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学校で鉄腕アトムを教えた

マンガで社会の大切なことは学んできた。
と言い切ることはできないが。

「マンガを読むとバカになる」
「マンガの影響で子どもたちが不良になる」
「悪いマンガは、校庭に集めて燃やします」
そんな時代に、マンガを読むことができたのは幸せだった。
世の中から白い目で見られてきたマンガが
小学校の国語の教科書に載る日が来るとは。

『「アニメーションとわたし」手塚治虫』を
小学校5年生の国語で教えたのは、教員になって2年目。
いまでは、ミッキーマウスの漢字ドリル。
ポケモンの計算ドリル。
クリアするとポケモンのシールゲット。
鬼滅の刃の自由帳。
マンガのキャラクターの
ついていない教科書や学用品を探す方が難しい。

「アニメーションとわたし」は
手塚治虫さん書き下ろしのエッセイ。
子どもの頃のマンガを描き始めたことから、
ノートの片すみに絵を描いて
パラパラマンガを作ったこと。
アニメーションという言葉の語源は、アミニズム。
人間が古から自然と共生してきたことを
教えてくれている。

後半は、子どもの頃の体験と
ディズニーアニメとの出会い。
本格的なアニメ製作に取り組み
苦労の末に作品を完成させた喜びを語っていた。

終末は、鉄腕アトムについて語ってくれた。

「アニメーションとわたし」は説明文。
授業では、
「説明文を読み取り、筆者の伝えたいことを理解する」
ために学ぶ順序が決められている。
だいたい8時間から10時間程度で
子ども達は、学んでいく。
① 新出漢字を読んだり書けるようにすること。
② 本文中の語句の意味が理解できること。
③ 段落に分けて、各段落のつながりを理解すること。
④ キーワードやキーセンテンスを見つけることができる。
⑤ ①〜④の学びを活かして、筆者の伝えたいことを理解する。

当時のマスコミは、センセーショナルに
「教科書にアトム登場」と取り上げた。
現場では、「教科書への落書きが増えるかなぁ」程度だった。
子どもたちもアトムは過去の作品であった。
むしろ保護者の方のテンションが上がっていたような気がする。
結局それ以降マンガを扱った教材に出会うことはできなかった。
マンガそのものが教材として学校で扱われることはないかもしれない。
主人公の言動から、読者が同じ
価値観や感情を共有することは難しい。
「推し」の登場によって、共有しやすいには、「推し仲間」
マンガのストーリー自身も単純な敵味方の対立から、
複雑に入り組むようになった。
いまだにストーリーマンガは国語の教材に載ってはいない。
4コマまんがの例はあるが。

タブレットやスマホの普及で、
マンガ雑誌も売れない時代になってきた。
縦スクロールを前提にマンガを描く時代になった。

ページをめくる楽しさと
ページをスクロールするスピード感。
どちらも楽しめるマンガを読んでいきたい。

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