15歳、プロ彼女、そして「レイプは魂の殺人」という言説について

こんにちは、多摩湖です。
ツイッターで書くには長くなるなと思ったし、切り取られてまた叩かれる事が予測されたので、今回はこういう場で長文を書くことにしました。
また、今回はレイプについて、「レイプは魂の殺人」と言われることなどについて書きますし、その描写のある漫画のシーンをいくつか引用させて貰っています。
レイプを受けて生々しい傷がぱっくりと口を開けてヒリヒリしている人や、レイプと聞くだけで震えがくる人には読んで欲しくないと思っています。
何故ならば、今のあなたをきっと傷付けるだろうと思うからです。回復しきるまで、あと一歩かな、と感じられた時まで、読むのは待っていてほしいと思っています。この文はずっと残しておきますから。

さて、今回の主題になるのはこちらの漫画。
大久保ニュー作画、ふめいちゃん原案。
15歳、プロ彼女〜元アイドルが暴露する芸能界の闇〜
https://www.cmoa.jp/title/135031/vol/1/
こちらの漫画のスクリーンショットを「レイプは魂の殺人」という言説の話をするために、文献として引用させてもらいます。

ふめいちゃん=メイちゃんの体験談が、どこまで本当でどこまで本当ではないのか、私には判断する材料がないのでそれについては何とも言えませんし、メイちゃんという女性が存在するかしないかも、ここでは問題としません。
また、芸能界の闇とか、児ポ法とか、メイちゃんがやってることは女衒だとか犯罪だとか、その辺も今回は問題にはしません。
あくまで「性行為」と「レイプ」に絞っていきますので、その辺りもご了承ください。

また、言いたいことをシンプルに組み立てることを優先した為、レイプを男から女へと書いていますが、それは男から男、女から女、また女から男へ等、性別関係なく全てのレイプに当てはまることではないかと思います。
なので、全ての性の人に読んでもらいたいな、と考えています。

メイちゃんは小さな頃からジュニアモデルをしていて、身長など今後モデルとして活躍できない事が見えてきたので、スカウトを受けそのままアイドルへの道を歩みます。
15歳になって、売れない底辺アイドルだという現実から這い上がりたいと望むメイちゃんは、同じアイドルの子に誘われ、芸能界の深い闇へと入り込んでいくことになります。
しかし、メイちゃんのスタンスは「引き摺り込まれた」ではなく、あくまでこの状態をなんとでも利用してのし上がりたい、というもので、かわいそうな利用された無知な被害者、という像には当てはまらないようです。
(違う視点から見ればそうなるでしょうが)
15歳のメイちゃんは、身体を使うことによって、色んな人脈と知り合っていくことになります。
親友になったラブちゃんからはこんな風に表される、クールで、自分を可愛く見せるアイドル職人がメイちゃんです。

男を何股にもかけて(20股?)でも誰も愛してなくて、メリットしか考えてなくて、でもセックスは好き。
そう、メイちゃんはセックスが好きです。
「やらずひっぱり」を覚えなさいとお姉様分である冬月さんに言われますが、メイちゃんは、男性に会って誘われると「この人はどんな身体をしてるんだろう、どんなアソコなんだろう、どんなセックスをするんだろう…」と考えてしまい、ついつい「喰ってしまう」のです。
セックスを武器にするしかなくて、仕方がなくセックスをするというより、「この人とセックスしてみたいので、ついつい喰っちゃった」中で、あー、まずいもの食べちゃったな、思った以上に美味しかったな、とセックスについて考えているのがメイちゃんなのです。
まずいセックスだったけど、これだけの報酬が貰えてラッキーと考えたり、これだけ頑張ったのにこれっぽっちか、なんて風に、メイちゃんはセックスと報酬(物理的でも、精神的にも)を結びつけて考えていて、セックスの相性があうと最高だと思いますし、どこかでメイちゃんはアイドル根性として「喜ばせてあげたい」という気持ちも持っていて、サービスをしてあげる(そして報酬を貰う)ことが、気質的にとても好きな様子。


なので、メイちゃんはとにかく沢山の男性とセックスをしています。
それは、メイちゃんが「自分が何者であるかはまだ分からないし、何になりたいかも分からないけれど、こんな場所にはいたくない、のし上がりたい」という野心を持ち、モテテクを勉強していったり、セックスを使ったりして、「自分の一番望む王子様」と出会ったり、また、「誰も知り合えないこんな男を喰っちゃった」優越感を満たしたいというところから来ているからです。


