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相手に歪んだ解釈をさせない為に

永井産業

言葉には反対の意味があり、そればっかり受け取る人がいる。

比較表現による優位性のアピールは、比較対象をサゲていることを意識しよう。

「相手にどう受け取ってほしいか」よりも「相手がどう間違った受け取り方をするか」を意識しよう。

まえがき

はい、たましこです。

何かを表現する時、また、紹介する時、無意識のうちに比較表現を用いることがあります。
ウマい料理を食べたときに「これおいしいね」と褒めたつもりが、「普段はマズいって言いたいの?」と返される話をよく聞きます。
一見理不尽に思えるこの受け答えも、ほめ方を変えるだけで回避できたりできなかったりします。


言葉の反対

言葉には裏が存在します。厄介なことに、裏側から受け取る人が少なからず存在し、そういった状況に限ってトラブルが発生します。
人によって発言をどう受け取るかは様々ですし、この受け止め方が正解!というのもありません。ただ、正解はなくとも「間違った受け止め方」はあります。
受け止めている側がひねくれているだけな場合もありますが、発言の言葉選びに問題があるケースも無いわけではありません。

例えば、家庭で出された料理に対して「これ美味しいね」と評価したとします。発言した側からしたら褒めているつもりなのかもしれません。しかし、受け取る側としては
「(普段の料理と比べて)これおいしいね」と受け取り、「普段はマズいって言いたいのかな?????」と怒る人がいます。
普段の料理は「これ美味しいね」の反対の意味、「ほかは美味しくないね」に変換されてしまいます。
そんなこと言われたら怒ると思います。実際にそう言っているわけではありませんが、受け取る側としてはそう言われたと思い込みます。

では、褒め方を変えてみましょう。
家庭で出された料理に対して「これは一段と美味しいね」と評価してみましょう。先の例と同様の受け取り方をしたとしても、
「これは(普段の料理と比べて)一段と美味しいね」となります。この時、普段の料理の評価は「美味しい」になります。前者と比較しても「マズい」にはなりにくいと思います。

他には、「いつも美味しいけど、今日は特別美味しい」といった表現もありますが、普段からここまで表現するのは大変ですし、疲れます。
普段から少し意識して変えていく程度であれば、「一段と」を付けるだけのレベルでいいと思います。

番外編ですが、上記の発言がマイナスの印象を受ける原因には、人の作ったものを「これ」扱いしているのもあります。
「今日の料理、おいしいね」と変えるだけで印象は若干よくなります。若干。


比較表現、とりわけ「○○なら」を控えよう

よくあります。
「○○なら出来る!」という表現を使うプレゼンはよく見ます。
「弊社サービスなら○○出来ます!」とプレゼンしたとして、案の定、受け取るユーザは「他サービスでも出来るが?」「他サービスは出来ない劣等だと?」となってる事が多いと感じます。
特に既存サービスからの乗り換えを検討してもらう場合には深刻で、「お前らが今利用しているサービスじゃこれは出来ないでしょ?」と言われている様に受け取り、怒ってる人は稀によく見ます。

例として、「塾」の謳い文句を2つ作ってみます。

「ABC塾ならあなたにあった勉強法が見つかる!今すぐご連絡!」
一見普通ですね。普通です。何の問題もないように感じます。しかし、既に塾に通ってる人や講師からは、「今の塾のやり方はダメだって言うの?ウチの塾への文句かな?」というヘイトが生まれます。
いやまさかそんな、と思う人は多いと思います。しかしこの考えに至る人は一定数います。「なら」という表現により無意識に比較を意識させられ、悪い方に受け取った結果です。

「ABC塾あなたにあった勉強法を見つけよう!今すぐご連絡!」
これも普通にありそうですね。しかし、競合するサービスに対するヘイトは前者よりもかなり抑えられています。ヘイトが完全に生まれないわけではありませんが、表現の中に比較表現を連想させるワードがないだけでかなり違うと思います。

比較表現は便利で、物事の度合いや優位性を楽に表現出来ます。しかし、それは同時に他の何かを下げる表現となります。読んで欲しい相手にどう伝わってほしいかも大切ですが、読んで欲しくない相手がどう思うかを意識してみましょう。

「読んで欲しくない相手がどう思うかなんて関係ない、そんな奴の意見なんて聞かなければいい」と思ってる人は、きっと「臭い物を見なかった事にする」人です。
臭い物のにおいは蓋をしない限り広がり続けます。「臭い物をなかったことにする」とあなたが考えても、周りの人はそれが気になるし、文句を言います。それを忘れないようにしましょう。

臭い物には蓋をしましょう。いや、今回のこの表現であれば、「臭い物をそもそも生み出さない」といったところでしょうか。


裏の意識

現代の日本語というのは中々厄介です。やんわりと伝えるために回りくどい言い回しをすることがあり、発言の真意を読み取る必要がある場面が多くあります。
その影響か、どんなに直接的に言ったつもりでも「いや、裏があるのでは?」と相手は勘繰り、結果的に違う捉え方をすることが多々あります。

仕事をする上での「回りくどい言い回し」は現代ではほぼ定型句と化していますが、日常会話におけるソレはその限りではありません。
自分の発言の趣旨とは異なる解釈をされ、面倒なことになることは多々あります。

この時に誰が悪いのでしょうか。異なる解釈を出した聞き手なのか、異なる解釈が出来る発言をした話し手なのか。
誰が悪い、というのは大きな問題ではありません。兎にも角にも、そういった事例そのものを減らすことが大切です。
自分が話し手であるならば、異なる解釈をさせないことが一番大事です。

「相手にどう受け取ってほしいか」を考えるだけでは失敗します。「相手がどう間違って受け取るか」を考えてみましょう。
「相手にこう受け取ってほしい」が100%成功する世界ではありません。しかし、失敗を減らすことにより100%に近付けることが出来ます。

まとめ

言葉の反対の意味を意識する事。

比較表現を控える事。

相手がどう間違って受け取るか考える事。

この3つを意識するだけでもあなたの発言の真意は相手に伝わりやすくなると思います。
普段から意識して発言するのは難しいですが、無意識で考えることが出来るようになった時、あなたの発言は全方位に対して多少優しくなっていると思います。

たましこ

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