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破滅の美学

最近になって気づいた。
一人あるいはアシスタントさんに
一部を任せるマンガ家さん。
絵を描く人とストーリーを考える人の
共同作業で仕上げる
マンガ家さんがいることを。

野球が大好きだったから、
野球マンガに熱中した。
自分が本格的に野球に取り組むようになって、
野球マンガは、バイブル的な存在になっていた。

たった一本のホームランで
人生が終わったかのごとく
突っ伏してしまう。
命懸けで完成した魔球と引き換えに
投手生命を失う。

野球だけでなく。

数々の試練を克服して、世界戦へ。
対戦相手のチャンピオンを半狂乱に。
最後まで戦い抜き、リングで燃え尽きる。

自分を育てた悪のプロレス組織を壊滅。
平和のおとづれを味わっているところで
いきなりひき逃げ。
これまで戦ってきた証。
正体を教えてくれるマスクはドブ川へ。
力道山が暴漢に刺殺された事件と
ダブってしまった。プロレスマンガ。

鯨のごとく大きな相手の懐に飛び込み
腹を食い破る。
大きな相手は、チームから球界に。
日米対決の最終戦、日本リードの9回、
最強のバッターと対決。
どんなボールを投げても打たれる。
万策尽きた。
最後に思いついたのは、
いままでに編み出した魔球の
全てを一球に織り込んで投げること。
これには、最強のバッターのバットも空を切った。
勝利の喜びを分かち合うために
マウンドに向かったナインの足が止まった。
仁王立ちのまま絶命。

原作と作画の違いがよくわかっていなかった。
最後までハラハラドキドキしながら、結末は。
あの頃は意識をしていなかったが、
どんなに努力しても報われないもの。
そんな呪縛がかかっていたかも。
逆に頑張って、期待したほどの成果が出なくて
安心していたところがある。
あの頃のスポ根ものの多くは、
「勝利」とか「優勝」で
終わったものを知らない。
中には、勝負の一球を投げたところでとか、
打った打球の行方を描いたところで「完」
そんな最終回の流れを
変えるマンガの登場には、
まだ時間がかかった。

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