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硝子のテーマ詠

田丸まひる第二歌集『硝子のボレット』(書肆侃侃房、新鋭短歌シリーズ)上梓に合わせて、皆様にテーマ詠をいただきました。うれしさ、おすそわけ。


「硝子」

窓を射す木漏れ日それは(八分十九秒前のとても危険なprominence)硝子に溜まるまひるのheat                     しんくわ

神さまと刺し違えてもいい夜は硝子の鍵を束ねて鳴らす      笠木拓

手を振つてしまへばすべて暗くなる冬の硝子のくもりの内に    濱松哲朗

硝子の床をあなたは歩くぼくはふとその下にゐてパニエが見える  金尾釘男

抱き合っていたと思うよぼくたちはたとえ硝子でできていたって  龍翔

融点は定かではなく いつもいつも足元から崩れる都市の     中島裕介

八月の硝子にあたる雨音が染み込んだシフォンケーキを君に    正岡豊


「ボレット」

僕の体をぐるぐる回る弾丸の軌道はさしずめナルトの模様     しんくわ

月がまだ弾丸だったころのこと僕の目を塞ぎながら教えて     笠木拓

されど死を与ふるかたち手の上にやさしく弾を転がしてゐつ    濱松哲朗

まだ床に埋まつたままのボレットを探してゐるわ先に行つてて   金尾釘男

境目を確かめたくて弾丸を転がしている舌の先っぽ        龍翔

長袖のボタンを緩めひび割れたくちびるを銀の散弾とせよ     中島裕介

そうですね愛には愛の弾丸を撃てば豪雨もやむかもですね     正岡豊


プロフィール

しんくわ@shinkuwa ぺんぎんぱんつの兄。

笠木拓@fakefakefur 6月生まれ。京都帰り。山中千瀬とのユニット「金魚ファー」で活動中。いま食べたいのはあんみつ。

濱松哲朗@symphonycogito 「塔」「立命短歌」所属、「京都ジャンクション」同人。「穀物」(今秋創刊)でただ一人の昭和生まれ。

金尾釘男@Kanao_Qugio 歌集上梓おめでとうございます。ぺんぎんぱんつの星柄のとこを担当しています。って、何処?

龍翔@ryusho0510 年齢不詳。性別不詳。ミステリアスなひ と。うたつかいやうたらばなどに短歌を投稿中。ぴんくのぶた。

中島裕介@yukashima 1978年生……こういうプロフィール書くのはもういいよね。本がこれまで三冊出てます。ググってください。

正岡豊@haikuzara/@toujituusin 1962年生。京都在住。「獏」「短歌人」等を経て現在「sai」所属。歌集『四月の魚』。昨日の朝はインドの国旗の小旗を振っていました。

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