Physical_Birth_House_-ママ療法士出産体験記-_Vol.4_ゆかこさん-前編-

Vol.4 ゆかこさん出産体験記-前編-

Physical Birth House-ママ療法士出産体験記-

今回のゲストは、ゆかこさんです!

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出産体験記を話していただく当事者(ゲスト)の方には★がつきます。

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めぐ)今回はゆかこさんをお迎えしました。ゆかこさんは理学療法士で、旦那さんは看護師さん!夫婦でフリーランスだそうです。


ゆかこさんは3人出産されていますが、なんと3人とも出産体位が違ったとか!色々聞いていきたいと思います。


★ゆかこさん)
皆さんよろしくお願いします。


めぐ)ゆかこさんには事前に出産体験記アンケート、通称マタ戦記にお答えいただいております!!!


パーソナルデータ


パーソナルデータ                                     名前:ゆかこ
第一子出産時の年齢:28歳
出産回数:3回                           分娩方法:フリースタイル分娩
第一子妊娠前からある不調:特になし
第一子産後のトラブル:退院後2カ月恥骨痛、その後腰痛
分娩姿勢:
第一子:布団で側臥位
第二子:背臥位(3390g)
第三子:四つ這い



分娩姿勢での違い


ささまや)一人目を左側臥位で、二人目を背臥位で出産されたんですよね…!側臥位で出産した時の産後トラブルとの関連性について、ゆかこさんが思うことがあれば教えていただきたいです!


★ゆかこ)
第二子出産して入院中はとにかく仙腸関節痛がひどくて、側臥位でも背臥位でも腹臥位でも辛かったですね。
あとは産後の尿もれに悩みました。
階段や坂道が(振動で漏れてくるので)降りられない。

背臥位で産んだ第二子(3390g)はなかなか出てこなくて、第一子(2804g)より娩出に時間がかかった記憶があります。
頭が引っ掛かったらしく額にアザ作って生まれてきました。
(すぐに消えたけど)


カナ)仙腸関節に痛みがあったのはお二人目の背臥位で産んだ時だけですか?
側臥位や四つ這い位ではそういう症状はありましたか?


★ゆかこ)
横になっていても痛くてたまらない!っていう産直後の仙腸関節痛は第二子の時だけでした。


カナ)大きめの子だったっていうのもあるのかもしれないですけど、やはり背臥位での分娩だと仙腸関節の動きが出にくいのも関係してるでしょうかね…
でも腹臥位でも痛いというのはかなり大変でしたね…号泣


★ゆかこ)
いやー。もう辛かったです。。
大きさも違うので単純に比較はできませんが、仙腸関節が動きづらい状態だったことは大きいと思いますね。


カナ)背臥位で仙腸関節に痛みが出る方はよく聞くんですが、腹臥位でも痛かったというのは初めてなので気になりますね。
(あんまり産直後に腹臥位になる人いないからかもですが…)
側臥位の時は恥骨痛だったようですが、妊娠中とかには痛みはなかったんですか?産後からですか?


★ゆかこ)
産んでお腹が空っぽになったので、ここぞとばかりに腹臥位になりました笑
第一子の後の恥骨痛は産後からです。妊娠中も特に問題なく過ごしました。
思い当たることといえば、産後2〜3日目くらいから階段昇降を始めちゃったんです。6階⇄1階を1日1〜2往復。
入院中は大丈夫だったのですが、自宅に帰って床からの立ち上がりが増えたら激痛でした。


カナ)ここぞとばかりに腹臥位に。笑
寛骨のアライメントに左右差があったのか、まだぽこっとしてるお腹で腹臥位になった時に仙腸関節痛に引き離されるストレスがあったのか…
色々考えられそうですね。
恥骨痛は分娩によるものっていうわけじゃなかったわけですね!
産後2〜3日目から6階まで!


