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われわれは、あしたのジョーである

「巨人の星が読みたい」
父の一言で、少年マガジンがやってきた。
まだ、本屋さんで立ち読みをするほど
心臓が強くなかった。
マガジンは、床屋さんの待合室か
お好み焼き屋さん。
ボロボロになったマガジンたまに眺めるくらい。
そのボロボロのマガジンを父が読んで、
「読みたいか」と父の誘い水。
うなずいた翌日には、
サンデーの上に真新しいマガジンが置いてあった。


パットマンXは、ジョージ秋山のギャグマンガ。
どこな間の抜けた正義の味方。

天才バカボンは、「これでいいのだ」
笑って、全肯定のギャグマンガ。
赤塚不二夫の作品。

無用ノ介は、片目の賞金稼ぎ。
なんと、ゴルゴ13の作者さいとう・たかをの作品。

少年院上がりの矢吹ジョーが因縁の相手、
力石徹と決着をつけるためにボクシングを始める。
最後のシーンは、賛否両論、侃侃諤諤(かんかんがくがく)
なんだかホッとしていた。

当時のマガジンは、
大人向けの作品が多かったと記憶している。
少年院、不良、日雇人夫、貧乏のどん底、賞金稼ぎ、女郎
こんな言葉にあふれていた。
「もう戦後ではない」って言葉が
どこからともなく流れくる。
出征した息子の帰国を港で待つ母親を歌った
「岸壁の母」が大ヒット。
映画にもなっていた。
太陽の塔の輝きを戦後の影の濃さが、際立たせていた時代。

マガジンの主人公たちのストーリーにもどこか
影をひきづりながら、必死に努力して栄光を掴みに行く。
しかし、最後は夢破れてしまう。
マンガの世界も現実とシンクロしてるような錯覚さえ起こさせた。
「われわれは、あしたのジョーである」
よど号ジャック事件の赤軍派が叫んでいた。

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