あの頃の放物線を

「立ちション(立ち小便)をしたことがありますか?」

私は初めて会った人とかに何となく聞いてしまう質問の1つがこれです。

子供のころの話とか、育った環境とかに興味があるのかもしれません。


私は、地方都市の住宅地で育ちました。住宅地には点々と空き地があり、近所の子供たちは空き地で立ちションをしていました。時には、何人かで並んでしたりもしました。稀に野グソをする子もいました。
あの頃あの地域では、飼い犬のおしっこにペットボトルの水をかけるなんてことは、とてもナンセンスでした。

私より4~5歳若い方で、川崎で生まれ育ったという方は、一度も立ちションをしたことが無いと言っていました。

「やっぱり、空き地とか無いから?」

「いや、空き地は無いことはないですけどね…」

「多摩川とかできそうだもんね」 みたいな会話をしました。
一度も、か。きっと一生ですね。


バカリズムさんは、自分の家のリビングで服を着たままおしっこをするということを試したことがあるそうです。

「服を着たままおしっこをしたらダメだと体が思っているらしくなかなか出ない」そうで、

「それでもやってみたら、えもいわれぬ開放感があった」とのこと。

理性が押さえつける力って意外とすごいんですよね。

子供の頃は、開放感が理性を上回っていたのか。


あの、草花に栄養をあげている感じ。

風向きを読んでやる感じ。

でも足にちょっとかかってかゆい感じ。

きれいな放物線を描こうとする感じ。


何かその光景が、美しいとまで思いますね、今となっては。

トイレで座ってするようになってもう久しい。

私は、あの放物線を今でも描けるだろうか。


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