★ゆかこ)
腹臥位での仙腸関節痛は何だったのでしょうね
産んだら身軽でウキウキと動いちゃったんですよねー。
早く痩せたいなーって思ってたし…
妊娠中は『無理しちゃダメ!』って言われるけど、産後って母親の身体って置き去りになる感じがします。
『調子悪い』って言っても『まぁ産後だしねぇ…』みたいな。

戻れるなら第一子産直後に戻って『階段はやめとこ』って自分に教えてあげたいですね。


カナ)たしかに!わかります。一気にお腹が軽くなるの嬉しいですもんね。
階段はやっぱり産後すぐには負担が強いのかもしれないですね…
産後って赤ちゃんのお世話は助産師さんが教えてくれるけど、自分の過ごし方に関しては誰も教えてくれないですもんね。
そこは退院時指導みたいな感じで一言でもプリントででも介入があるといいのかもしれないですよね。


めぐ)産後の運動負荷量に関しての資料は見つからなかったですが、身体活動量のMETsで見たとき、歩行は2~3METsに対して、階段は6~8METsくらいありますもんね。産直後で恥骨結合や子宮を支える靭帯が弱かったとしたら、負荷が強そうですよね・・。


★ゆかこ)
妊娠出産で『理学療法士なのに(自分の)身体のこと何にも知らないなー』ってがっかりしちゃいました。
自分と同じような思いをする人が1人でも減ればいいなぁと思って活動を始めたところです。


めぐ)自分の経験が活動のきっかけだったのですね。
ゆかこさんが選ばれた出産方法はフリースタイル分娩ですよね。
出産経験がなく分娩台でのイメージがやっとなのですが、「自由な姿勢でOK」っていう時って助産師さんの対応はどんな感じですか?
フリースタイル分娩の良かった点、悪かった点などが知りたいです(^^)


★ゆかこ)
助産師は基本的にわたしの動きたいように合わせてくれました。
左側臥位になったところで『足は自分で抱えて。わたしを蹴らないで』という指示がありましたw
息の吐き方や息む時に目をつぶらないほうがいいよ〜とかときどき声かけてもらいましたが、基本的には本能のままに産んだ感じですね。
良かったところは、お布団の上だったので好きに動けたことですかね。
『いざ!』って時まではけっこうゴロゴロ向き変えたりしたような気がします。
悪かったことは特に思いつかないです。


カナ)私を蹴らないで…笑
四つ這いはどうでしたか?その時も自分で産み方を選んだような流れだったんですか?


★ゆかこ)
第三子は別の助産院で産むことになりました。
そこの助産師さんが「四つん這いで産んでください」とのことだったので、その通りにしました。


カナ)そこは指示があったんですね!
単純には比べられないし、それぞれのお産はやっぱり特別だとは思いますが、ゆかこさん的にはどの体位が楽だったとかありますか?


★ゆかこ)
圧倒的に第三子の四つん這いが楽でした。
産直後の腰痛もなく恥骨痛もなく、助産院のご飯もおいしくて…(違うか
3390gの後の3080gだったとか、3度目の出産だったとか、色々あるとは思いますが出産も産後も楽だったのは四つん這いでしたね。


めぐ)ご飯美味しいの大事ですよね!!(違うか


カナ)圧倒的に…!!!
確かに骨盤のどこも床に接してない分、一番制限なく動きますもんね
私分娩台しか経験ないので、いきむ時に四つ這いでいきむイメージがどうもわかないのですが、力は入るものですか?


★ゆかこ)
腰が引けちゃうと赤ちゃんが出てこれないので、「お尻を突き出すように」って指示があったと思います。
ほとんど息まずにつるんと出てきましたよ。
こんな感じ!

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めぐ)この体勢で赤ちゃんがつるんと・・!


カナ)息まずに...!!
ゆかこさんガスケアプローチ受講されてますよね?
受講されたタイミングっていつでしたか?


★ゆかこ)
ガスケアプローチは第三子が1歳半の時に初めて受講しました。
ちょうど仕事を辞めた後で、第一子出産後からベビーヨガや乳房ケアなどでお世話になっていた助産師さんからオススメされて『お!これだ!』ってすぐに申込みました。
第一子妊娠前に聞きたかったなぁというのが率直な感想です。


めぐ)助産師さんがガスケアプローチを進めてくれたんですね!!
「第一子妊娠前に聞きたかったなぁというのが率直な感想」ということは、効果として実感できたのですか?


★ゆかこ)
そうですね。
効果も感じましたし『もっと早くに出会っていれば産後にあんなに大変な思いをしなくて済んだかもなぁ…』と。


めぐ)やはりみなさん自分の出産経験がきっかけの方が多いですよね!


