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令和6年司法試験民事訴訟法 参考答案例

こんにちは、be a lawyer(BLY)のたまっち先生です。

今回は、昨日まで実施されていた令和6年司法試験の民事訴訟法について、be a lawyerの個別指導講師(77期)が参考答案例を作成しましたので、公開させていただきます。

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では、早速、令和6年司法試験民事訴訟法の参考答案例をみていきましょう。

設問1課題1
1 意義
   任意的訴訟担当とは、権利関係の主体が訴訟追行権を第三者に授与し、第三者が授権に基づいて当事者適格を取得する場合をいう。
2 要件
(1)判例は、民法の組合契約に基づいて結成され共同の目的を持って行われる共同事業体であり、組合規約に基づいて自己の名で財産を管理し対外的業務の執行する権限を与えられている業務執行組合員であることから、財産管理権が担当者にあり、被担当者である組合員の利益を損なうおそれが少ないため、弁護士代理人原則及び訴訟信託禁止の原則の潜脱のおそれがなく、訴訟担当を認める合理的必要性があるとして、任意的訴訟担当を認めている。
(2)そこで、任意訴訟担当を認める要件は、①弁護士代理人原則及び訴訟信託禁止の原則の潜脱のおそれがないこと、②訴訟担当を認める合理的必要性があることである。
課題2
1 判例と本件の異同について
(1)確かに、本件契約の更新、賃料の徴収及び受領、本件建物の明渡しに関する訴訟上あるいは訴訟外の業務についてはX1が自己の名で行うことが取り決められていることから対外的な業務権限は与えられていたとも思える。この点は判例も同様である。
(2)しかし、判例は共同目的の下に行われる共同事業体であるところ、本件はAが令和3年7月に死亡し、その子であるX1、X2及びX3がAを相続したという共同相続人間であり、団体の性質が異なる。
また、職務の一環として権限が与えられている判例に対して、本件は職務の一環として与えられたものではなく、時間的経済的負担が大きいことを理由に与えられたに過ぎない。
そうだとすれば、判例と比べ被担当者の権利利益を害する恐れが高い。 
(3)以上から、担当者たるX1はX2、X3の有する権利利益を損なうおそれがあり、弁護士代理人原則及び訴訟信託禁止の原則の潜脱のおそれがあるといえ、訴訟担当を認める合理的必要性も認められない。
2 よって、X1による訴訟担当が明文なき任意的訴訟担当として認められない。

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設問2
1 裁判上の自白の意義及び要件
裁判上の自白とは、相手方の主張する自己に不利益な事実を認めて争わない旨の口頭弁論及び弁論準備手続における弁論としての陳述をいう。
「自己に不利益な事実」とは、相手方が証明責任を負う主要事実をいう。なぜならば、敗訴可能性は自白の成否を画する基準として不明確であり、証明責任が基準として明確といえるためである。また、間接事実や補助事実に及ぼすことは自由心証主義に反するためである(247条)。
2 自白の撤回が許される立場
(1)本件陳述の撤回が許されるべきである。以下、その理由を説明する。
(2)自白の成否について
ア 本件訴訟物は、賃貸借契約終了に基づく建物明渡請求である。終了原因たる解除事由は、請求原因事実であるからX1が証明責任を負う主要事実である。そして、Yの「令和3年10月以降、自分の妻が、本件建物において何回か料理教室を無償で開いたことがあった。X1は夫婦でその料理教室に毎回参加していたが、賃料の話など一切出なかった。」という用法遵守義務違反たる解除事由を基礎つける本件陳述は、Yの相手方であるX1が証明責任をおう主要事実といえ「自己に不利益な事実」といえる。そして、Yは弁論準備手続内において陳述している。そのため、本件陳述につき自白は成立する。
イ したがって、Y1の本件陳述は裁判上の自白に当たる。
(3)自白の撤回について
ア 自白が成立すれば、証明不要効(179条)に加え審判排除効(弁論主義第2テーゼ)が生じる。そのため、証明不要であり審判排除効により相手方当事者の証明不要に対する信頼が基礎つけられることになる。そこで、信頼を確保するために自白の撤回禁止効が生じる。弁論準備手続は、「争点及び証拠の整理を行う必要があると認めるとき」(168条)に行われるものであり、自由な議論がされるべきであるから口頭弁論期日と同様に証明不要効や審判排除効の信頼を基礎とする撤回禁止効を認めるべきでない。
イ そこで、陳述の時期が争点や証拠が整理が熟して弁論期日終了間際であり、当該陳述について相手方の証明不要に対する信頼が生じ、その信頼を保護すべき事情がない限り、弁論準備手続における陳述は撤回ができると解する。
ウ 本件で弁論準備手続に付されたのは当事者双方で口頭において自由に議論してその結果を踏まえて争点を確定させるためになされたものである。そして、本件陳述がされたのは第1回弁論準備手続期日であり、まだこれから争点を確定させていこうとする段階であり、争点や証拠が整理が熟している段階と言えず、本件陳述について相手方の信頼を保護すべき事情はなく撤回が許されるべきである。
(4) よって、本件陳述は撤回が許される。

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設問3
1 既判力によって主張が遮断される根拠
(1)既判力とは、前訴判決における後訴への通用力、拘束力をいう。既判力の趣旨は紛争の蒸し返し防止にあり、前訴での手続保障を前提とする自己責任を根拠とする。事実審の口頭弁論終結時までの事由であれば当事者に主張する機会が与えられていたといえるから、手続保障を前提とする自己責任という根拠が妥当する。そこで、既判力の基準時は、事実審の口頭弁論終結時点である。
(2)解除権は、前訴に争われた請求自体に内在、付着する瑕疵に関する権利であることから、主張期待可能性があるとして、上記根拠が妥当し遮断されるとも思える。
しかし、基準時前の事由であっても主張期待可能性がない場合には手続保障による自己責任という根拠が妥当しないため、既判力により遮断されない。そして、解除権については原告側は行使するか否かについて選択権があることから、請求権に内在しているとしても主張期待可能性に基づく手続保障があったとまで言えない。
2  本件前訴は賃貸借契約終了に基づく建物明渡請求であり、セミナー開催は、令和3年1月から令和5年1月までの間に本件契約において、株式投資に関するセミナーを有料で月1、2回の割合で開催していたところ、口頭弁論終結時である令和5年4月より前の事由であるから、上記請求自体に内在しているといえ、上記主張はできないとも思える。
しかし、Xらは、Yによる本件セミナーの開催に気づいたのは本件判決確定後である。またXらは原告であり当該事由に基づいて解除権を行使するか否かについて、原告側に選択権があるため請求に内在していたとしても主張する期待可能性がなく手続保障による自己責任が妥当すると言えない。
3  したがって、本件判決の既判力によって解除権行使の主張を遮断することは相当でない。




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