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箱根駅伝2023展望 勝負の鍵は3区?!

箱根駅伝2023の展望記事第三弾です。

今回は、主に往路について、区間ごとに展望を書きたいと思います。

1区:中央:吉居大和選手は?

1区は、中央の吉居大和選手が来るか来ないかで、全然展開が変わってくると思います。まず、来ない前提で展望します。

1区予定(想定)の主な選手

1区予定の選手で、最も実績のある選手は、専修大学の木村選手です。
木村選手は今回の予選会日本人トップで、前回の箱根駅伝も1区を区間4位で走っています。予選会では16キロくらいから集団を抜け出して独走でゴールしています。
それ以外の有力選手は、予選会上位だと、明治:富田選手(日本人3位)、大東:久保田選手(24位)、前回1区出走者は、東国:山谷選手(7位)、帝京:小野選手(8位)、東洋:児玉選手(12位)、山梨:木山選手(14位)辺りでしょうか。
有力校は、駒澤は円選手。出雲駅伝記録会を2位・全日本大学駅伝1区4位・上尾ハーフを61:51で全体3位で走っています。青学は目方選手。出雲駅伝1区3位・全日本大学駅伝1区2位・MARCH対抗戦一万mを28:19で2位で走っています。國學、中央、順大はどうなるか分かりません。それぞれ木村選手、溜池選手(出雲駅伝5区2位)、油谷選手(出雲駅伝4区5位)がエントリーされていますが、交代がありそうです。國學は青木選手(出雲駅伝1区7位、全日本駅伝5区1位)が入りそうです。中央はこのままもありますし、吉居大和選手か千守選手が入るかもしれません。順大は、三浦選手か西澤選手が入る可能性が高いと思います。
吉居大和選手が来なければ、1区はかなり牽制でスローペースになりそうに思います。木村選手は予選会のレースから、仕掛けるとすると終盤・六郷橋付近でしょう。そうなると、有力校の選手はだいたい先頭グループにいて、それほどの差は開かないのではないでしょうか。

吉居大和選手が1区にエントリーされた場合

ただ、その想定は、1区に吉居大和選手が来たなら、大きく変わってきます。吉居大和選手が来るという事は、他の有力校を引き離したいという事なので、序盤か中盤か、どこか早めの仕掛けがあるはずです。最初からハイペースで飛ばした場合、そこに付く選手はどれだけいるか。専修大学は失うものは何もないので付いていくような気がします。一方、明治の富田選手は「1区で絶対に出遅れないように」起用されていると思うので、自重しそうに思います。
一方、青学の目片選手は、全日本大学駅伝で最初からハイペースで飛ばしたように、思い切ったレースをする可能性があります。吉居選手に付いていくかもしれません。その場合に駒沢の円選手はどうするか、他の有力校もどうするか。結構レースが荒れそうに思います。駒澤が失敗するとすると、この場合でしょう。自重し集団が牽制で遅くなって差を開けられてしまうか、付いていって潰れてしまうか。吉居選手が1区に来て、レースを動かした時に目片選手が反応すると、面白くなる可能性はあります。(もっとも、目片選手も全日本の1区の終盤はバテて後ろに差を詰められていましたので、付いていく事で逆に遅れる可能性はあり得ます。箱根の1区は長いですので。)
それくらい吉居大和選手の実力は、ちょっと頭抜けていますので、ここに来るとでーすは大きく動く可能性があると思います。

2区:スーパーエース達の競演

2区は各校のエースが集まる区間です。特に近年はレベルが上がっており、前回は12人が68分を切っています。そして、ここで遅れると挽回は非常に難しく、前回2区で68分を切れなかった大学でシード権を獲得したのは、1区独走で大きく貯金した中央大学だけです。
今年はどういうエースの競演がみられるでしょうか。

2区の出走予定(想定)選手

駒澤:田澤選手(前回区間賞、出雲3区2位、全日本7区区間新で区間賞)
青学:近藤選手(前回区間7位、出雲3区3位、全日本7区区間新で区間2位)
創価:ムルワ選手(前回区間2位タイ、出雲3区区間賞、全日本7区区間3位)
山梨:ムルア選手(上尾ハーフ61:17独走優勝、一万m27:43)
國學:平林選手(学生ハーフ優勝、出雲3区6位、全日本7区4位)
日体:藤本選手(前回区間10位)
東国:丹所選手(前回3区区間賞、出雲3区5位)
法政:内田選手(前回1区9位、出雲3区4位)
中央:中野選手(前回4区5位、出雲3区7位)
順天:三浦選手(前回11位、全日本2区3位)/ 野村選手(全日本3区7位、前々回10位)
東洋:石田選手(出雲3区9位、全日本2区9位)
早大:石塚選手(前回4区6位、予選会51位、全日本3区3位)
明治:児玉選手(前回3区14位、予選会日本人4位、全日本2区4位)
帝京:西脇選手(前回10区10位、学生ハーフ9位)
東海:石原選手(予選会47位、全日本3区区間賞、前々回3区区間賞)
国士:カマウ選手(予選会22位、世田谷ハーフ62:43優勝)
専修:キサイサ選手(前回3区20位、予選会23位)
大東:大野選手(予選会20位、全日本5区9位)
城西:斉藤選手(予選会27位、激坂王優勝)
立教:國安選手(予選会21位)

