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カスタマーサクセス サブスクリプションモデル時代に求められる「顧客の成功」10の原則

<該当書籍>
カスタマーサクセス サブスクリプションモデル時代に求められる「顧客の成功」10の原則

(◎予想:自社サービスで捉えた場合)

第I部 歴史、組織、必要性

 〜前半割愛〜
カスタマーサクセス提供方法

ハイタッチモデル…
ロータッチモデル…上下の中間頻度でサポート
テックタッチモデル…全顧客との接点がテクノロジー主導

CSの健全な体制とは、各顧客の階層とタッチモデルが定義されている

確認項目
各階層に対するモデルは?

◎予想
基本的にはロータッチモデル(メール、セミナー、定例、電話フォロー)
エンタープライズに対してはハイタッチモデル?(上場に向けた売上強化)

第II部 実践

原則1_正しい顧客に販売する

◎PMF企業への販売によるメリット
セールスパスにおける対応コストも削減でき、自社の使用事例やPMFの拡大、チャーン削減にもつながる。
会社のビジョンやコンテンツ、さらに従業員や提携会社、顧客のオンボーディングを磨き上げてくれる

カスタマーサクセス担当副社長に、進行中の取引への拒否権を与える

  • チャーンの理由を定期的に把握して、CSとプロダクト部門両者が多角的にデータを分析する体制を築いておくこと。
     定着率の低さ
     製品の適合性
     顧客ニーズと製品のギャップ
     合併、買収、リストラ、倒産(やむを得ない要因)

例_データを用いた判断
業種、割引率、使用事例、価格帯が同じお客様との取引は、過去に31件あります。うち14件で最初の更新時にチャーンが起き、2回目の更新時にも4件のチャーンがありました。
8件はまだ更新時期が来ていません。残りの5件は更新しましたが、契約金額は平均で14パーセント下がりました。さらに、残っている13社に対して実施したNPS調査の平均点は5・2で、平均ヘルススコアは38・7です

四半期ごとの業績で取引を掴み取ることだけでなく、長期的なリテンションの考えを持って取り組む

  • 各部署の報酬制度
     正しい顧客に対し、全部署がそろぞれにKPIを持っておくべき

例_報酬制度を取り入れる
営業部門の副部長をCS部門長と兼任させることも一つの策
営業部門に新規獲得だけでなくリテンションに対する報酬を与える

カスタマーサクセスマネージャー(CSM)にはホストの役割が求められる。
社内と社外の両方でカスタマージャーニーを完遂する責任を持つ、どこまでも信頼できるアドバイザーであるべき。

例_注力すべき顧客の判断基準
取り組む体制
・担当ひとりなのか、部署全体で取り組んでいるのか

担当者の温度感
・課題に対し、危機感を持って取り組んでいるのか?

原則2_顧客とベンダーは何もしなければ離れる

  • 製品から最大級の価値を得ている成功顧客からこそ不満や要求をもらう
    =製品や顧客の限界を超えようとしている、単に+αを求めている
    重宝すべき貴重なFB うまくいかないが故の要求ではない

ーーー危険信号とは?
金銭的リターンや事業価値が得られない(信号:利用率低下、利用停止)
→顧客の目標を再検討、導入段階ですぐに価値を得られるように
 利用率向上の方法を模索
 テックタッチの場合 顧客の導入理由振り返り、提供価値の再検討

実装の遅れや、完全停止
→カスタマージャーニーを縮める
 作業範囲を細分化し、一部から製品を利用できるように

プロジェクトスポンサーの解約や主導者の異動(音信不通になる)
→顧客の組織内で1名のみでなく、複数人へ使い方を共有
 担当変更の場合も後任へスムーズに連携をとる

製品定着率が低い(利用率低下、利用停止)
→顧客の事業ニーズを理解分析、使える機能をカスタマージャーニへ落とし込む
 顧客の投資利益率や利用履歴ライブラリの提供

別のソリューション提供会社へ買収された(顧客より買収・継続検討の旨を受ける)
→新たなトップに提案、シェア拡大のチャンスでもある
 制御できないチャーン

製品機能の不足(新機能・拡張機能の要求、価格交渉)
→自社製品のロードマップを把握、現在〜未来の投資部分を理解しておく
 顧客へ前向きな将来ビジョンを伝える
 顧客が自ら深く関わり、プロセスへの貢献=共創を実感してもらう

