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13歳からの地政学: カイゾクとの地球儀航海


つれづれなる感想

 カイゾクさんから世界について教えてもらう会話式の地政学の書。
 カイゾクさんがいる骨とう品屋さんに子ども二人がいき、お茶を飲みながら話をききます。今どきの危機管理からすると、知らない人からお茶をごちそうになりながら話をきく、親も知らないお店に日々通う、となるとわが子に「行ってこい!」と言える自信はありませんが、この著書の主旨はそこにあるわけではないので、スルーすべき点ではあります。
 さて、世界情勢は、ニュースで知るだけでも、「世界の警察」であるアメリカの動向、中国の覇権主義強化および「赤い舌」、ウクライナ‐ロシアの戦争、英仏独と中国およびアフリカとの関係性など、その動きは将棋のゲーム展開や三国志のストーリー展開のごとく、面白いほど人間的である一方、冷淡な実益が絡んでいます。最近の日韓関係をみていても、小渕首相時代の日韓パートナーシップ関係から、日韓両政権の交代、韓国経済の悪化および右傾化により異常なほど関係が悪化しました。その間、政府間のパイプがきれ、韓国外交部には日本語を解する担当官が少なくなり、韓国外交官の出世街道から「日本」がはずれました。そんな状態を経て、史上最悪の日韓関係が続く一方、韓国文化の世界進出が進み、大衆文化での交流は促進され、政治・歴史領域の乖離が目立つようになりました。
 それらの世界の動きに関して、この著書は地球儀や地図を頼りに説明をしていきます。例えば、中国が南シナ海に人工島をつくり領土を広げていますが、現在の戦争にといて最も有効な攻撃手段である核ミサイルを発射する原子力潜水艦を隠す「深海」を欲していることなどが説明されます。
 いまや何事もなく世界中でつながっている「海の中を通じている」インターネットケーブルの存在などにも触れ、なぜ大国が海にこだわるのか、などわかりやすく説明してくれます。
 そして今宇宙船戦争が展開されていますが、なぜ今は宇宙になるのかを示唆してくれます。そんな話とともに、ニュースでイーロンマスクの発言や行っていることをきくと、いろいろなことが結びつき、ニュースを見るのが面白くなります。

#四谷大塚 #推薦書 である点

#四谷大塚 #推薦書 である点についてですが、完全なる私見としてまとめますと次の通りです。
 地図を見始めた小学校4年生くらいの子から読めると思います。カイゾクとのドキドキした会話から、どこまで内容を理解するかはお子さん次第ですが、世界を俯瞰しながら、話を読むと位置関係と内容がリンクして、理解が深まると思います。この本のすばらしい点です。
 しかし、日テレやフジテレビの情報を見ている子や、完全懲悪の戦隊ものが好きだった子などからすると、世界の両面性や各国の事情および立場を理解することは難しいかもしれません。日本中心で読み進めてしまうと、本著書の主旨とは異なってしまうかな、と思いました。
 小5の理数系男子の目の前に置いてありますが、『5分後に意外な結末』シリーズには負けてしまい、まだ手に取っていないようです。


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