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コロナウイルス、パンデミックの始まり (2020年2月)

2月1日

 香港政府は、1月25日に下船したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号(以下クルーズ船)の乗客が新型コロナウイルスに感染していることを発表した。
クルーズ船は2020年1月20日、横浜港を出発し、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、および沖縄に立ち寄り、2月3日に横浜港に帰港することになっていた。
乗客2666人、乗員1045人、合計3711人が乗船している。


NHKの特集記事によると、当初政府に危機感は薄かった。
体調不良を訴えている人の検査が陰性ならば船全体を陰性とみなせる、こうした見立てを踏まえ、発熱やせきなどの症状がある人や、そうした人に濃厚接触した人に限り、ウイルス検査を行うつもりであった。
検査の1日の処理件数に限界があることも理由だった。
そして、体調が良好な乗客の下船は認める方向であった。
こうした、期待は後にもろくも崩れ、政府の対応が後手後手に回りはじめることになる。


新型コロナウイルスを「指定感染症」とするのを2月7日から1日に前倒したが、それと同時に空港での入国手続きも「厳格化」した。

(以上2020年6月24日 記述)


 2月3日

 クルーズ船、横浜港大黒ふ頭沖に到着・停泊した。
その日下船は許可されず、4日からとされた。
2月3日からの2日間、全乗客乗員の健康診断が検疫官により行われ、症状のある人、およびその濃厚接触者から新型コロナウイルスの検査のために咽頭ぬぐい液が採取することになった。

(以上2020年6月24日 記述)


 2月4日

 クルーズ船、下船予定は24時間延期された。
その夜、ウイルス検査の結果に政府に衝撃が走った。
結果が判明した31人のうち10人が陽性であった。
菅官房長官、加藤厚生労働大臣、赤羽国土交通大臣を中心に20人が急きょ深夜集まった。
そこで、現時点で3700人を収容できる施設はないことなどから、下船を認めない方向に舵を切った。

(以上2020年6月24日 記述)


 2月5日

 クルーズ船、乗務員を含む乗員10人の感染が判明。
加藤厚生労働大臣は記者会見をし、当初の方針を変更し、ウイルスの潜伏期間を踏まえ、乗客全員に対し、原則として起算日となる5日から14日間、船内の自室にとどまってもらう方針を表明した。
事実上、「隔離」に踏み切ることとした。
そして、重症しやすい高齢者や持病がある人をウイルス検査に加えることにした。

台湾は、中国からの入国を6日から禁止すると発表した。

中国政府は、26日開催の「日中民間ビジネスの第三国展開推進に関する委員会」の延期の申し入れがあった。

菅官房長官は、中国国家主席の国賓訪日について現時点では予定通り進めると述べた。

(以上2020年6月24日 記述)


 2月6日

 クルーズ船、感染者は20人となる。

五輪組織委員会が感染症対策本部を設置したことを明らかにした。

乗客に感染の疑いが確認された別の香港発のクルーズ船ウエステルダム号の入国を拒否した。

(以上2020年6月24日 記述)


 2月7日 

クルーズ船、最初に検査した273人全員の結果が判明し、その結果に改めて驚きが広がった。
検査対象者の22.3%が陽性、新たに41人、合計61人が陽性と判明した。
救急車が次々とクルーズ船に向かい、感染者を病院に送っていく。テレビの映像はただならぬ事態を伝えていた。

武漢で新型肺炎に警鐘をならしていた医師が死亡した。

安倍首相は来週にも緊急対応策をとりまとめる考えを示した。


加藤厚労相はクルーズ船の感染は特殊な環境で起きたもので、国内の感染状況とは異なると強調した。


専門家のコメントは、
「封じ込めより医療体制維持をめざすのがよい」(国立国際医療研究センターのグループ)、
「これまで国内発症者は軽症が多いようだ。健康な人なら、感染初期は自宅療養が得策」(岡部信彦)


LINEが新型ウイルス情報提供の公式アカウントを設置した。


宝塚歌劇団は観客とのハイタッチや握手の演出を控えると発表した。


(筆者の当時のコメント)