トップの方針変更や戦略転換(提案依頼書RFPや製品の評価プロセスへの参加要求)
→とにかく競合に入り込まれる前に先手を打つ(すでに製品欠点は周知の上、競合比較されやすい)
 主導者に協力を仰ぎ、直接トップへ電話をかける
 自社組織、製品、バリューの概要を伝える
 機能拡張や利用率向上により対価や投資利益率を得られる機会を強化

品質の低さや性能の問題による影響(問い合わせ件数の増加)
→豊富な知識によるソリューションや代替策を親身にタイミングよく提供
 対応中のステータスに対し全社を挙げ取り組んでいることを伝える
 自ら進捗状況を連絡

製品が顧客にとって最適な解決策ではないと判断された(コア製品の機能誤認、要求機能に対する専門領域の不一致)
→使用事例や顧客指標を教える
 理想顧客と異なる部分を見出し、事業上の問題を解決する別の方法を提案

顧客担当による人的要因(CSレビューの低評価)
→顧客へ連絡をとり関係修復が可能か、担当変更が良いか判断

メンタルヘルスに寄与する方法
CSMや幹部による積極支援、適切な時・内容のメール、使い道を広げる高質なウェビナー、活気ある顧客から最新情報の入手やコミュニティへの関与、ユーザー会の定期開催、顧客による諮問機関(株主総会的な)の発足、ユーザーカンファレンスの実施

ロータッチ:ハイタッチより楽観的かつ広範囲に
ここの事例に囚われるすぎる“木を見て森を見ず“状態では✖️
製品の開発プロセスと、導入後の補助プロセス両者をバランスよく対応することで最大手の特別要求に応えるより効率よく規模拡大できる

テックタッチ:顧客の状況や変化の把握が難しい
①各種調査
②コミュニティ ※得るのと同じくらい与えることも大事
③チャーンの原因把握 ※顧客の継続理由より大事

原則3_顧客が期待しているのは大成功だ

顧客はソリューションを、その特徴や機能を使うために買うのではなく、
それによって、事業目標を達成したいからお金を払うのである。

顧客を成功を導くために理解すべき3つのポイント

①顧客はどうやって成功を測っているのか
②その指標から判断すると、顧客は成功しているのか
③成功への過程で、顧客はどんな期待をしているか  

ここで、「成功」とは、
CS (Customer Success) = CO (Customer Outcomes) + CX (Customer eXperience)と捉えるとわかりやすい。例を挙げると

例)売上拡大を目的としたSFAやMAのようなプロダクトの場合
プロダクト活用により顧客が売上予算を110%達成 
 →Customer Outcomeは十分。
しかし、その過程で「ものすごく使いにくくて、軌道に乗るまで10ヶ月かかった」「実は今もデータの名寄せに営業管理の人がものすごい苦労している」
→Customer Experienceが悪い。

つまり、大成功とは顧客の期待する成果と最高の顧客体験ををセットで提供すること。

幻滅期を生まないカスタマージャーニー

セールスは、契約のために顧客の期待を煽る(そういうもの)。
あまり細かい導入プロセスとか、そこで顧客にかかる負担とかは語らない。顧客は、すぐにでも理想のアウトカムを得られると思いがちです。
→契約時 顧客はすぐに成果を生まれることをのぞむ。でも、放っておいてもそんなすぐ成果は出ない。
→契約直後に、期待価値と実感価値に差が広がる幻滅期が来る。

一度幻滅させてからリカバリするのではなく、顧客に道のりを示しつつ、小さな成果を共に得て、幻滅期を回避しながら大成功へ導くことがコツ。

成功への道のりは成果を積み重ねる必要があるから「定期的に進捗を確認する」必要がある。成功は目的地ではなく旅路であることを理解し、定期的に進捗を確認しながら、理論どおり行かず発生する問題正面切って戦って初めて、顧客は大成功が得られる。

原則4  絶えずカスタマーヘルスをチェックする

営業は担当顧客のパイプライン(未顧客→顧客へのプロセス)を管理するように
CS は担当顧客のカスタマーヘルスを管理する

ーーーなぜ大事か?
将来の行動、時期を予測管理できるから。
ロイヤリティの明確な指標となる、事業を進めるための行動指針が得られる。

ーーーその本質とは?
顧客の健康状態である。

_具体
製品定着率 顧客の製品使用状況やその使い方
→製品を使う頻度は?最も魅力的な機能を使っている?利用者は何人?幹部レベルも使ってる?役員会議、部内会議で使われてる?