田澤選手、近藤選手、ムルワ選手の3人が頭抜けていると思います。中でも田澤選手は、出雲は体調不良を押してのレースで区間2位でしたが、それ以外では少しレベルが違う走りをしています。さすがに田澤選手が区間賞本命だと思いますが、近藤選手もそれほど差を開けられずにいきそうに思います。
(ただ、そのためには1区の流れが重要で、1区は青学がやや格上のように思います。)
その次のグループは、國學の平林選手が中心になると思います。学生ハーフ優勝と長い距離が得意な平林選手ですが、全日本大学駅伝の7区では、上記3人に続きハイレベルなタイムで走っています。箱根では、どれくらい くらいつけるでしょうか。
日体の藤本選手も強いです。前回の2区では、1区で大きく出遅れた中、三浦選手を引き連れで追い上げ、最後には三浦選手を引き離し、悪い流れの中でも67分半ばでまとめています。今年こそは良い流れでもらって、区間上位で走ってほしいです。
法政の内田選手も注目です。今年、覚醒した感じで、出雲駅伝ではムルワ・田澤・近藤選手に次ぐ区間4位で走っています。その後のレースでも好調を維持していて、どれくらいで走ってくるか楽しみです。
丹所選手は今年、調子が良くないようですが、夏合宿に走り込んだ疲労が抜けてないとの事で、疲労が抜けて走り込んだ足が活かせれば、すごい走りをするかもしれません。
これだけ好選手が揃っているので、今年は67分切りの選手もかなり出てくるように思いますし、田澤選手には区間記録の更新も期待がかかります。
それだけハイレベルな記録が出そうなので、上位を狙う大学は、それに差を開けられないようにしないといけません。中央の中野選手は今年エースに成長しました。元々登りが得意なので、2区終盤の登りは中野選手向きです。1区に吉居選手が入ってリードをもらえたなら、その差を活かして足を溜め、終盤の登りで爆発させれば上位3選手に対抗できるかもしれません。順大は、前々回に区間10位で走っている野村選手か前回藤本選手にくらいついた三浦選手で何とかついていきたい所です。ここで差を小さくできれば3区以降は強いですので。
それ以外の選手は、少し上位の選手とは力の差がありそうですが、なんとか粘っていきたい。そこで粘れた所がシードに近づく事になると思います。

3区が勝負の分かれ目?

2強の勝負を考えた時、3区は非常に重要だと思います。2区はさすがに田澤選手が強いと思いますが、近藤選手もそこまで差を開けられないのではないかと思っています。
その時、3区で差が開くか、つまるか、は、その後の流れに非常に重要です。
駒澤は、スーパールーキーの佐藤選手の投入が噂されています。
佐藤選手は5000mが13:22と、ちょっと頭抜けたスピード性能を持っていて、出雲駅伝ではそのスピードを存分に活かして区間新でトップに立ち、駒澤独走の流れを作りました。全日本でも区間新で創価の葛西選手に競り負けたものの他の大学を引き離して駒澤が抜け出す元となっています。ハーフ距離のレースは初めてですが、高校駅伝でもずっと登りの3区をスピードで押し切って当時の日本人最高を更新していて長い距離が苦手という訳ではありません。3区はスピードを活かして最後まで押し切るのに向いているコースでもあり、スピードを活かして差を開くようだと駒澤独走の流れができてしまうでしょう。
青学は横田選手。昨シーズンの出雲駅伝では2位争いを制して2位を確保するレース巧者ぶりをみせています。今シーズンの全日本駅伝でも前をどんどん追いかけるレースをしています。ただ、出雲駅伝では佐藤選手と同区間を走り、佐藤選手のスピードに引き離されています。20キロのレースでも、佐藤選手のスピードが上回るか、横田選手がレース巧者ぶりを発揮して追い上げるか。差を詰めたり追いついたりすると、復路は青学の方が強いと思っていますので、青学が優位になる流れになりそうです。

