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馬と俺005 『祭』

 久々の更新である。別に仕事でもなんでもないわけで、どうしても書きたくて書きてくてしょうがない時だけ書けばいいかくらいに思っていたのだが、ついにその時が来てしまった。

 日本ダート競馬の祭典『JBC』が8年ぶりに盛岡競馬場にやって来る。とにかく大勢の競馬ファン、そして岩手県民と楽しみたいと思う。しかし、そう思う一方で、誰よりも一番楽しみたいと思う気持ちもある。馬券では負けるかもしれないが、そこでは負けたくないと思っている。いかに楽しむか。もちろんその点においても猛者だらけだとは思うが。

 さあ、それでは予想にいざ参る。

第24回 岩手県知事杯 OROカップ(M1) 芝1700m

 地方競馬場で唯一の芝コースを持つ盛岡競馬場で行われる地方競馬全国交流競走。実質、地方所属馬による芝の日本一決定戦である。
 今年のOROカップは、盛岡で見られる日が来るとはと思わせるような、中央のグレードレースで活躍していたまぶしいほどの戦績を持つキラキラの出走馬が揃った。

 盛岡の芝は特殊だ。函館、札幌と同じ、洋芝。そしてダートコースの内側にある小回り。さらに起伏が激しいトリッキーなコース。日本ダービーなどで活躍するような馬、もしくはその産駒はまず来ない。そして、荒れる。馬券的な旨みはJBCよりこちらの方が上だと思う。

 父か母父にブラッシンググルームの血統を持つ馬が目立つ。他にもサドラーズウェルズなどの欧州血統を持つ馬の活躍が多い。3年前に重賞レースとしては珍しく100万馬券が出た時の1着馬コスモリョウゲツ(4人気)も母父がソヴィエトスターというヨーロッパで自身も産駒も活躍した血統だ。いわゆる凱旋門賞をはじめとするヨーロッパの競馬場で活躍、もしくは産駒が活躍した欧州血統が上位に来るのが盛岡芝コースなのだ。
 もし、仮に、この盛岡競馬場の芝コースで中央芝G1レベルのレースが開催されれば、優勝馬は最も凱旋門賞に近い馬になると思っている。それほど、中央芝の主流コースとは真逆と言っていいほど特殊なコースだと思う。

 そして、今回のOROカップ出走馬の中で、欧州血統、さらにブラッシンググルームを父か母父に持っている馬は一頭だけ。岩手競馬所属馬のマウントゴールド。しかも父はオルフェーヴルやナカヤマフェスタなど、凱旋門賞で日本馬最高の2着馬を輩出しているステイゴールド。そして、正直そこまで人気にならなそうな美味しい予感。というわけで…

 以上が私のOROカップの予想である。買い目はこれから検討するが、マウントゴールドは複勝でもそこそこ美味しいかもしれないので狙ってみたい。

第12回 JBCレディスクラシック(JpnⅠ) ダート1800m

 ダート競馬唯一の牝馬限定のJpnⅠレース。当然、出走馬にとってはJpnⅠタイトルを手にする最大のチャンスである。そういう意味では、もしかしたらこのレースが一番面白いという見方もできなくない。我らが岩手競馬のゴールデンヒーラーがどこまでやってくれるのか、南部杯で18年ぶりに岩手所属馬としての入着を、しかも牝馬が決めた瞬間から毎日ポーッとアホヅラこいて想っていたわけだが、直前に挫せきによって出走を取り消した。寂しい気持ちも当然あるが、無事にレースに送り出すことの大変さというものを痛感させられた。あの時のポーッとアホヅラこいていた自分の顔面をぶん殴ってやりたい。レースに出走するということは当たり前のことではないのだ。調教師さんを始め厩務員さんたちの悔しさを思うと、なんとも言えない。

 ただ、ゴールデンヒーラーが出走していたとしても、出走がなくなったとしても、今回のレディスクラシックの大きなポイントは変わらない。サルサディオーネの逃げ切りはあるのか、ないのか、捕まるとしたらどこでどの馬に捕まるのか。勝ち馬どころか、出走することすら初となる8歳牝馬のレディスクラシック挑戦。しかも希少な青森産馬。牝馬のみならず、地方競馬を牽引してきた一頭である。近走成績からも充実ぶりは伺えるが、果たして。

