見出し画像

備中神楽

23日の満月の日
わたしが住んでいる地域のお祭りでした

地域の人は「荒神さま」というのですが、荒神社という小さな神社のお祭りで、毎年、春と秋には荒神さまの小さなお祭りをします。それとは別に7年に一度、「荒神神楽」という、ちょっと特別なお祭りをするのです。神楽大夫さんに来てもらって神楽を踊ってもらいます。

朝の10時からは3軒ほど家を舞ってもらい
昼食後、12時から夜中の0時までずっと踊りっぱなしなのです!

今住んでいるところは1年半前に引っ越してきたので、それくらいの情報だけで、ただ舞う祭りで、荒神さまは何の神様もよくわかってませんでした。広島でも神楽の文化があるようですが、わたしが生まれ育ったところは、幼いころに一度だけ神社で神楽が夜中にあったことは覚えているのですが、いつのまにかなくなっていました。

なので今回は30年ぶりくらいの神楽です。(正式には2年前にちょっとみたな(笑))

神楽ってなんだろ。よくわかんないし何を言ってるかわかんないから、そんなに面白くないだろう、くらいにしか思っていませんでした。

だけどこの備中神楽、想像を超えて面白かったです。
神様同士の喧嘩とか、日本神話の岩戸開き、吉備津舞、五行幡割りなどなど。現代風に冗談やアドリブを交えて演じられ、初めての人でも若い人でもわかりやすく、おもしろおかしく構成されていました。

そもそも備中神楽とはなんぞや?
備中神楽の栞をもらったのでそれによると

明治維新の直前の領域で、主に岡山県の西部あたりを備中と呼び、備中神楽は西暦1800年頃、神さまたちが楽しむ芸能と、また招魂や鎮魂のための神事としてつくられました。

荒神とは「火の神」「かまどの神」であり「産土荒神」「臍の緒荒神」と呼び、自然(木火土金水)への崇拝が暮らしに根付いたもの。また「あらぶる神」であり、凶作・疫病・災害等は荒神のたたりであるとして鎮魂を願う神事が荒神神楽なのだそう。

明治維新までは、月の満ち欠けをもとにした旧暦、太陰太陽暦をつかっていました。人の体は月の影響をうけているといわれます。女性は生理や出産、また満月のときに亡くなる人が多かったり、また、自然界でも新月や満月に合わせて種まきをしたり、収穫をしたり、虫の羽化は満月だったり・・・・

そのことをわかっているからこそ、自然(木火土金水)とともに生きているということを大事にしていたのだと思います。

グレゴリオ暦に変わってから、社会も人も変わってきたともいわれています。科学革命・産業革命、大量消費・大量生産、世界の人口も急激に増加。また病気の人も増えてきているのではないでしょうか。

自然のリズムを失ってしまってたった200年くらい。

これまで何千年もの培ってきた自然も、グレゴリオ暦を使い始めた生物、人間が出てきたことで、あっという間に自然破壊も進んでしまったように思います。

そして備中神楽の太夫さんがとても大事だから見てほしいと言っていた演目の五行幡割りでは神様の木火土金水の役割分担のお話。でも木火土金水はだたの役割分担の話ではないのです。太夫さんはこう話しました。

『「木火土金水と月と太陽」
これがあって人間は自然の一部でありこれに頼って生きている

そして人間のなかにも五体、五臓、五感など木火土金水があり、人間も自然の一部であり自然の影響をうけています。

人間の身体の中で一つだけ宮があります。

それは「子宮」

(伊勢神宮、熱田神宮、太宰府天満宮などと言うように)宮は、神様が宿る場所

子宮は子が宿る場所

子は神様
人間は神様

人間が生きているのは
まわりに人間がいるからです』

人間が生きているのは周りに人間がいるから・・・・わかるようなわからないような、でもなんか納得できるような。人は一人では生きていけない。一人になったときあっという間に人らしさや思いやりを忘れていってしまう。

人は人と関わり合うことで人格が形成されて、他がいることで自分の個を知る。誰かのために生き、誰かと支え合って誰かを見て自分を知って、喜怒哀楽を感じ、人生を豊かにする。

産業革命、科学革命によって便利になって豊かになったようで、いつの間にか支え合うことをしなくなっていったようにも感じます。何か大切なことを忘れておろそかにしてしまっている。

太夫さんはそういうことを伝えたかったのかなと思います。

災害も増え、あらぶる神の荒神さまは何かを伝えたいのかな・・・。

わたしが移り住んだ場所は過疎化が進んでいて、小学校も全校生徒が60名ほど。そんななかこういったお祭りが続けられるのかどうかもわかりません。だけど、この国指定重要無形民俗文化財となった備中神楽、このままお祭りという形だけでなく、大切なことを伝えていく術として、続いていってほしいなとおもいます。

わたしもできることはしていきたいな・・・・
とひそかに思うのでありました。

6年後、またこの荒神神楽が観れますように☆

ここまで読んでいただきありがとうございます サポートしていただけるととっても励みになります!