薬局の年末年始

2023年の年始業務が落ち着いてきた頃でしょうか。
薬局の年末年始は官公庁の仕事納め、仕事始めと同じ日程の場合が多いと思います。
薬局の年末年始であるあるテーマは、処方箋の期限切れかと思います。

処方箋に期限がある

処方箋には、発行日を含めて4日以内の期限があります。
”いま”、患者さんに必要な薬なので、保険手続きを経て医療を給付してください。
という意味合いが処方箋にはあります。
「薬を飲まなくても平気だったけど、やっぱりもらいたくて」
と言われた場合は、必要な薬が書いてあった処方箋の”いま”と、やっぱりもらいたくなった”いま”が違う可能性があります。
例えば、

Rp.1 カロナール錠300㎎ 1錠 とんぷく 疼痛時 10回分
Rp.2 トラネキサム酸錠250㎎ 3錠 分3 毎食後

の処方箋(のどの痛みがあって処方されたと思われる内容)を持っていて、やっぱりもらいたくなった理由が咳や鼻水の場合は、症状と処方薬のミスマッチが生じているため、処方変更が妥当と思われます。処方変更は医師が指示するため、再受診が必要です。
また、いまものどが痛くてやっぱりもらいたくなったとしても、数日前の咽頭痛といまの咽頭痛が同じかどうかを薬剤師が判断することは、保険調剤上は行いません。(OTC販売時は別です)

このように、欲しいと言われても渡せないのは意地悪でそうしているわけではなく、保険手続きを経て医療を給付するルールに合わないためです。

じゃあどうしたらいいの?

期限が切れた処方箋を持参された場合に、その処方箋を使って薬剤師ができることはほぼありません。
日付の違うチケットで電車や飛行機に乗れない、ライブやイベントに入場できないのと同じです。
処方箋=チケットを有効にできるのは発行元です。
処方元の病院等で再交付または再受診等の手続きを経て、有効な処方箋であれば受付し調剤が可能なことを説明するのが、薬局での仕事です。

電話で処方元に問い合わせて~という手段は、現在は禁じ手の場合が多いと思います。
調剤はあくまでも有効な処方箋をもって行われます。
いま、目の前で困っている人を助けたい!と思ってしまうかもしれませんが、ルールを捻じ曲げるとツケが回ってきます。
「どこどこの薬局なら期限が切れた処方箋でも上手いことやってくれる」
という噂が立つと、それはとても不味いことです。
「あそこならやってくれたのに、ここではやってくれないの?」
と詰め寄られることもあると思いますが、ここではルールを守らない調剤をやっていないと説明するしかありません。

オンリーワンにならないことが大切

薬局や薬剤師は医療の給付を担うわけですが、ルールを逸脱した、あまりにもオリジナルなことをやると、それは違うわけです。
どこでも同じように薬を受け取れる対応に配慮する必要はありますが、ここでしかやっていない脱法調剤は、やってはいけません。
いつも他の薬局でもらっていたけど、ここでもらってもそんなに変わらないね。くらいがちょうどいいと、私はそう思います。

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