政府の対応がクルーズ船の状況が分かってから明らかに違ってきた。
そうとう慌てたようだ。
ここから危機体制のスイッチが入ればよかったのだが、厚労省の現場対応である。
担当部署は平時の法律の範囲内の対応であり、刻々と変化する、それも初体験の出来事には前例の範囲でしか対処できない。
ましてや省をまたぐことには。対策本部の一刻も早い立ち上げが必要であった。

 (以上2020年6月24日 記述)


2月10日 

クルーズ船の陽性者数は2月5日の10人から増え続き、新たに6日は10人、7日は41人、8日は3人、9日は6人、10日は65人となり、合計135人となった。
加藤厚生労働大臣は記者会見で、船から下りる全員を対象に、ウイルス検査の実施を検討する考えを示した。
「これだけ船内でいろいろな感染もある。船を出るときにもう一度チェックすべきという声も受けとめながら、検査する場合の対応や、できるか、できないか、詳細な検討をしている。」


中国では、習近平主席が北京で初の現場視察を行った。


専門家のコメントとしては、
「クルーズ船乗員全員を検査し、必要な措置をとる方がよいのではないか」(中山哲夫(北里大))、
「現時点では全員検査をするのも難しい」(賀来満夫))。

(以上2020年6月25日 記述)


 2月11日 

WHOは新型コロナウイルスによる肺炎を「COVIDー19」と命名した。


韓国保健福祉省が日本などへの渡航自粛勧告を出した。

(以上2020年6月25日 記述)


 2月12日

 武漢からの帰国第1便乗客197人が2週間ぶりに宿泊施設から退所した。同日、ウイルスの検査を実施し、結果は全員が陰性であったとも発表された。


クルーズ船で、検疫官1人の感染が判明した。
この検疫官は2月3日に検疫が始まった際、乗客らに健康状態を尋ねる質問票の回収などを担当していた。
後に問題となる検疫官や職員の感染の第1号である。


安倍首相は中国からの来日拒否を浙江省にも拡大したと表明した。


経産省はマスク増産の設備投資企業に補助金交付の方針と表明した。

(以上2020年6月25日 記述)


 2月13日

国内初の死者が発生した。
神奈川県の80歳代の女性である。
後に1月18日に屋形船で開かれた東京・城南地区の個人タクシー組合支部の新年会からのつながりが判明する。


さらに神奈川、東京、千葉、和歌山で感染経路不明の感染者が確認された。


和歌山県の済生会有田病院勤務の男性医師の感染も確認され、院内感染の疑いも持たれた。
事態の展開は急になってきた。


同日、政府は新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、検疫や検査の態勢強化などの最初の緊急対応策をとりまとめた。


クルーズ船については、高齢者など乗客の一部の下船許可へと方針転換がされた。


準備状況を確認するIOC調整委員会と東京五輪大会組織委員会の事務折衝が始まる。


専門家のコメントとしては、
「国内でも感染経路が追えない感染が拡大してきた。今後、医療体制を守る方法を考えるのが重要である」(押谷仁)。

(以上2020年6月25日 記述)


 2月14日 

クルーズ船から11人が下船した。
80歳以上の方で、船内で窓のない部屋などで生活している方や基礎疾患を抱えている方で本人が希望する場合は、検査を実施し、陰性が確認された方について、下船し、潜伏期間が解消するまでの間、政府が用意する宿泊施設に入るという条件である。 


政府は、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(座 長 脇田 隆字 国立感染症研究所所長)(以下「専門家会議」という。)を開催することを決定した。
新型コロナウイルス感染症対策本部の下、新型コロナウイルス感染症の対策について医学的な見地から助言等を行うためだ。


和歌山県、済生会有田医院で勤務医に続いて入院患者の感染が確認された。


専門家のコメントとしては、
「症状が安定しているのなら、自宅療養が得策」(岡部信彦)。


(筆者の当時のコメント)

おそらく中国からヒトの流れを止めていないので、感染拡大が始まっているのだろう。
各地で患者がポツポツと出始めていた。
最初の政府の判断が問われるのが中国ルートの閉鎖が全面的に出来なかったことだろう。