これらのデータが得られない場合…

カスタマーサポート 
→顧客からの着電頻度は?問い合わせへの対応期間は何日か(顧客の優先順位ごとに件数を比較)
ポイント:健全な顧客は、ある程度定期的に電話で問い合わせやサポート体制を利用するものである

ヒアリング応対
→顧客がどう答えるか?本音ベースで話してもらえているのか

マーケティングへの関与度
→定期的なサポートメールやマーケティングメールに対してアクションがあるか
 (開封、リンク遷移、ダウンロード)

コミュニティへの参加度
→質問や回答、製品への要望、他社の提案へ投票している?

マーケティングへの参加度
→顧客からのレファレンスはある?ケーススタディやカンファレンスでの発言はある?

契約金額の増減
→テクノロジーやサービスへの投資額はロイヤリティを明確に示す指標
規模の変化はないが、契約金額が倍増している場合は要注意(成果に結びついていない?)

自立度
→頼りきりの状態ではなく、CSのサポートなくとも自走体制=効率的に使用できている顧客が健全である

幹部との関係性
→各顧客に対して個人レベルでどの程度良好か?どのくらい上の階層まで繋がれているか

これらのリストを作成した上で、入手が難しい項目や点数の算出が複雑すぎる項目を取り除く。あるいは製品利用率のみを主要項目とするもよし。
※ここで作成したリストは保管するべき。最初は実行・説明可能な方法を採るだろうが、今後新たに議論や考慮の的になり得る。

ただ数値を追う統計学とならぬよう目的を明確に。
まずは把握が必要で、自動化=科学的かつ体系的な方向に進む道を選ぶのが賢明だが、
手作業・自力で問題に取り組んでみて、苦労しながらプロセスを構築していくのも良い。

また、観察・報告で終わることなく、
数値の低下→ヘルス下がったら、改善法を考えてすぐに行動に起こすことが重要。
これがカスタマーヘルスを管理するということ。

ーーーヘルススコアUPのためには?
顧客定着率を要素中心で考えてみる。
例)社内での利用者数を増やす

ハイタッチ…山頂の活用(製品レビュー依頼)と谷底の介入どちらも必要。一定のヘルススコアに達する顧客へ自動メールでレビュー依頼など部分的にテックタッチを混ぜるも良い。逆にレビュー受領後はお礼のTELなど。

ロータッチ…定期的かつ決められたやり取りはわずか。基本JIT(ジャストインタイム)
顧客満足度が一定スコアを下回るなどデータを活用した介入タイミングの見極めも〇。

テックタッチ…タッチの量は要調整。
あらゆる自動メールをCS担当から個別メールかのように見せるべき。(個人情報に特化、タイミングと内容がピッタリ)
→送信後は、開封率やクリック率の追跡を行うべき(顧客からどう受け取られているか確認、スパム設定?未開封?)

原則5 ロイヤリティの構築に、もう個人間の関係はいらない

※原則5の内容はハイタッチモデルは除く。とはいえ最も戦略的な話し合いに一対一の時間を費やすために一部のやり取りを自動化することは必要。

製品ベンターにとって、個人的なやりとりを最低限に抑えながら顧客に成功をもたらすことが重要。顧客との対応に一対多の
顧客の最も大きな層」=年間支払額の規模ではなく、全体の成長に対する影響力
この層に対して、同サービスを提供するかが成長の鍵となる。

そもそも、SaaSの登場により顧客とベンダーの関係は大きく変化した。
あらゆるベンダーが規模に関わらずどんな顧客にも届くようになった

従来 1対1  (多額の支払額、コスト構造の上に成立)
現在 顧客規模に応じて変化(中小→大口顧客) 

多額のARRを得られるまでは、個別対応の顧客関係モデルは成立しない
成功ベンダーの共通点として、初期の成功要因は売上の成長とともに顧客のリテンションへ注力した

→一部価値の高い顧客に対する個別管理は残るとして、ほとんどの顧客基盤に対しては費用対効果が見合うようなCSプログラムで対処する必要がある。さらに顧客の各タッチモデルに合わせてプログラムを変える必要がある。
これが、単なる顧客とベンダーの関係を相互パートナーの関係へと変化させる。