 盛岡競馬場で行われているグレードレースには2000mのマーキュリーカップ(Jpn3)と1600mの南部杯(Jpn1)がある。この二つのグレードレースを参考に考察したい。

 過去レースから、盛岡での逃げ切り勝ちの難しさがわかる。マーキュリーカップでは10年以上逃げ切れていないし、南部杯を逃げ切った2頭はGⅠ2勝のベストウォーリアと9勝のエスポワールシチーのみ。

 盛岡競馬場の最後の直線は比較的長い300m。さらに1.5mの上り坂。他のレースでも同じだが、スタミナ要素が必須なコースだ。そうなると当然、直線の長いコース、さらに盛岡と同じコーナーが大きく加速しやすいコースで好走している馬が来そうな気がする。というわけで…

 グランブリッジの3歳馬の勢いと斤量マイナス2キロはやはり実力が拮抗していれば大きい要素かと思わざるを得ない。グランブリッジとの比較でプリティーチャンスが対抗。そして怖いのがテリオスベルの江田照男マジック。ショウナンナデシコは今年川崎と船橋のグレードレースを4連勝し、前走の大井で行われたレディスプレデュードを3着に敗れた。川崎も船橋も直線は長いがコーナーが狭く加速しづらい。そこで勝って、大井で負けたということは、盛岡では終盤苦しくなると予想。ヴァレーデラルナは斤量の有利さはあったものの、ダートで8戦して連対率100%は驚異的と見ている。以上がJBCレディスクラシックの予想である。

第12回 JBCスプリント ダート1200m

 2020年、クラスターカップにおいてマテラスカイが1:08.5というダート1200mの日本レコードを叩き出したコース。JBCはいかに。

 岩手からは、我らがキラットダイヤ様が御出走される。岩手競馬内ではぶっちぎりの独走を見させていただくも、グレードレースには一切お出にならずにおられた。ゆえに、今回も当然お見送りされるかと半ば諦めていたところ、ついにグレードレース、しかも国内最高峰のJpn1レース、JBCスプリントに御出走されると耳にした時は我が耳を疑い、耳鼻科に予約を入れたほどである。これ以上にない最高の舞台でキラットダイヤ様の走る御姿を拝める。これほど幸せなことはござらんのでござる。ありがたく拝見させていただく所存でござる。

 キラットダイヤ様VS他の馬という構図となった今回のJBCスプリントであるわけだが、同じコースで行われているクラスターカップの傾向から考察したいと思う。

 近年のクラスターカップを振り返ると、勝ち時計によって、来る馬のタイプが全く異なる。日本レコードが出た2020年は、米国色の強い血統で、前残り決着。逆に時計のかかる馬場だった2021年はヨーロッパ色を含む血統で後ろから差し切るというレースになった。

 当然、出走馬が違うわけで一概に決めつけるのはどうかとも思うが、これほど違うものかというくらい変わっていた。先行馬か差し馬か。出走馬を見ても、両方のタイプがそれぞれいる。我らがキラットダイヤ様はというと、アメリカ色の強いサウスヴィグラス産駒の先行馬。さて、今年の盛岡の馬場はどうか。正直、時計のかかる差し馬有利の馬場なのである。
 いや、そんなものは関係ない。キラットダイヤ様に失礼ではないか。他の馬には影響があるかもしれないが、キラットダイヤ様にはそんなしょうもない考察は全くのトンチンカンな話であり、切腹もののデマ情報である。なぜならそれは、キラットダイヤ様だからである。ただ、他の馬は違う。JBC3日前の馬場は確かに先述した通りだったが、当日は変わる可能性は十分にある。天気予報では雨が降るらしいし、なんとも言えない。というわけで、時計が速い場合のプランA予想と時計がかかる場合のプランB予想をそれぞれ発表したい。私の予想は…

 申し訳ございません!キラットダイヤ様!何かの手違いが生じたようでございます!なんたる失礼な予想!ただ、どちらのプランでも変わらず▲とは流石でございます!もちろん、単複は購入させていただきます!あ!失礼しました!複など必要なかったですね!単のみ購入させていただきます!ただ、複でもとんでもなくすごいことでございます!なので、一点の曇りもなく単で十分とは信じてはいるものの少しだけ複も購入させてくださいませ!

