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それが行動に変わる時

1回の表に10点入れられた

勝負は決したその裏の初打席

フニャンと失速するレフトライナーを放つ

レフトが前進して前進して捕球

彼はその時

万が一相手がエラーしたら2塁を狙えるよう

一塁ベースを蹴って、睨んでいた

何点差つけられようが

得点が入るように

失点を抑えるように

即ち

勝つ可能性が1%でも上がる行動を取り続ける

きびきびとしたプレイというより

規律のとれた、よく訓練された行動に見えた

Take Action の、Action に相当する

試合に出て野球を楽しみたいと願って

それを信じて大真面目に練習する彼を

クスクス笑うする奴はいたんだろうか?

田舎だし、いたんだろうなと想像する

彼が跳ね返し続けてきたであろう

ねっとりした視線とかも、想像する

そうこうしてる間に、目から我慢汁が出る

そうやって僕らはまた一つ

ただただ部活で野球を行っている若者を

好き勝手にこすり散らかしてはドラマ化する

茶道部とか、卓球部とかも頑張ってるけど

何故かドラマの撮れ高は少ないらしい

なんで野球だけこんなにドラマ化するのか

それは

組織の勝利のために潔く個を消す

軍事行動だからに違いないと確信している

作戦を遂行する兵士みたいで

野球って

それ自体はエンタメ性がない気がする

統制が取れた行動や

組織の為に身をペッパーミルにする行動

行動それ自体は、愉快なものでもないし

どちらかと言うと無味無臭だ

行動に自分の色を出しまくったら

そもそも組織として成立しない

色とりどりのユニホームの小団円が

個を消して所属する組織の為に行動する

冷静に考えれば考えるほど

茶道部や卓球部より遥かに地味だ

だからかもしれない

想像で好き勝手に彩りを与えようとする

去年発見したこの動画を

また今年も見に来てしまった

最善の行動を取ろうと

2塁を見据える彼の表情を

ついつい確認しに来てしまう

来年はきっと

彼に感動して視界がぼやけてしまうあまり

目測を誤って前進が遅れて

レフト前ポテンヒットになってる

ガッツポーズや叫び声はなく

オーバーランの勢いそのまま

一気に2塁ベースに滑り込む

そう確信している

野球という遊びから

野球という行動に変わる時

見ている僕らの想像も変わる

こする、こする、一皮、剥ける

こりゃ、いつまで経っても

戦争映画がなくならないわけだ

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