顧客との関係構築における原則とプロセス

  • 自社事業にあったセグメントで顧客をセグメント化
    ARR、顧客の規模、今後の可能性など ※方法は事業ごと異なる
    →各セグメントごとの大きな傾向が見えやすくなる
     例)大口顧客は一定目標に達した後で更新する
       小口顧客は目標達成後高い確率でチャーンに至る
       一方、短期で成功を得た小口はライセンスを追加購入しやすい
    これらの傾向を把握することで、顧客関係の戦略も調整できる

  • セグメントごとに顧客カバレッジモデルを決める
    CS業務:オンボーディング、トレーニング、サポート、更新を含む?
    ※ソリューションや組織の成熟度ごと変化(規模拡大とともに各対応に応じた専門部署が生まれていく)

    1. 顧客を3つのタッチモデルの層に分ける
    2. 各層ごとの構成割合を定義
    3. パレートの法則=売上の8割を占める層

    これらから、CS1人が適切に管理できる顧客数が確認できる
    あくまで目安だが、ハイタッチ=5〜15件 ロータッチ=20〜50件
    重要なのは、最も高い価値の顧客から得られている現在の収益(今後の増分も含む)を守るためにどれだけ投資するか

  • カバレッジモデルに基づき顧客とのやり取りの指針を決める
    まず視点を1対1→1対多に移行する必要がある
    顧客のエンゲージメントごとに対応を調整、全体の定着率を上げる
     機能や特徴を伝える +目標に沿った成功事例を伝える

    <やり取りの方法や時期を決める指針>書籍内p146参照
    各CS担当がどの分野にどれだけ時間と労力を割くかは、顧客情報から導き出した健全度に応じて個別に判断。
    重要なのは、セグメントごとに決めること。顧客基盤からの評価も上がり、どのモデルにも合った対応ができる。

  • 顧客とやり取りする頻度を決める
    全モデル共通とする包括的なコミュニケーション戦略を策定する
    月1回以上が望ましい 例)会社や製品のNL、地域ユーザー会、カンファレンス

    エンゲージメントモデルごとのタッチ計画と調整しながら年間計画を策定
    両者を年間カレンダーへ落とし込み把握することで各担当がアクションしやすい

  • 強固なロイヤルコミュニティを構築して顧客同士を結びつける
    コミュニティに対する戦略を積極的に立てれば、ユーザーによる関わり合いや知識交換の場が生まれ、一部手を差し伸べることで関係が育っていく
    顧客は成功代理人となり、マーケティングと見込み客を見出すエンジンの役割
    浸透スピード 顧客の間で広がる>自社で一方的に伝える
           前者の方が圧倒的に早く、短期間で変革を起こす可能性がある

  • 顧客のフィードバックグループを作る
    顧客は会社が成長する原動力である
    製品やサービスに対するFBを個人レベルではなく組織として担う
    全部署と連携しながら会社全体で受け止め、会社の戦略や将来への取り組みへつなげる

    顧客との関係強化〜ロイヤリティを生む3つの原則
    1. 連絡頻度を増やす
    2. 明確な見通しを決める
    3. 可能な限り透明性を保つ
    (従来は社内のIT部門が担っていた分野への責任もある 機能追加やバグ修正)

    肝心なのは、顧客が製品戦略、品質、カスタマーサポート、導入補助制度、会社のビジョンに対して意見する手段があること。このFBが将来的な成功にとって極めて重要。
    手法:アンケート、ウェブ上の投書フォーム、個別の定性調査や会合

原則6 本当に拡張可能な差別化要因は製品だけだ


   製品の価値を高めることが最優先事項である

   あらゆる機能に対して絶えず改善を繰り返し、カスタマエクスペリエンスを高める
   →顧客のFBが確実に全社へ行き渡り、製品設計に直接反映できるフィードバック  
    グループを決めることが重要。最高レベルの製品こそ、繋がりや基盤が強固。

   そこでポイントは、製品諮問機関(PAC)と実践コミュニティ(COP)の活用
   ※ソフトウェアのライフサイクル開発プロセス内で投入されるもの。製品性能の事業価値に関するやりとりが交わされる。

   大切なのは直感的な製品にすること。
   顧客との会議が機能の説明で終わるのでは付加価値を生み出す機会をい
   ヒントは身近なアプリの慣れるまでの過程を振り返る。

〜CSの役割〜
製品定着率を高めて価値を引き出す
顧客のライフサイクルやサポート機能に関する問題への対処によって不満の真意
自社製品が同分野で最高の製品であるようにする