★ゆかこ)
それまで妊娠出産はどこか遠いところのお話だと思っていましたね。


ささまや)私は背臥位でしたが、分娩台が骨盤後傾しやすい設定になってたんですよね。でも四つ這いのツルンと感が気になる!
分娩姿勢って人によってこの姿勢がいいとかあるんでしょうか?
それとも人間の解剖学的にそもそも四つ這いの方が自然なんですかね?


★ゆかこ)
骨盤というより仙骨が動くべき時に動けることが大事なのかと思います。
胎児の頭部が骨盤に入ってくる時と会陰の方に出ていくときに、仙腸関節の可動性が必要だと思うのですが、背臥位や側臥位では仙腸関節が固定されやすいので、四つん這いだとよりフリーなのかも。


ささまや)なるほど!骨盤でイメージしてはだめですね。
仙腸関節が動くって分娩以外では考えられないので、すごいことなんだなぁーと改めて思います。


ガスケアプローチ
ガスケアプローチとは、フランス人女医ベルナデット・ド・ガスケ医師によって確立された、姿勢と呼吸からグローバルにペリネ(骨盤底筋群)に働きかける身体的アプローチです。



四足から二足へ・・謎に迫る!


めぐ)人間の歴史的にどうして今のような分娩になったのでしょうね。四足から二足への進化に伴ってどう変わってきたのか・・。


ささまや)確かに四足動物で走りまわってて、立つようになって、どのタイミングで仰向けで生むようになったのか…。
時代劇とかでは仰向けで生んでますが、天井からぶら下げた紐に捕まったりしてますよね。どれくらい史実なのかは謎ですが、気になりますね!


ゆみっぺ)私もゆかこさんの話を聞いていて、生物的だなって思いました。
動物の出産なんかみてるとウロウロして、超フリー出産じゃないですか。
人間の分娩姿勢が変化していった歴史が気になりますね!


★ゆかこ)
第一子(側臥位)と第三子(四つ這い)は本能のままに姿勢をとれた気がします。第二子は当時2歳9ヶ月の長女が夫と立ち会ってくれたおかげさまで少し気が散ってましたね^^;


ささまや)霊長類に詳しい知り合いがいるので出産姿勢のこと聞いてみます。なぜ背臥位が普及したんだろ…やっぱり処置しやすいからですかね?それとも人間は児頭が大きいのも一因なんでしょうか。


★ゆかこ、めぐ)ささまやさんの人脈・・・!


ささまや) 
さっき見たチンパンジーの記事だと20分くらいでするっと生んでるみたいですね!

https://langint.pri.kyoto-u.ac.jp/ai/ja/k/123.html


ゆかこ)チンパンジーめっちゃ安産!そして感動;;
涙腺弱くなりますねぇ。


ささまや)文献見つけました!

胎児が回旋する分娩が行われるようになったため、母親の顔の向きが誕生する新生児の顔の向きと逆を向くようになり、自分自身で取り上げることが困難になった。そのため他者による出産の介助が必要なったのではないかとRosenberg,とTrevathanは推測している。                                                       引用:骨から見たホミニドの出産の進化史  中務 真人(京都大・理・自然人類)

http://anthro.zool.kyoto-u.ac.jp/evo_anth/evo_anth/symp0206/nakatsuk.html


ささまや)基本的にオランウータンは安産で死ぬ個体はほとんどいないとか。サルも安産だそうです。
進化の過程で立ったことにより骨盤底にかかる圧が変わったこと。
類人猿は出産孔が大きく取れる+子供の頭の大きさが小さいので基本的に安産です。
生まれてくる子供が弱いから社会で協力して育てるようになったと言われていす。


ゆみっぺ)見事なフリースタイル!


めぐ)わあああ!ウロウロ~つるんっ!って感じですね!!


カナ)まさかのニホンザルの出産の流れに…!!!でもすごい!
ニホンザルのお産もしゃがんだり四つ這いになったりして、赤ちゃんが降りてくるのを待ってるの見てると、お産の時の骨盤の動きから考えてもなんか理にかなってるのかも…と感じましたし、ゆかこさんが四つ這いで出産の時に「お尻を突き出す感じで」って指示があったっていうのも、その方が坐骨結節間距離が開くので、寛骨の動きからも納得ですよね。
フリースタイルだと、傷があったときに縫うのが結構大変だと前に聞いたことがあります。


めぐ)まさかまさかのゆかこさん(ヒト)の出産からサルの出産方法へ・・!何事も歴史を知るって大切ですね!
続きは後編で!お楽しみに~!!






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