(以上2020年6月25日 記述)


2月15日

クルーズ船について、米国の対応が一変する。
在日米大使館が、米国人乗客に対して「日本から米国へのチャーター機を用意」と伝える。
当初、日本政府は各国に自国民の引き取りを要請したが、引き受ける国は一つもなく日本に任せたという返事であったという。


日本国内で新型コロナウイルスの感染確認が相次いでいることを受け、加藤厚労相は、記者会見で新たな局面に入ってきたとの認識を示した。
コロナとの闘いで「水際作戦」がうまくいっていないと世間の人も感じ始めていた。
共同通信が2月15、16両日に実施した全国電話世論調査の結果は、安倍内閣の支持率は41.0%で、1月の前回調査から8.3ポイント下落した。


和歌山県知事は、済生会有田病院における院内感染の可能性を認めた。
国立感染症研究所などが院内の感染経路の調査を行うことになった。


専門家のコメントとしては、
「判明している集団以外での感染拡大の可能性が高い」(和田耕治)。

(以上2020年6月26日 記述) 


 2月16日

クルーズ船乗客のため、米国チャーター機が到着。米チャーター機で帰国した米国民は空軍基地で14日間の隔離を義務付けられた。


東京都は屋形船での集団感染について報道。
それによると、いう都内患者(2月13日判明)との濃厚接触者は、1月18日の新年会参加者・屋形船従事者、患者の同居者、個人タクシー組合支部従事者、患者が受診した医療機関の医療従事者の合計190人であるとし、現在まで126人に検査を実施して7人の陽性が確認されたという。


新型コロナウイルス感染症対策本部の会合後に第1回専門会議開催された。会議後の会見で脇田隆字座長は「軽症者には自宅療養を勧め、いかに重症者を把握し医療機関で治療できるようにするかが大切だと強調した。」(朝日新聞)


専門家のコメントとしては、
「海外に比べて他人にうつさないようにする意識が遅れている」(和田耕治)。

(以上2020年6月26日 記述)


 2月17日 

WHO事務局長、致死率は2%でSARS、MERSほど致命的ではないと中国政府の調査結果を示した。


東京マラソン(3月1日)は一般参加を取りやめ、エリート枠に限定して行うことが決定された。
また、天皇誕生日(2月23日)の一般参賀も中止された。


専門者会議では、医療機関の受診の目安をまとめた。
発熱(37.5度以上)あるいは風の症状が4日以上続く場合に、「帰国者・接触者相談センター」に相談し、センター指定医療機関で受診する。
なお、強いだるさや息苦しさがある場合はすぐ相談する。


専門家コメントについては、
「高リスク者をみつけ適切な治療をうけられるような医療態勢を維持することが主眼と解説(岡部信彦)

(以上2020年6月26日 記述)


 2月18日

 WHOの緊急対応責任者はクルーズ船について、「状況は変化し、船内で予想以上に感染が広がったのは明らかだ」と発言。


また、クルーズ船について、米CDC(米疾病対策センター)は日本政府の検疫は「公衆衛生上の効果はあったが、船内で感染を防ぐには不十分だった」と評価した。


クルーズ船内に入った感染症専門家である神戸大学の岩田健太郎教授は、動画サイトで船内の感染症対策が不十分であると指摘した。
動画で「ウイルスが全くないゾーンと、ウイルスがいるかもしれない危ないゾーンをきちんと分けることが鉄則」と指摘。
船内では発熱した人が医務室まで歩いて移動したり、廊下で医療者と患者がすれ違ったりしていたという。
「どの手すりやじゅうたんなどにウイルスがいるかわからない。
自分自身が感染していても不思議でない。」と話した。


岩田ショックが世界のマーケットを駆け巡った。
なかでも為替市場で円が1ドル=110円まで売り込まれた。
金融市場ではこのままでは中国の次には日本が危ないと言わんばかりの雰囲気となった。


(筆者の当時のコメント)