原則7 タイムトゥーバリューの向上にとことん取り組もう

タイムトゥーバリューこそが更新やアップセルにつながる

ーーー何をすれば?3つのポイント

  • 具体的な成功指標を決める
    顧客は大枠の推進要因は挙げられても具体的な指標は頭にないケースが多い
    指標のリストを提示→指標を決定→基準値も決定

    ▼オンボーディングのキックオフMTGの会話例

「お買い上げの時点では、従業員のオンボーディング期間を縮めることが重要な要素と伺いました。今もお変わりないでしょうか。でしたら、まずは現在のオンボーディング期間を確認させていただきます。」
 オンボーディングを開始していいのは、このように成功指標を明確に決めた後だ。

本書より引用
  • 早い段階で価値提供に向け何度も取り組む

    第1段階:トレーニングとオンボーディング
    第2段階:潜在顧客のエンゲージメント
    第3段階(継続する):パフォーマンスの計測

    「第1段階のトレーニングとオンボーディングに集中してから」次のステップに進むべき、かつ、「達成可能な小課題になるまで細かくしてから繰り返し取り組む」ことが重要。

  • すぐ調整する
    当たり前のように思えるが、「調整はすぐに行う。期待値が危機にさらされていることに気づいた瞬間に、すぐ行動に移す」がとても重要。

オンボーディング後数週間から数カ月におけるCSMの最優先課題は、顧客が定めた価値に必ず到達できるよう粘り強く取り組むことだ。それ以外の、従来のカスタマーサクセス業務(新機能の導入や四半期ビジネスレビューの実施など)はどれも、この最優先課題に比べれば二の次である。

なおここでの「オンボーディング」とは、
「XX機能を利用している状態」「オンボーディングセミナーを受講し終わったこと」
のような定義になりがちだが、本質は「顧客が価値を感じること」である。

原則8 顧客の指標を深く理解する

ここでの顧客の指標とは、顧客の成功そのものを測る指標ではなく
解約率」「CMRR(既決月間定期収益)」など自社ビジネスに関する指標。
このチャーンとリテンションこそが自社の成功へ直結する。

<チャーンとリテンションを定義・理解する5ステップ>
計測方法とCMRRの要素を定める
計測期間と頻度を定める
CMRRの予想値とチャーンの種類を決める
チャーンの疑いがある状態と、チャーン間近の状態とを区別する方法を決める
会社の上層部が足並みをそろえて、チャーンとリテンションの基準となる定義と報告方法を固める

特にCMRRの概念の理解がポイントとなる

原則9 ハードデータでカスタマーサクセスを進める

※まず前提として、以下の原則はCS体制がレベル④に入る際有効である。
つまり、一定の「勝ちパターン」が確立された段階であり、かつ組織化されたカスタマーサクセスにのみ適用すべき。(指標を追うことが目的化されてしまう)

レベル①:初期段階(まず顧客の成功をどう導くべきか探り始めの段階)
レベル②:反復できる段階
レベル③:定義された段階
レベル④:管理された段階
レベル⑤:最適化された段階

ハードデータ活用における3つの視点と具体的な指標

  • 顧客とユーザーの行動

指標の例)
NPS
ログイン数とログアウト数
特定の製品機能/プラットフォームの利用状況

  • カスタマーサクセスマネージャーの活動

指標の例)
顧客とのやり取りにおける種類ごとの頻度
CSMが対応したサポートチケットの数
リスク識別の瞬時性
リスク低減活動の有効性

  • 事業の成果

指標の例)
総リテンション
純リテンション
収益増加率
顧客リテンション率
顧客満足度
NPS

▼上記を取れることでの変化 状況把握の解像度と具体的なアクションの精度向上
導入前 
顧客の活動は全般的にどういう状況か。チャーンのリスクが高い顧客はいるか。

導入後 
担当顧客のヘルススコア平均は、部署の他のメンバーより6点低い。(点数を下げている要因は、上層部との関係のようだ。)まずは最も点数の低い顧客から、この状況を変える計画を立てよう。
今後90日間に更新期限が来る顧客のうち、チャーンのリスクが高い対象が3件ある。対象顧客それぞれに対する実行計画を見直そう。