 以上がJBCスプリントの予想である。

第22回 JBCクラシック(JpnⅠ) ダート2000m

 こちらには我らが大将ヴァケーションが参戦する。2019年の全日本2歳優駿(JpnⅠ)のチャンピオンである。早熟タイプと思いきや、今年のマーキュリーカップでは3着に激走した。記念馬券的に複勝500円を持っていた私はすぐに払戻し機に突っ込まさせて頂いた。あの御恩は一生忘れない。というわけで、今回も岩手所属馬贔屓となるわけだが、そうとも言ってられないメンツが揃った。そりゃJBCだ。もちろんヴァケーションの複勝は購入する。
 1番人気になりそうなのは、やはり昨年の中央GⅠチャンピオンズカップを圧勝したテーオーケインズだろう。前走の帝王賞では直線伸びず4着に敗れたが、チャンピオンズカップのあの強さを目の当たりにしてしまったら当然軽視などできようもない。ゆえに、今回はあのトラウマ的な強さをいかに払拭して予想するかだ。
 JBCクラシックの盛岡ダート2000mも当然JBCレディスクラシックのダート1800m同様、スタミナが必須条件である。
 テーオーケインズの戦績を見ると昨年のチャンピオンズカップを始め、中京競馬場で無双している。中京競馬場は盛岡と同じ左回り。最後に急坂が待ち構えており、同じくタフなスタミナが必要であるとされる。つまり、中京で走れば盛岡でも走ると思いがちなのだが、マーキュリーカップと照らし合わせると実はそうでもない。対戦相手との力関係や状態のデキなど色々な要因は当然あるわけだが、今年のマーキュリーカップ勝ち馬バーデンヴァイラーは中京のシリウスカップで惨敗。昨年の勝ち馬マスターフェンサーは中京の平安ステークスで惨敗。もしかしたら、中京の適性と盛岡の適性は全く異なる可能性がある。人気が集まる分、そこにかけてみるのも手であると思うのだ。というわけで、私の予想は…

 今年の帝王賞を制したメイショウハリオを本命にした。もちろん有力馬の一頭ではあるが、決め手となったのは、レース成績だけではない。
 私はとある法則を発見してしまった。世紀の大発見であり、今回その法則が目の前で実証されれば、学会に提出しようと思っている。その法則とは何か。
 今年行われる世界的なイベントといえば何か。そう、サッカーW杯である。そこで、これまでのW杯イヤーのJBCクラシック、2002、2006、2010、2014、2018を振り返ってみた。なんと、2002年のアドマイヤドン以外全て栗毛の馬だったのである。いやいや、全部じゃないんかいと思われるかもしれないが、重要なのは『栗』毛ということである。「サッカー クリ」と検索していただくととあるサッカー選手が出て来るはずだ。そう、クリスティアーノ・ロナウド選手である。サッカーにそこまで明るくない私でさえ知っている世界的スターである。そんなクリスティアーノ・ロナウド選手がポルトガル代表としてW杯に初出場したのが2006年なのである。つまり、クリスティアーノ・ロナウド選手が出場したW杯イヤーのJBCクラシックは全て『クリ』毛の馬が勝っているのだ。
 というわけで、今回の出走馬の栗毛の馬の中からメイショウハリオを本命とさせて頂いた。他にも、ペイシャエス、クリノドラゴン、テーオーケインズ、そしてヴァケーションが栗毛である。堅そうな馬から穴馬まで多様である。なので、予想とは別にこれらの単複は抑えておこうと思う。
 以上が、JBCクラシックの予想である。

 他にも当日はジュニアグランプリや門別ではJBC2歳優駿と2歳馬によるビッグレースもあるが、正直わからないので、当日検討したと思う。

 とにかく当日は楽しみたい。8年ぶりである。次、もし8年後なら2030年。めちゃくちゃ遠いし、もっと先の可能性も十分にある。間違いないのは、次回の盛岡開催の時は僕はきっとめちゃくちゃハゲていることくらいだろう。いやもうハゲてるじゃんという人間は、非常に心苦しいがぶん殴ることにしている。僕にとって、髪の毛がある最後のJBC盛岡開催だ。
 ここに至るまで色々あった。ただ、楽しくなくては競馬じゃないと思っている。楽しむことが競馬ファンにとっての最大のマナーであり、作法である。生産者さんを始め、競馬関係者の皆様、そして競走馬に感謝した上で最高に楽しみたいと思う。
 皆様、良いJBC を!


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