クルーズ船については、米国など日本の対応を見て、自国民に対してチャーター機を用意し帰国を促した。
当初日本に任せるようであったとのことだが、対応のまずさが目立ったようだ。
だれも正解はわからないが、危機対応の専門家の姿がみえなかったのが原因だろう。
後の岩田医師の動画の衝撃も大きかった。
これでプロが指揮をしていないことがはっきりとわかってしまった。
大きな反省材料とすべき事項である。

(以上2020年6月26日 記述)


2月19日

クルーズ船の乗客の下船が開始した。
クルーズ船は、2月3日に横浜港に帰港し、2日間の全乗客乗員に対しての健康診断が行われ、2月5日に陽性者が確認された。
その日より14日間の検疫が開始され、2月19日に検疫は終了した。
検査で陰性が認められた人の下船が開始されたのだ。
陽性者との接触がある人は、最終接触日から14日間が隔離期間となる。
この人たちは食事の配膳など生活支援に貢献していた乗員が大半を占めていた。


厚労省は、ウイルス検査で「陰性」であることが確認された乗客については、新型コロナウイルスに感染しているおそれはないことが明らかであることから、日常生活に戻ることができるとの考えを示した。
ただ、下船後2週間は不要、不急の外出は控えるよう要請したが、日本人の乗客は下船したあと、公共交通機関を使って帰宅することになった。


岩田教授の動画に対して、2月19日夜、厚生労働省技術参与であり、岩田氏がダイヤモンド・プリンセスに乗船する前にやり取りをしたという高山義浩氏がFacebookで岩田氏への反論を掲載した。
「クルーズ船の中はグリーンもレッドもグチャグチャになっていて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別がつかない」との指摘に対して「実際はゾーニングはしっかり行われています。
完全ではないにせよ・・・・」といった具合に。


この高山氏の投稿には岩田氏自身もコメント欄で反論されているが、岩田氏自身が公の場で高山氏との議論を望まないということからその内容は明らかにされていない。


岩田氏は「船内の感染管理の環境が大きく改善されたと聞いている。
検疫の経過についての情報も公開され、私が投稿した動画の役割は達成された」とし、当の動画自体は削除済みとなっている。
しかし、すでにBBCの取材や野党共同会派のヒアリングによる動画など、その内容はいまでも知ることが可能である。


クルーズ船について、米CDCは「乗客は感染するリスクが高い状態に置かれていた」などと指摘。
国内外で批判が相次ぐことに対して、菅官房長官は、「2月5日以降、感染を予防する行動を徹底し、乗客に自室で待機してもらうなど、感染リスクを下げた」などと述べ、政府としては最大限、船内の感染リスクを下げていたと強調した。


政府が、感染防止が適切であったとの根拠の一つは、国立感染症研究所が19日に公表した分析だ。
それによると、18日の段階で感染が確認されたのは、乗客と乗員を合わせて531人、276人に発熱などの症状が出た一方、255人は無症状だった。
そのうえで、発症した日がわかっている事例を以下のように示した。
6日(乗客15人、乗員1人)、7日(同29人、同2人)、8日(同16人、同2人)、9日(同19人、同5人)、10日(同7人、同3人)、11日(同11人、同7人)、12日(同5人、同7人)、13日(同8人、同8人)、14日(同1人、同4人)、15日(同0人、同1人)、16日(同0人、同0人)、17日(同0人、同0人)・・実際はグラフ。
こうしたデータに基づいて、国立感染症研究所は、クルーズ船内で検疫が開始する前に、ウイルスの実質的な感染拡大が起こっていたと指摘した。
感染者の数が減少傾向にあることから、5日以降、乗客を自室にとどめたことはなどが、有効な対応であったと評価している。


ニューヨーク・タイムズ紙は「日本がクルーズ船の乗客を自由にした。安全なのか?」として、船内での隔離期間に実効性がなかったと見なし、米国民を帰国させたあと、さらに2週間隔離していると伝えた。


