なぜ医療機関にお金が渡らないのか(その1)

新型コロナの「第3波」、医療現場の状況が報道されるたびに胸が締め付けられるほどの危機感と切迫感に襲われる。

医療従事者の給料やボーナスを保障し、人員増を保障する、つまりは人件費のための予算を国の責任で確保して、感染症に対応できる医療体制をつくる――いま、圧倒的に国民が求めている対策ではないだろうか。

医療機関の収入は、基本的に「診療をした」ことへの報酬となる。感染症対策として必要な人をあらかじめ確保する、ということに充てる費用は、通常の医療からは出しようがない。

新型コロナの影響で、健康診断が止まる、手術を控える、受診控えが広がる――診療をしていないので大幅収入減となり、それはそのまま、職員の給料を払うことが困難という事態を招く。

他の業種のように休業し、休業手当の支払いに雇用調整助成金をあてる、ということも基本的にはできない(一部に事務の職員などで活用しているとは思うが)。

パンデミックという非常事態に、医師・看護師を確保するための特別の手立てが必要なことは明らかで、だからこそ、医療機関からは一斉に「減収補てん」の声があがった。

前年同月(あるいは過去何年間かの平均)の診療報酬を「概算払い」として医療機関に支払うことで、安定的に人件費を支払う保障となる――理にかなった要求だ。本来、これは最低限で、新型コロナ患者の受け入れ病院などには、これに加えて人員増のための費用を上乗せすべきだろう。

しかし、政府が示す予算措置の施策は、「人」には注目していない。感染症患者を受けいれるためにベッドを確保する、施設を整備するなど、ほとんどが「設備」を主眼とするものだ。その予算に「人の配置」も換算しているというが、直接の人件費保障ではない。

これだけの非常時に、医療機関の人件費に税金を使うことを「無駄遣いだ」「給料保障を国がするのはおかしい」などと批判する声があるだろうか。私は国民の中から聞いたことがない。「慰労金」という予算が実現したのも、国民が、医師や看護師に給料を上乗せしてほしいと、強く求めたからこそではないかと思う。

一方で、財務省や政府から「他の業種も減収補償をしていないから、できない」という説明を何度も聞いた。この意見は誰を代表する意見なのだろうか。

「財務省の官僚のみなさん、それはあなたたちのお金ではない、国民の税金だ」「たとえ財務省が妨害しようと、感染症とたたかうための政治決断を内閣がやらずしてどうするのか」

春の「第1波」から今日まで、求め続けている医療機関への減収補てん――12月1日参議院内閣委員会の質疑でもあらためて、今の仕組みでは「ダメ」であることの理由も詳しく示して要求した。

政府答弁を嘆いているわけにはいかない。一人でも多くの方に、ともに声をあげてほしいという思いで、その2として、質問の概要を紹介したい。質問のフル動画はこちら。冒頭が医療問題。