さて、そんな風に芸能界の闇を歩いているメイちゃんは、超有名俳優ユーさんと付き合うことになります。(4巻、5巻)
超有名俳優のユーさんは、いつも自分を持ち上げてくれる「男芸者」たちに囲まれてヨイショされていて、そして倫理観が壊れている人です。
ある日、ユーさんの男芸者の経営する会員制カラオケで、メイちゃんは、ユーさんとその取り巻き達に輪姦されることになってしまいます。
メイちゃんは、「怖いけど、超イヤだけど…」と思いながらも、メイちゃんの脳は冷静でした。

(どんな風にメイちゃんが物事を捉えながら、輪姦を見ていたのかは、実際に漫画を読んでみてください)
メイちゃんは、太鼓持ちの男3人と、ユーさんにも犯されて中に出されてしまいますが、ユーさんに「病院行くからお金ちょうだい」と言いそのままタクシーに乗り込みます。
そして、ラブちゃんに電話をかけて、前にラブちゃんが言っていた「モーニングアフターピル」についてそれはどこで買えるのかを聞き出し、産婦人科に向かうタクシーの中で、こんな風に考えています。

「(レイプされたらくるって聞く)PTSDはいつくるんだろう…」
「ショックは受けたけど、怖かったけど、どれも大したセックスじゃなかったしな…」(タンポンのアプリーケーターが描かれているのは、そのようにスムースに入る大したことない小さく細いちんこの揶揄です)
「貧乏なヤツらにタダでやられたのはムカつくけど…(乱行だったら20は貰えるのに…)」
「ただ、4人とやっただけだし…、あ、私…乱行慣れしてるから平気なのかも…(ヤリコンやっててよかった)」
とメイちゃんは考えるのです。


そして、産婦人科でピルを処方してもらいます。
このシーンでは、12時間間隔で2回とのことなので、おそらく中・高用量ピルでのヤッペ法だと思うのですが、描かれている箱はノルレボっぽいものとなっています。
初期にはノルレボも12時間ごとに1錠ずつと指導されていたこともあるのですが、酷い腹痛や吐き気などの副作用などの描写を鑑みると、やはり中・高用量ピルでの緊急避妊なのではないか、と思います。
ふめいちゃんが飲んだのはもしかしたら中用量ピルで(だいぶ前に高用量ピルは製造中止になっているので)何錠を飲んだか忘れてしまい、作者の方が、アフターピルで検索した画像を元にするなどして、混同して描かれた可能性が高いかなぁと思います。

メイちゃんは「なんで女だけが苦しむの?きっと今頃男達は普通に過ごしていて昨日のことを思い出してオナニーしたりするんでしょ?
性犯罪者なんて(犬や猫みたく)去勢されればいいのに!!」と涙を流します。

そのあとメイちゃんは、レイプされた事そのものよりも「生理がいつくるか」のことに悩んでいます。
そしてネットで調べた「PTSDやフラッシュバックというのはいつくるんだろう?時間差で来るなんて恐ろしすぎる…」と、レイプされた女性に来るとされる精神的症状を恐れながらも、「でも、私、レイプを思い出してもムカつくくらいだな…」と思っています。
それは、「タダ乗り」されたから腹が立つという怒りなのです。
そして、同じアイドル仲間のパピ子ちゃんから、なんでもAmazonで買い物をさせてくれるファンにレイプされたという話を聞かされます。
「彼氏にレイプされたことを知られたらどうしよう」と泣くパピ子ちゃんを、コロンちゃんが叱咤します。
「1回ヤられた程度で傷なんかつかねーよ!」
というコロンちゃんのセリフが印象的です。
そして、「レイプは別だよお…」というパピ子ちゃん。

(途中略)

金づる(Amazonでなんでも買い物をさせてくれるファン)を失ったパピ子ちゃんは、別の金づるをメイちゃんに紹介してほしいと頼んでいるわけですね。

「私はきっとレイプのことでは泣かないし、PTSDになんかならないと思った」
「生理が終わってから3人の社長とセックスしていたし、全然セックスが怖くなんかないし、面白いし」
そして場面は変わりますが、ラブちゃんに対して「(レイプには)傷ついてないよ」とメイちゃんは言うのです。