海外のメデイアからは疑問や懸念の声が相次いだ。
そして、その懸念は現実のものとなる。
船内での検査が陰性とされ、下船した日本人の乗客の感染が、栃木県や徳島県、それに千葉県などで相次いで判明した。
加えて、外国人の乗客も帰国後、感染が確認されるケースが相次いだ。オーストラリアでは1人亡くなった。

(以上2020年6月27日 記述)

 

2月20日

クルーズ船初の死者が2名出る。
80歳代の男女2名である。
1名は2月11日に、 もう1名は2月12日にクルーズ船から病院に搬送され、2月20日亡くなっている。


厚労相は、専門家会議を受けてイベントの開催は感染リスクの拡大から開催の必要性を改めて検討するよう要請。
一律の自粛要請を見送り、開催者の自主的な判断にゆだねた。

(以上2020年6月28日 記述)


 2月21日

イタリア国内で初の死者が報告された。


米CDCは帰国したクルーズ船乗客18人の感染を確認した。

(以上2020年6月28日 記述)


 2月22日

韓国保健福祉省は感染者が433人と発表。
宗教団体の教会で感染が拡大した。
2月20日に感染者が一気に倍増し100人台に乗せたのだ。
南東部のテグ市にある新興宗教団体の教会集団感染が起きたのだ。
テグ市では2月18日に「新天地イエス教会」に通っていた60代女性の感染が確認された後、教会の信者や接触者の感染が次々と判明した。
教会では信者同士が密着して座り大声で「アーメン」を唱えるという、特殊な礼拝方式で、いわゆる密閉、密集、密接の3つの密の状態であった。


クルーズ船について、陰性で下船した外国の乗客で下船後発熱、陽性が判明した例が発表された。
米国から18人、イスラエルから1人、オーストラリアからは6人の情報が入っている。


2月19日から20日にかけて下船した人の中で23人が必要な検査をしていなかったことが判明。
改めてPCR検査を受けることとした。


厚労相はアビガンの臨床研究を開始することを明らかにした。
2月21日に国立感染症研究センターを中心とする研究班を立ち上げ、2つの医療機関で新型コロナウイルス感染症の患者に対する投与の具体的な準備に入り、本日投与が開始された。


専門家のコメントとしては、
「マスクは自分の病原体を他人に感染させないための道具で、元気な人は基本的にはつける必要がない」(久住英二(内科医))。

(以上2020年6月28日 記述)


 2月23日

イタリアは12の都市を隔離(フィナンシャル・タイズム)
感染者は132人にのぼり、89人はミラノにほど近いロンバルディ地方。イタリア当局は5万人に自宅待機などの緊急措置をとった。
イタリアへの感染拡大は、それまでアジアの感染症と見られていた新型コロナを、一気に世界的な規模の問題へと変貌させた。


新型コロナウイルス感染症政府対策本部(以下対策本部)が開催され、国民や企業に対する情報提供、感染拡大防止策、医療提供体制について、これから講じていくべき対策を整理した総合的な基本方針を策定することが決定された。

(以上2020年6月28日 記述)


 2月24日

中国、3月5日開催予定の全人代の延期を発表。


さらに、中国は米国への渡航自粛を要請した。


韓国は小中高の新学期を1週間延期し、外出自粛を要請した。


世界の株式市場は売り一色となった。
新型ウイルスの感染拡大が確認されたイタリアでは、FTSE・MIB指数が前週末比5%超の下げとなり、約1カ月ぶりの安値をつけた。
ドイツやフランスの主要株価指数も同4%安となり、その流れを引き継いだ米国株も朝からほぼ全面安の展開となった。
アップルやマイクロソフトなど株高をけん引してきたハイテク株の下げがきつい。
ダウ平均の終値は前週末比1031ドル61セント安の2万7960ドル80セントとなった。


日本では。厚労省は老人ホームなどで「やむ得ない場合」を除き家族らの面会制限などを求める通知を出した。


厚労相は、24日の専門家会議で、「患者の増加スピードを可能な限り抑制するのに、極めて重要な時期だ」と語る。


第3回専門会議では、1~2週間が収束できるかの瀬戸際

「我々市民がそれぞれできることを実践していかねばなりません。特に、風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には、外出をせず、自宅で療養してください。ただし、以下のような場合には、決して我慢することなく、直ちに都道府県に設置されている「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。」


