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春はオバスマ ようよう白く

なりゆくかどうかはわからない。

3/1 池袋 あうるすぽっとにて
「OVER SMILE」
観劇させていただきました!
公式リンク↓

 観劇始めるようになってから一年と約5ヶ月になり色々なご縁で繋がった方から、
「タンタンさん。ボクラ団義の作品ならOVER SMILEが凄くいいよ」
と教えられ、DVDもあるよと聞きつつも前しか見えない猪突猛進オタクと化していた私はなかなかそのおすすめ作品に触れられずにいたところ昨年12月に発表されたOVER SMILE再演のお知らせ。
このチャンス逃してなるものか、と私は初めて見た観劇作品である男塾以来ぶりに初日のチケットを取らせていただきました。この熱、アツアツのうちに行かなくては、と見させていただきました感想


めちゃくちゃよかった

えっ、え〜もう世界が良すぎる……レッドエイジもユーリブルーもグリーンステイツもそれぞれの狙いや願いに絆だったりが重なり合ってはぶつかって、それを中心で見守っていたはずが段々と戦いの渦の中心となっていく医師サイド、あちこちを巡りつつ戦いの悲惨さを体感していく恵太と弥生に今現在その世界全体の記憶を内包している時を巡る老人に謎のウェイトレス、そしてそんないいもんじゃないと自笑しつつ人々に"力"を与える祈り師……。
序盤の喫茶店のくだりからまさかこんなに世界が広がるとは思わなかった。話のスケールが大きすぎる。だけど、けして飲み込めず、俺のポケットには大きすぎらぁ‼︎て放棄せずに話にグッと神経を集中させ続けられたのは演者の皆様の引き込む力、そしてとにかくお話の面白さと展開のうまさ、照明や衣装舞台美術に小道具の三位一体、プラスに運営サイドの信頼と実績があるからだろうなーと舞台の内容に対する余韻がひいたかと思うとそういった制作サイドに対する想いが寄せてきて寄せては返して寄せては返すというなんかとてもいい心地になりました。春の海ってこんな感じだよね。

・今までの認識が本当に正義か否か

色ってそれ単体でヒーローかヴィランかとか熱血系クール系のイメージがつくんですよね。
ホグワーツもしかり、ディズニーも昔の作品ではヒーロー色、ヴィラン色っていうのを指定で色分けしていたり。(※キムポッシブルの制作インタビュー)。私がふれた多くの日本作品だと特撮のイメージが今作も色の戦い!て文字見た時はうーん、血気盛んな赤に秩序を重んじる青、平和を望む緑かな……とぼんやりイメージしてたら

知らない人間かっさらってとりあえず飲み会おっ始める赤。

気分乗らないから仕事をパスすることが通る青。

バチボコ格差社会国内国外死傷者数トントンの緑

そ、そうきたかぁ〜〜……。
ボクジェネで恵太役の木村さんがレッドエイジはどこでタバコ吸ってもオッケー!ていうのがなんとなくわかった。一番隊隊長からして陽キャがすぎた。明るい職場です‼︎

そんな前提を出しておいてそこを構成する人々は十人十色。ただし皆共通しているのは歌も踊りも知らない、戦うことでしか何かを得ることはできないと思っていることが結局戦いを続けさせているというひどい状況でシュフやレオナは戦いを嘆いてる側だけど結局この考えに縛られてるから何もできないというのがつらい。全部の行動の選択肢の原点が戦いだからそこに関係がない、わからないものはそもそもを認識することができないっていうのがなんか色々な情勢だったりに結びつくようで、パピコ達のところでスーが歌ってなに?てきくとこは二重につらくなりました。
そんな戦いの中でもたとえばチョウロンがエンブをかばいつつ戦ったりだとかレイがスーに話すときには目線を合わすためにしゃがんだりだとか、ユリウスがスーを助けるために覚悟を決める部分も、こんな世界でもタカマツが医師を続けてたりすること、レオナが許し許されバタクを受け入れたこととかそんな中でも人の可能性というか想い合う気持ちというのが消えてないのがあの後の世界では希望になるのかなー、とおもう。レイとスー、二羽の鳥の声をみんなが聞くことができる社会。そして時をかけるリッチモンドはスーの声が届く未来になるように過去に伝え続ける……
慶太と弥生がこの課題(レポート)を受け取り話が終わるっていうのがもう話の結びとして美しすぎたし、美しくてとても重い。
涙に重力を感じました。

・3人の代表

聞こえない少女スーが手話で言葉を話す。
だから目を逸らされるのは拒絶を受けるのと同じ。
この作品て相手の言葉を聞く聴覚と同じくらい視覚がすごい重要な要素だと思いました。
で、そういえば三国それぞれの代表ってそれぞれ見る部分に話の要素があったなーと気づいたんです。

レッドエイジのシュフ総督は国内外の情勢を嘆きつつ、犠牲者の数々に目を凝らしてはいるけどどうにもできない。その結果、一番の身内の裏切りを見抜けなかった。
 
レオナは顔を隠し続けた結果、自身の時の流れによる変化を直視することができなくなってしまい、そんな思いも全て隠すように目を隠し続け、コンプレックスとなってしまった。

ドナルドはケンタッキー家の繁栄にこだわり続け他のものは顧みずにそれだけしか見ていなかったために、最愛の妹が偽物であるということも気付かなかった。

国の代表はそれぞれその言葉には大きな影響があることは間違いなくて、その言葉を届けるにはあいてにきちんと向き合うことが重要になってくるんですよね。
シュフ総督はミヤビときちんと向き合えたからこそ嘆くことをやめ、許しの言葉をかけることができた。
レオナは己と向き合い、最初とは違う声音で、エンブも、そして世界も受け入れた。
ドナルドは改めて自分の国と向き合い、リッチモンドにグリーンステイツの代表として指示を出せた。

悲しいし、現代側の恵太や弥生側からすると辛い未来なんですけど、3人の代表がこうして相手を見て、世界を見て、言葉にだせたことであの時代にもこれからまた希望はあるんじゃないかと思うんですよね。
ただそこに至るまでの犠牲があったというのはどうしたって解せないというか、スーもレイもどれだけの想いで生きていたかっていうのを観客として見ていたのでもっと別の未来の道を探したくなる。リッチモンドだっていつまで生きているかわからないだから。


・能力者とは

なるべく優しい人を能力者として選んでいる。
今作で能力者として出てきたのかスー、リッチモンド、エンブ、ウェイトレスなんですけどこの能力の条件ていわゆる共感力なのかなーて思いました。エンブの能力は戦闘には役に立たないて切り捨てられていたけど実際みんなが戦いをやめられたのはこの力により共有できたからですし、スーの寿命を削ることによりみんなの時を止め、命をつなぐことも。リッチモンドとウェイトレスが時をかけて繋いでいくことも。時代や国を問わず、誰かと共感できるって一番のコミュニケーションだと思います。辛いことも楽しいことも共感できるといい。けどこの作品ってその共感のために犠牲が伴っているのがミソというか……

だからこそスーとレイの二人の対話のシーンは今作でも、時代を問わず、もっとも純粋で素敵な対話シーンでした。

各キャストさんのここ好きポイントはまた千秋楽後にまとめます!

みんな、オバスマ堪能しようね!

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