原則10 トップダウンかつ全社レベルで取り組む

(本物の)カスタマーサクセスとは何か

従来、多くの企業が力を入れてきた活動の核はこの2つ
・製品を作ること
・製品を売ること
カスタマーサクセスは、これらに次ぐ第三の核となる。

ーーーその背景には?
グローバリゼーションとテクノロジーで新規参入の壁が低くなった。
新規参入者たちによってサブスクリプションのような課金モデルが登場。低コストに誰もが顧客対象となる。
顧客が選択肢と選択権を持つように。
顧客は、ただツールを提供するベンダーではなく、成功に導いてくれるベンダーを選ぶ。

カスタマーサクセスはどのように価値をもたらすのか

・成長 顧客の成功→推奨者となり伝播、チャーンは穴の空いたバケツに
・評価 カスタマーサクセスの存在とリテンションには相関関係がある、外部の評価UP
・差別化 高いレベルでCS部隊が築けると他社との優位性につながる

どこから始めるべきか


成功を定義する
成功に関して足並みを揃える
カスタマーサクセス部門の話に耳を傾ける、優先する、権限を与える
カスタマーサクセスを計測する、報告する、褒賞を与える
会社を後押しする、成功を祝う

現場単位では?まずは特に重要な指標の計測から……
MRR/ARR 顧客あたりの月額/年額単価 ※単価でなく収益の場合も
ChurnRate  解約率
LTV
CAC  顧客あたりの獲得コスト
Unit Economics  1顧客あたりの経済性(LTVとCACの割り算)

◎用語集 各指標は個別ではなく、セットで関係を覚えるべき
チャーンレート……解約率
部分チャーン……失注以外の契約損失 例)製品のチャーン、値引き交渉
ネガティブチャーン……既存の顧客からの新規収益の金額が、キャンセルやダウングレードから失う収益を超えた状態を示す。
既存顧客からの追加収益(アップセル/クロスセル)>失注やチャーンによって失う収益

ユニット・エコノミクス……LTV÷CAC
1顧客あたりの採算性を指し、「顧客獲得のために投入したコスト」と「獲得した顧客から得られる利益」のバランスを見る指標。
主にサブスクリプション型のビジネスにおいて使われる、事業の経済性を表す管理会計の指標の一つ。 健全な状態を「ユニット・エコノミクスが成立した状態」という。
顧客生涯価値(LTV)……LTV = 顧客の平均購入単価 ÷ チャーンレート の式が一般的例)サービスの月額利用料が5000円、チャーンレートが10%の場合、
  LTV=5000円 ÷ 0.1 =5万円と計算される。
顧客獲得単価
(CAC)……CAC=顧客獲得コストの総額 ÷ 新規顧客獲得数
年間経常収益(ARR:Annual Recurring Revenue)/月間経常収益(MRR:Monthly )……年、月ごとに繰り返し得られる収益。月額課金制のビジネスの基本的な指標の一つ。
既決月間経常収益(CMRR:Contracted Monthly Recurring Revenue)……「将来の」MRR。⭐️CMRR = MRR + 獲得済み案件 - 解約予定案件

顧客満足度(CSAT:customer satisfaction )……概ね5段階。トランザクション調査とリレーション調査とがある。
顧客推奨度(NPS:Net Promoter Score)……満足度ではなく推奨度。0〜11段階。スコアの算出は「9〜10の回答割合」ー「0〜6の回答割合」
顧客努力指標(CES:Customer Effort Score)……比較的新たな指標。会社との仕事のやりやすさを1〜7段階で評価。トランザクション調査

製品諮問機関(PAC:Product Advisory Council)……PACは製品部門が主となり、顧客代表からFBをもらい、製品へ反映するという構造的かつ創造的プラットフォーム。
実践コミュニティ(COP:Community of Practice)……「製品に関する事業プロセス、ビジネス手法、課題をテーマとした意見交換の場」であり、「様々な事業分野の相手とつながる協働フォーラム」

アップセル……より優れた機能を備えた、より高価格のバージョンの製品へ
クロスセル……補完的な製品の提供
アドオン……顧客の現在のサブスクリプションに追加の機能を提供

コホート分析……Engagementにおけるコホート分析はインサイトを引き出しやすく投資家受けも良い。
〜コホートで分析できることの例〜
ーーーたとえばSaasだと?
・各週の新規登録ユーザーがどれ だけログインしたか(新機能追加前後で差はあるか)
・キーとなる機能を想定回数以上使っているユーザーの変遷
・獲得チャネル別でのエンゲージメントや再購買率
・プラン別でのキャンセル率

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