(筆者の当時のコメント)

イタリアの感染が明らかになってきた。
いよいよ欧州で感染がはじまった。
中国、韓国とアジアでの感染は欧米人にとっては極東・アジアの出来事で対岸の火事である。
欧州本土に火が付いたのだ。
それを察して株式市場の暴落が始まった。
ワールドワイドになったのだ。

 (以上2020年6月28日 記述)


2月25日

米国CDCのメッソニエ博士が「コロナウイルスが米国全土に拡散している可能性がある」と警告し、学校閉鎖や集会の取りやめの必要性についても言及した。


政府は感染症対策の基本方針をとりまとめた。
今の状況を「現在国内の複数の地域で感染経路が明らかでない患者が散発的に発生し、小規模な患者の集団が把握されています。まさに今が今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で極めて重要な時期であります。」と捉え。
基本方針として「一つの患者の集団が、次の集団を生み出すことを防止する。患者の増加のスピードを可能な限り抑制するとともに今後の患者の増大に備え、重症化対策を中心とした医療提供体制などの整備を進めてまいります。」としている。
そして、現時点で全国一律の自粛要請は行うものではないとしている。


文部省からは、学校での感染者が発生したとき、周辺地域の学校も積極的に休校を検討するように要求された。


スポーツ関係では、Jリーグが26日から3月15日まで予定されていた公式戦を延期すると発表した。

(以上2020年6月29日 記述)


 2月26日

ブラジルでイタリアからの帰国の男性が陽性、南米発の感染者となる。


北京など中国各地で日韓からの入国者に対する隔離措置がとられた。


韓国は、中国に続いて感染者が1000人超となる。


安倍首相は、前日の基本方針で大規模イベントの一律の自粛要請は求めずとしていたが、大規模イベントの自主的な自粛が相次いだことで、政府方針を一転し、多数が集まるイベントの自粛を主催者に要請した。


韓国はテグ市(大邱市)とチョンド郡(清道郡)を入国拒否対象地域に指定した。これは中国以外では初めてのこと。


北海道教育委員会は道内公立小中学校を臨時休校にするよう市町村教育委員会に要請した。


同日、五輪大会組織委員会はイベント実施にあたっての対処方針を発表した際に、事務総長は五輪は予定通りの開催が前提であると発言。


専門家のコメントとしては、
「軽症者は原則自宅療養を。重症化の兆候が現れたら、相談センターに連絡、指定された病院で受診。」(押谷仁)

(以上2020年6月29日 記述)


 2月27日 

WHO事務局長は韓国、イタリア、イランの感染拡大に懸念表明。
韓国、イタリアと並んで、感染拡大の舞台となったのはイランである。
マースーメ・エブテカール副大統領をはじめ政府高官が次々と新型コロナに感染していることが明らかになった。
国会議員が20人以上も感染し、死者まで出ていた。
毎年何百万人ものシーア派信者が訪問する聖地ゴムで感染が起きたが、現地宗教幹部は閉鎖を拒否し、これを最高指導者ハメネイ師が追認したこともあって、感染が拡大し、政権幹部にも感染者が出る混乱状態となった。


WHOは無症状者のマスク使用に否定的な見解を発表した。
これは、新型コロナ以前に知られていた呼吸器感染症(咳などの飛沫から広がる感染症)は症状が出てから感染性が出るという原則に則ったものであるが、後日これを否定するコメントも出している。
それは新型コロナウイルスは、発症前の無症状の人からも感染し、たとえば会話からも感染するとわかったからである。


安倍首相は、3月2日から春休みまで全国一律の休校を要請した。首相の説明はつぎのとおり。

「北海道では、明日から道内全ての公立小・中学校が休校に、また、千葉県市川市でも、市内全ての公立学校が休校に入ります。このように、各地域において、子どもたちへの感染拡大を防止する努力がなされていますが、ここ1、2週間が極めて重要な時期であります。このため、政府といたしましては、何よりも、子どもたちの健康・安全を第一に考え、多くの子どもたちや教職員が、日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点から、全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週3月2日から春休みまで、臨時休業を行うよう要請します。」


