないけれど
大地の窪みがあれば潜り込んで
そこから誰かを鼓舞してみたいこと
必ずいつか死に至ること
ここまで読んどいてスキを押せない人は
貧乏でゆとりがないんだなということ
それはコープの弁当に
半額シールを貼ってもらえば済むということ
-----広告の裏------

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?