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大きい声

ついにというか、やっぱりというか
日本に帰って僅か数ヶ月で
社内で[大きい声]を発動

電話口の向こうには取引先のババア
女性社員みんな迷惑してるという、お局
そんな予備情報を仕入れていなくても
多分結果は同じだったろう

恫喝にならぬよう細心の注意を払い
久しぶりに声帯を解放する
バンド練を思い出した

数分後にまたかけ直す
双方の至らない点が整理できた
お局という
鼻つまみものになる姿を想像した
[いつもの声]で謝った
お局は振り幅にビックリしていたが
殴り合った後みたいに
妙にフレンドリーだった

翌日
口の悪いことで知られる拠点長まで
妙にフレンドリーになっていた
口数が少ないことで知られる副拠点長は
妙にメランコリーになっていた
敬語になったり命令口調になったり、変だ
僕の[大きい声]で
磁場が狂ってしまったのかもしれない


-くぼみちゃん!-
-通勤途中にノーツ読んでるよ!ノーツ!-
-くぼみちゃんのまんまで笑えるわ〜笑-

と、電話口の向こうから
北緯1度のサイゼリアでのくっちゃべり
あの時と同じ声がする

ざっくりした理解で
noteをノーツと言ってしまうあたりが
親戚にバンド活動を応援されてるみたいで
めちゃくちゃ恥ずかしい

こちとら
メタバース空間を演出して
アバターを一人歩きさせる
そんな暖簾でやってるのに

現実世界の言動と同じ

とか指摘されてしまうと
調子が狂ってしまいそうだ


大声で叫べばロックンロールなんだろう
そんなクソみたいな話なら
もうたくさんだよ

自分の立ち位置なんてどこだっていいから
目の前の景色を全部塗り替えるのさ
新しい世界/Asian Kung-Fu Generation

-髭ダンみたいな産業ロックはねぇ、、-

と、どっかの大学の軽音楽部の女の子が
駅前の手相占いのようにモゾモゾ話していた

いや、まだ産業ロックなんて言葉が
軽音楽部の間で使いまわされてることに
いと、いみじかりけり

有名になり多数に支持されて
産業化、即ちポピュリズムに染まる過程
端的に言うとJポップと化したロックバンド
そういうバンドに対して使う言葉だ

髭ダンやKing Gnuが
ロックバンドを自称してるかどうか知らない
仮にそうだとしたら世の末だし
そんな世紀末にこそ
聖飢魔IIみたいなバンドが
ひょっこりとまた出てくるかもしれない

この曲の歌詞の表層だけ齧って
インドネシアへ踏み込んだ
学生の時のあの衝動も

ついでに出てくるのかもしれない
いつ出てきてもいいように
投資を怠らぬよう
細心の注意を払っておきたい



産業ロックだろうが
めんたいロックだろうが
カリスマ会社員だろうが
カリスマ主婦だろうが

要はそれを背負えるのかということだ

タグを貼るとかそんな生温いことじゃない
そこから派生するイメージまで
全部ひっくるめて背番号として
後ろに縫い付けてしまう

背負うというのはそういうことだ

少なくとも
Asian Kung-Fu Generation は
邦楽ロックの全てを背負ってる
それはこの曲を聴けば分かる
分からないからと言って
あなたを仲間外れにしたりはしない
それくらいの覚悟のある楽曲だ

ロックがクスクス🫢の文脈で使われようが
ポエムがクスクス🤭の文脈で使われようが

誰とも敵対はしない
ぶっ◯すぞ!と叫ぶかもしれないけど
ぶっ◯す対象は身体ではなく
あなたの殻だ

LINEなりメールなりすると
僕の文章から[大きい声]を感じる人が
時々現れる

そして会った時に勝手にギャップを感じて
勝手に指摘して勝手に盛り上がっている

僕は[いつもの声]で書いているのに

ということは、あなたの声量が
ちょっと🤏小さすぎるのかもしれない

細心の注意ばっか払ってるから
緊張して思うように振動しないのでは🤨

僕はそう睨んでる
いや、睨んではない
瞬きをせずに

ジッと見てる

世界が変わる様を

メイクを落として
[美人]から[いつもの顔]になる瞬間を

翌日
妙にフレンドリーになることを想像する

メランコリーなパンティーラインも
セックス中の[大きい声]も

想像しても良いかどうか
まずは電話口で相談する

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