厚労省は、保育所は首相要請の対象外で、小学生を放課後に預かる放課後児童クラブ(学童保育)も原則開所してもらうよう各都道府県に通知した。


(筆者の当時のコメント)

学校の一斉休校要請は専門家の意見も聞かずほぼ首相独断で決めたようだ。世間にインパクトを与えたことは間違いない。

感染症にこれから備えていくという意識付けには、意味はあったと思うが、大きな犠牲を払うことになった。
唐突であり十分な説明がされたとは思えない、日本らしい困ったときの政策の急展開のパターンで禍根をまた残した。

(以上2020年6月29日 記述)


 2月28日

WHOは世界全体の危険性評価を「非常に高い」に引き上げた。
前日には中国以外での新たな感染者数が中国国内を2日連続で上回った。


影響が軽微だった米国でもカリフォルニア州で、27日州内で33人が陽性反応があったと発表があった。
またアジアからの渡航者を中心に感染のおそれがある8400人の経過観察をしている。


イタリアでは、感染者約650人の大半が北部ロンバルディア州とベネト州に集中する。
伊政府は北部にある11の町を封鎖し、地域を横断した感染を阻止するための強硬措置に踏み切った。
EUではシェンゲン協定で加盟する国の間では出入国審査なしで行き来ができるが、イタリアへの出張や旅行中止はすでに顕在化している。
オーストリアはイタリア間の鉄道を一時ストップした。


韓国では感染者が2000人を超え、PCR検査は8万人弱実施した。
国内の移動は急減し、企業の多くは出張や会食を控えるように指示を出した。
韓国政府によると、2月17日~23日の航空会社の旅客数は前年同期に比べ84%減った。


文部科学省から都道府県教員委員会などに、3月2日から春季休業の開始日までの間、臨時休校を求める通知を発出した。


北海道知事が3月19日までの「緊急事態宣言」を出す。
感染者が63人と全国で最も多く、前日も6人の集団感染が見られたことから、感染のスピードを抑える対策をとる。
週末の外出自粛も要請した。新型コロナウイルスの第1波への対応であった。
さっぽろ雪まつりは1月31日から2月11日まで開かれていた。
この時点では、新型インフルエンザ等対策特別措置法(コロナ特措法)は成立していない。
宣言には法的根拠がなかったが、鈴木知事はあえて強い言葉を使って、自粛を呼びかけた。
北海道ではその後いったんは外出自粛の効果が表れた。


ディズニーランド、USJ、上野動物園などは、3月15日まで休園を発表した。


専門家のコメントとしては、
「イベント中止とともに休校には感染拡大の抑制が期待可能」(浦島充佳(東京慈恵会医科大))。

(以上2020年6月30日 記述)


 2月29日

米国西海岸ワシントン州で、コロナによる初の死者が確認された。
ワシントン州は州として全米で初めて非常事態宣言を出した。
3月4日次いでカリフォルニア州も非常事態宣言を出す。
州内で初の死者が出たからである。
もはや米国もグリーンゾーン(安全地帯)ではなくなってきた。


安倍首相がコロナ問題で初の記者会見、これまでの取り組みを話す。

会見のポイント
 ○全小中高生の臨時休校に理解要請
 ○休職する保護者の所得減少対策で新助成金を創設、企業には雇用調整助成金を活用
 ○政治は結果責任で、逃れるつもりはないと言及
 ○第2弾の緊急対策を10日程度で策定
 ○ウイルス検査の能力強化
同会見の記者の質問で、中国国家主席の国賓訪日ついて、「現時点では予定に変更はない」。「すべての患者が検査を受けられる十分な検査能力を確保する。」などと答えている。

(日本経済新聞3月1日)


大阪府知事はライブハウスでクラスター発生の可能性を示し、施設名を公開し、注意喚起をした。

(以上2020年6月30日 記述)

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