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過去問検討の重要性

こんにちは、たまっち先生です。

今回は、過去問検討の重要性について、私が感じたことを記事にしていきたいと思います。

過去問検討が大切なのは、なんとなく印象としてお持ちだとは思いますが、なぜ過去問演習が大切なのかというと、
① 「ゴールを知る」ということ
② 問題の質が非常に良質であること
③ 過去問は本番で問題を作成する司法試験委員会が作成した問題であること
④ 出題趣旨・採点実感を読むことで本番でしてはならない間違いを分析できること

というメリットがあるからです。
以下、それぞれ詳細をみていきましょう。

① 「ゴールを知る」ということ

過去問検討が大切なのは、勉強がある程度進んだ人はもちろん、学習を開始して直後の人にも当てはまります。

まず、本記事を読んでいる方は多くの方が受験生の方だと思いますので、お尋ねしますが、過去問検討をしているでしょうか?
予備校の演習書ばかりに手を出して、過去問演習を怠ってはいないですか?
自分はまだ論証を覚えていないからと過去問演習を敬遠してはいませんか?
まだ学習を始めたばかりだからと過去問演習をする段階ではないと決めつけてはいませんか?

断言します!その勉強方法は間違っています!(少なくとも私はそう思います)。

司法試験・予備試験をマラソンに例えてみましょう。
マラソン選手がゴールを知らないまま漫然と走っているでしょうか?
そんなことありえないですよね。
どの選手もゴールを知った上で、ゴールとの距離を図りながらペース配分をし、ラストスパートをかける位置を決めていますよね。
司法試験や予備試験も考え方という意味ではマラソンと同じだと言えます。

つまり、試験勉強において忘れてはならないのは、「ゴールを知る」ということです。

ゴールを知らないと、ゴールを目指す過程で遠回りをしたり、ゴールを目指す途中で息切れをしてしまうことがあります。また、どうやって学習を進めていけばゴールに辿り着けるのかを見失ってしまう危険がありますし、そもそも何を目標に日々の学習を進めていけばいいのか分からなくなってしまいかねません。
これらの点には、共感していただける方も多いのではないでしょうか。

他方で、過去問検討をしておけば、学習した内容が本番でどのような形で問われ、どのような形で答案を作成すれば合格できるのかという具体的なイメージを掴むことができます。これは、ゴールを目指す上で近道であることを意味していると思います。

② 問題の質が非常に良質であること

司法試験や予備試験の問題は非常に良質だと言われます。
我が国における法律学者や現役の法曹の方々の知識を結集して問題を作成しているので、問題が良質であることは言うまでもないでしょう。
問題文を見てみても、分かるように司法試験の問題には無駄な事実が一つもありません。それほど何度も熟考を重ね、洗練された問題ということです。
そのことから何が言えるかというと、過去問は論文演習をする上で絶好の教材であるということです。
市販の演習書や予備校の答練ばかりを受講していても、本番の問題を解けないと意味がないですから、絶好の論文演習教材である過去問を解いていき、自分に何がどのように足りていないかを知ることが大切でしょう。

③ 過去問は本番の問題を作成する司法試験委員会が作成した問題であること

現在の司法試験・予備試験の受験業界では、予備校の台頭により教材が溢れており、模試や答練が実施されることも非常に多くなっています。それ自体は悪いことではないですし、むしろ社会人の方や非法学部出身の方々が法曹を目指しやすくなっているという意味では素晴らしい環境が整いつつあるのだと思います。
しかし、私が言いたいのは、そういった環境を否定したいのではなくて、受験生が何を最優先に考えなければならないかを忘れて欲しくないということです。
予備校等が作成した問題の質も非常に高いですが、上述したように、司法試験委員会の先生方が問題を作成し、採点まで行うのですから、司法試験委員会が何を思って問題を作成しているのかを的確に把握し、それに答える論述力を身につけなければ、最終合格はないということです。
したがって、受験生の皆様にはそのことを忘れずに、学習を進めてもらいたいと思います。

④ 出題趣旨・採点実感を読むことで本番でしてはならない間違いを分析できること

予備試験には出題趣旨、司法試験には出題趣旨と採点実感という問題作成者である司法試験委員会が出すメッセージがあります。

以下は、令和3年度司法試験の出題趣旨及び採点実感ですので、まだ見たことがない方はぜひ一読してみてください。

【令和3年度司法試験・出題趣旨】

https://www.moj.go.jp/content/001355370.pdf

【令和3年度司法試験・採点実感(公法系科目)】

https://www.moj.go.jp/content/001358131.pdf

国家試験において、問題作成者側が出題の趣旨や答案を採点してみての感想を発表するというのは非常に珍しく、司法試験業界特有のことであるといえます。
このような出題趣旨や採点実感は問題を作成、答案を採点した司法試験委員会そのものが作成しているのですから、利用するほかありません。
特に、採点実感では、答案の中で高い評価をした答案と低い評価にとどまった答案とを分けて、それぞれどの部分が高く評価されたのか、どの部分が低い評価にとどまったのかを丁寧に指摘してあります。
先の令和3年司法試験を例にすれば、公法系科目の採点実感では以下のような記述があります。
「規制1は相当に広汎な規制であり,匿名表現の意義を考えれば,強度の萎縮的効果を持つ ことは,容易に想像できるはずである。これらの問題文中に記載されている手掛かりについ て一切検討することなく,安易に「表現内容中立的な規制であるから中間審査で合憲である」 と論述した答案は,高く評価することはできない。逆に,個々の具体的な集団行進の公共の 安全に対する危険性の程度にかかわりなく,正当な理由なく顔を隠すことを一律に禁じると いう規制1の特徴を意識して論述した答案は,高く評価できた。
このように、前半部分では、低い評価にとどまった答案の理由が指摘されており、後半では高く評価された答案の理由が指摘されています。
このことから、皆様が過去問を起案した際には、採点実感を見比べながら、この部分は高く評価されるだろう、この部分は低い評価にとどまるだろう、という自己分析が可能であるということができるわけです。


以上のように、過去問検討の重要性は多岐に渡ります。
私が上記で述べてきたこと以外にも、過去問検討のメリットは多くあります。

ぜひみなさまには過去問検討を疎かにせず、最短合格を達成してもらいたいと思います。
また、過去問検討を行ったあとは、合格者による添削を受けることをオススメします。
私は「be a lawyer」(ビーアロイヤー)にて過去問添削や個別指導を担当しておりますので、ぜひご利用ください。


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