…そんな風にして、メイちゃんの物語は別の場面へと移っていきます。
レイプを受けたメイちゃんとパピ子ちゃん、二人の捉え方はとても対照的です。

私は、この一連の流れに、非常に示唆的なものを感じました。
メイちゃんの周りには欲情が溢れています。
「私たちはその欲情を利用しないと生き残れない弱小アイドルなんだ。
でもそれはもっと上に行くためで、こんな最悪な場所にしがみつく為じゃないーー」

さて、メイちゃんだけでなく、私たちの周りには欲情が溢れています。
それを言い換えたものが、性的消費だったり性的搾取だったりするのかも知れませんし、「欲情の目で見るのをヤメロ!」という言説だったりするのかも知れません。
メイちゃんの生き方は、その欲情をどう使うか、どうあしらうかという示唆に溢れています。
欲情を、何か自分から奪ったり、すり減らすものだと叙情的に捉えるのではなく、使うものだ、ある意味で道具だと捉えているのも非常に面白いことです。

少し脱線しました。元に戻しましょう。
メイちゃんは、喰われちゃったと受け身なことは言いません。いつも喰っちゃった、と能動的に言います。
これはまさに、抱かれる女から抱く女へであり、すべてのセックスはレイプだではなく、すべてのセックスは女が喰うのだ、という感覚を体現するのです。
「だってマンコって口みたい」
侵入され征服される為の性器ではなく、捕食する為の器官。
これは、ものすごく大きな価値観の提示であり、フェミニズムが提供して来なければならなかったものであろうと、私は思うのです。
興味がある方は、是非ともこの漫画を読んでみてほしいと思います。
あなたの持つ「隠れ貞操観念」は何か、メイちゃんが突きつけてくるかも知れません。

レイプされると、魂が殺される、フラッシュバックが来る、PTSDになる、傷付く…という事を私たちは素直に受け入れ過ぎているのではないか、という示唆も、メイちゃんはしてくれます。
これは、レイプが大したことがないという意味でもないですし、レイプという行為の何ら軽減でもないですし、罪の赦しでもなければレイプの許容でもありません。
また加害者をだから許せというものでもなく、そういうものを切り離して、「私とレイプの身体性」について語っています。
そこら辺を骨髄反射でぶっ叩きに来たり、多摩湖はついにレイプ擁護をしだしたなんて捻じ曲げまたりしないでね!
強く言いますが、私はレイプを擁護しませんし、許容もしません!何故かと言うと人権侵害だからです!

私は前々から「レイプは魂の殺人」という言い方に反発して来ました。
あなたは、レイプによって被害者の魂が殺されていて欲しいのか?被害者の魂が殺されていて欲しいのは、誰なのか?それを言うあなたではないのか?と問うて来ました。
被害者本人が「私はレイプによって魂が殺されました」というのは、何も問題がないのです。(本当にこれは強調しておきたい。そう思う被害者のあなたに何も問題はないのです。あなたがそう思ったことは、仮に誰かが何かを言ったとしてもそれでよいのです)
しかし、レイプ被害の支援者やフェミニストたちが声高に「レイプは魂の殺人だ」という事には強い違和感を感じるのです。
「レイプは魂の殺人」という言説には、古い貞操観念が籠っていると、私は思います。
つまり、レイプを受けたら、魂が殺されるほどの傷とショックを受けて欲しいという強い願意と呪詛が掛かっているのです。
なぜ、レイプを受けたら魂が殺されるほどの傷を負って欲しいのか?
それは、それほどまでに大切な「貞操」が汚されたからに他ならないからです。
貞操や操は命に代えても守らないといけないもの、それが犯されそうになったら自害せよというものが暗黙の了解だった時代があります。
結局、「レイプは魂の殺人」というのは、女性にとっての貞操はそれだけ大きく、また心が殺されるほど傷付かなければならないほど、立ち直れないほど「貞操(もしくは好きな人とだけ契りを結ぶことが尊いとされる価値)」は重いものなのだと声高に言っているのと同じだと私は常々感じているのです。

