医師国家試験の特性を踏まえた考え方
まず、模試の分析で役に立ちそうな考え方を
紹介することから始めたいと思います。
上位の何割かが受かるような高倍率の大学受験とは違って、
医師国家試験は下位1割がふるいにかけられる試験です。
(p108 column 「医師国家試験の特性」より引用)
医師国家試験の模試を受ける時期になると
どうしても偏差値による評価が避けられません。
上記のように、大学受験の特性との違いに注意しないと
パフォーマンスに影響するほどの過小評価を招きます。
そこで、次に示すような原則や考え方で
模試の結果を分析すると良いでしょう。
模試の成績分析の原則
・大学入試とは別個と考える【大原則】
・母集団は医学生(多くが大学受験の上位集団)である
・9割が合格し、1割が不合格となる試験である
この正規分布から分かるように
下位10%のカットオフラインは
「偏差値30台後半」に存在しています。
模試の成績分析や本番への目標に関しては
次のような考えを推奨したいです。
・偏差値40以上キープは安全圏である
・成績上位は安全圏とは限らない
・安定した成績が合格率と相関する
・-2SD(下位2%)からの脱却は大変な労力を要する
・得点を支える高正答率の問題に対する正答率を重視する
大事なことは
大学に合格するまでに活用した模試とは
全く毛色が異なるということです。
ここで簡単にまとめると
次のようになります。
大学入試 → 成績上位者が合格する
医師国家試験 → 成績下位者が不合格になる
成績下位集団に落ち込まないためには
高正答率の問題を
いかに確実に得点するか?
医師国家試験受験において
ここの攻略がいちばん難しいと
個人的には思います。
すなわち、
「みんなが解けるような問題を
エラー無しで確実に拾い切る」
ということが
言葉でのニュアンス以上に
現実では難しいということなのです。
近年の医師国家試験予備校は
講義、教材の質どちらも優れていて
最終的に習得すべき知識が
うまく絞られていると思います。
言い換えると、
知識の面においては
大半の受験生で
ほとんど差を認めなくなります。
(裏を返せば知識不足は致命傷になります)
したがって、
①知識十分 かつ 合格する
②知識十分 でも 不合格
③知識不十分 即 不合格
という3群に大きく分けることも可能です。
自著「医師国家試験の取扱説明書」は
②の群を真のターゲットとしています。
知識は十分に足りているのに
何故か模試や本番でパフォーマンスを発揮できない。
その原因・対策は何なのか?というヒントを
執筆を通じて提示したいと思ったのです。
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