経済的指標で測れないもの

先日、大学時代からの先輩友人が運営するYouTubeチャンネルに出演した。彼は京都に住む日本人で、そのチャンネルでは日本文化を紹介している。登録者は全員英語圏ユーザーで、登録者数は170万人もいる。

久しぶりに連絡を取り、PlanetDAOについて相談したら、すぐに活動をサポートすると言ってくれて、チャンネルに出演することになった。いくつかの質問の中で、なぜこの活動をしているのかと聞かれた。なぜだろう。

テレビやSNSで見かけない日はない「円安」という言葉。残念ながら、日本は今後高度成長期のような速度で、またアメリカのように経済的な高成長を遂げることは望めないだろう。物質的に豊かな国々の住民は消費を楽しむ。一方、日本の国全体の人口は減少し続け、不安が漂っている。

でも、日本にはお金では買えない非物質的な価値が存在する。

日本の住みやすさ、安全性、福祉は顕著で、子どもが一人で歩ける国は世界でも珍しい。（はじめてのおつかいの動画が世界中で驚かれたように）またこの保育料で、このサービスクオリティで保育をしてもらえるのかと驚く。

そして自然密度の高さ、歴史、文化。各地域ごとに独自の文化があり、「ご当地」キャラクターを生み出すなど、日本特有の現象だと言われている。公共機関が充実しており、都市部から数時間で様々な地域にアクセスできる点も、日本の大きな魅力の一つだ。

経済的に豊かになっても手に入らないものが、この国には意外と多い。福祉は国家システムの核であり、すぐには変えられないし、自然や歴史、文化も10年や20年で作れるものではなく、お金では買えない。それらは千年以上の時間をかけてゆっくりと形成されてきたものだ。

今、プロジェクトを一緒に推進している人も、かつて海外に住んでいたが、「東京の街並みがフィリピンやシンガポールの都市部の景色で見たことがある」と感じたと言っていた。グローバル化が進む中で、同じ判断基準での意思決定が行われると、似たような景色が増えてしまうのだろう、と。

自然や文化、歴史は価値を測るのが非常に難しい。経済的観点だけで判断すれば、大切なものを失ってしまうこともあるだろう。建物を壊して駐車場にする、森を切り開いて工場を建てる―これらは日本全国で見られてきた現象だ。PlanetDAOでのとある地域でも、若い世代から「管理が大変なのであれば、地域の寺を撤去したほうがよいのではないか」という声もあるそうだ、という話を聞いた。

今、世界中の3千万人以上の旅行者を魅了しているのは、日本が提供するサービス、自然、歴史、文化のおかげだ。これらを時代に合わせて保全していく仕組みが必要だ。だから私たちがPlanetDAOを創っている。