暴力を受けると人間は傷付きますし、ショックを受けます。これは当たり前です。肉体的に傷が付きます。そして精神的にショックを受けます。これは普通です。当たり前のことです。
ですが、「レイプは魂の殺人だ、レイプを受けるとPTSDになる、フラッシュバックに襲われる事になるーー」と声高に言うことは、膣と膣口は、「自分が決めて同意したものだけが入ってもいい」神聖な場所で、好きでもない男や、どうでもいい男、また許容していない男に侵入されて犯されてはいけないし、犯された事によって、魂が汚れたり、擦り減ったり、純潔を失ってしまう、そのような強いファンタジックな意味づけに雁字搦めにすべき場所なのだと、声高に言っているのと同じではないでしょうか。
好きでもない男とセックスをすると、汚れる、魂がすり減る、大切なものが失われてしまうーー。経験人数が多い女性に対しても、セックスワーカーに対しても同じファンタジックな言説がかけられることがあります。
私の子宮も、膣も膣口も、私の身体、私自身であって、外側から、そこに身勝手に侵入されると女性は何かよく分からない、家父長制が意味づけてきた概念的な、観念的な実在しないものが、汚れたりすり減ったり傷付いたり、失われたり、心が殺されたりするのだと言う言説を、私はフェミニストとして受け入れることが出来ません。
レイプで魂が殺されなかった女性は、どこかおかしいのでしょうか?
レイプで魂が殺されなかった女性は、女性ではないのでしょうか?

レイプを受けた被害者が、「私の身体は、魂は、汚れてしまったのだ。私は殺されてしまったのだ」と傷付くことは否定しません。その人にとってはそうなのだな、と思い、それを尊重しますし、その傷が癒えるように祈ります。
ですが、フェミニストや支援する側が、そのような言説を振り回す事に、私は反対します。
私の身体、私自身。
レイプの被害をどう受け止めるかもまた私(被害者)の自由だからです。
勝手に、周囲が、魂が殺されることだ、PTSDになるのだ、フラッシュバックが起こるのだ、と言うのは、被害者の政治利用だと私は思います。
党派性の強化の為の言説でしかないと言えるでしょう。
そうしなければレイプが犯罪だと認められないからだ!なんて言われそうだけれど、レイプが社会的に犯罪でないと、本当に思われているのでしょうか。
レイプなんか大したことがないと、本当に思われているのでしょうか?
レイプを本当になくしていきたかったら、「レイプは魂の殺人!」と叫ぶのではなく、レイプを受けた時にどんな風に行動すればいいか、また選択肢があるかを周知し、その選択肢を取れる為の支援を、ただコツコツと増やす、現実的な社会改革をするべきではないでしょうか。
泣き寝入りをする女性が減れば、レイプも減るのではないですか。
どうせ泣き寝入りをするだろうとタカをくくってレイプに及ぶ人間を減らす為には、泣き寝入りしなくていい環境づくりは必須です。痴漢だってそうです。
男性に「魂の殺人なんだ!」と叫んだところで、レイプする奴にとっては関係ないですし、ならばそれほど痛めつけられる行為なのだと喜んでやるだけです。サディズムが満たされることでしょう。自分は一生、消えない傷を付けてやったのだと優越感に浸らせるだけなのではないですか。暴力とは己の優位性、優越性の差を見せつけて黙らせることです。
ならば、我々フェミニストの取るべき方策は何なのか、見えてくると思いませんか。
そろそろ徳治主義をやめて、現場のコツコツとした地味な改革の汗をかいてみてはいかがでしょうか。まあ言いたいことはそう言うことではないのですが。

フェミニストにも、支援をする人にも、そして全く関係ない人にも、立ち止まって今一度考えてほしいのです。
「レイプは魂の殺人だと言うのは、何のためですか?誰のためですか?レイプ被害者にこうあってほしいを押し付けていませんか」と。
差別意識を無くしたいと思うがあまり、過剰な比喩表現で、被害者の主体性を奪うことになっているのではないでしょうか。被害者とその被害は、誰のものでもなく、その被害者本人のものなのです。
差別意識をなくすことと、差別をなくすこと。
これは、アクションの方向がまったく違うもので、目指すべきは差別をなくすことです。そのために私は、私の分担できる範囲でこうして活動しています。
以上です。長い文章をここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。


おまけ
「レイプは魂の殺人なんていうやつがどこにいるんだよ!」
「おらよ!」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000212839.pdf

別のおまけ・元プロ彼女のノート
https://note.mu/meikosecret

多摩湖

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ネオリブの多摩湖です。長文を書きたい時の為に。
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