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他を見て己を知る

 大学で出会った親友はいつも物事を斜めから見るシニカルな友人だ。穿っているのではなく、クリティカル・シンキングというやつだ。とても的確に物事を捉えるので、何か迷ったり困ったときは冷静な判断を彼女に委ねることが多い。


 そんな親友のYちゃんは日文に通っていた。英語はあまり得意ではないと申告していたが、1年生の初夏、ランチを一緒に食べようと学食で待っていたら、意気消沈した面持ちで現れた。どうしたのかと尋ねると、自分の英語力の無さに改めて直面し面食らったという。


 私たちが通った大学は、入学式の次の日に英語のテストがあり、たしか10クラス以上のレベル分けをされ、1年間、同じレベルの人と共に授業を受ける。英語が苦手なYちゃんは真ん中より下のクラスだったが、話していると結構英語できるのになぁと不思議に思っていた。使っている教科書も高校レベルのもので、簡単すぎると言っていたので、一体何が起きたのか疑問に思った。すると
「隣に座ってた子がteaをテアって読んだのよ!コイツと同じクラスにいる自分、マジでやばいじゃん!って思ったわ。これ、二年間同じクラスなんだよね。死んだわー英検だかTOEICだか、自分で勉強しないと就職できないよ。」と。


思わず爆笑してしまった。自分が答えられなくて、ではなく周りを見て自分のレベルを認識し衝撃を受けるYちゃん。そしてちゃんと勉強しようとするところが、さすがだなぁと思ったのを今でも紅茶を飲む度に思い出す。

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