2強以外では、國學が山本選手。前回区間5位で、その後ハーフマラソンの学生歴代2位の記録を出しています。どれくらい追い上げられるか、平林選手がどれくらいの差でくるかと同様、注目です。
順大が前回区間3位の伊豫田選手。今シーズンは関東インカレ1万で優勝していてさらに成長しています。区間賞の筆頭候補になると思いますが、どれくらいの差で渡されるでしょうか。どこまで追い上げられるかが、順大の上位進出に必須です。
中大は、ここに吉居大和選手を投入する事も考えられます。その場合はやはり区間賞候補で大きく追い上げる事が期待されます。吉居選手を1区か2区に投入して上位を狙い、3区は千守選手で粘る方策を取るのかもしれません。
早大は一万m27分台ランナーのエース井川をここに投入しました。井川選手はこれまで、前々回1区5位、前回1区16位と当たり外れが大きかったのですが、今シーズンは安定して良い走りをしています。ここで大きく追い上げられるでしょうか。
城西の留学生キムタイ選手がここにくるかもしれません。城西は2区までは苦戦が予想されますので、どれくらい追い上げられるか。

4区:超高レベルの争いに

4区には、前回区間賞の創価・嶋津選手と前回区間2位の順大・石井選手が出走します。しかし、この2人が区間賞争いの本命という訳ではありません。というのは凄い選手が出走してくる事が予定されているのです。
それは、東京国際大のヴィンセント選手。2区・3区の区間記録保持者が4区の区間記録更新を狙ったここに来ます。今年は怪我で出雲駅伝と全日本駅伝の出走を見送りましたが、12月の段階で調子は8割がた戻っているとの事。出走すれば区間記録を大幅に更新する事が予想されます。圧倒的な走力の持ち主で、対抗できるのは田澤選手くらいでしょう。どう考えても区間賞候補筆頭です。
また、2強の駒澤:鈴木選手と青学:岸本選手も頭抜けた走力の持ち主で、区間記録の更新くらいでは走りそうです。鈴木選手は日本選手権で3位になるほどの学生レベルを超えた選手。怪我で長く走れませんでしたが、復帰戦の出雲駅伝アンカーであっさり区間賞を取るように、普通に走れば日本人選手の中では圧倒的な総力を誇ります。岸本選手の方も、1年次に箱根2区でチームをトップに押し上げるほどの選手。駅伝では必ず上位で走ってくれる「駅伝男」でもあります。今年は出雲駅伝は出走を見送り、全日本駅伝もまだ調子が戻り切っていませんでしたが、MARCH対抗戦では3位と調子を戻してきています。2人とも、2区を走っても区間上位で走りそうな選手で、4区では(ヴィンセント選手を除けば)頭抜けた選手だと思います。2人とも登りを苦にしない選手で4区向きでもあります。2人とも強いので大きな差はないでしょう。なので、なおさら3区までの流れが重要だと思います。
中央はルーキー吉居駿恭選手。一万m28:06のスピードを誇り、大学駅伝でも即戦力で活躍しています。初のハーフの距離、ハイレベルな選手の中で、どれくらいやれるでしょうか。
國學は2年の鶴選手をエントリーしています。ハーフ62:15の記録を持っています。ただし大学駅伝初出走で、周りが強い選手ばかり、さすがに荷が重いと思いますが、どこまで対抗できるでしょうか。それか、エースの中西選手を投入するかもしれません。前回区間4位で走ってる選手。今年は学生ハーフ2位など外さない活躍をしています。その場合は区間上位では走ってくると思います。
最近は3区に準エースを投入する大学が多かったのですが、今回は4区が準エース区間になっているようです。それ以外の選手もハイレベルで、ここで出遅れる事も、上位戦線やシード争いからの脱落を意味してしまうかもしれません。

5区:山を制するのは?

5区は今回も激烈な争いとなりそうです。前回の経験者では、3位・青学・若林選手、4位・駒澤・金子選手、5位・順大・四釜選手、6位・中央・阿部選手、11位・早大・伊藤選手、13位・国士・山本雷我選手、14位・日体・吉富選手、16位・法政・細迫選手の出走が予想されています。ここに、前回2区12位の國學・伊地知選手、前々回5区6位の城西・山本唯翔選手などが加わる形でしょうか。
駒澤と青学は別の選手の出走も噂されています。駒澤は全日本4区区間賞の山川選手が登り適性が高いと言われています。青学は脇田選手が夏合宿の登り練習でトップだったそうで、若林選手と同じくらいで走れると言われています。個人的に注目なのは、駒澤が激坂王3位の宮城選手をエントリーしていなかった事で、エントリーしている山登りの選手はそれ以上で走る目処が立っているという事なのでしょう。
注目度が高いのは、國學の伊地知選手。前回2区を67分台で走っているエースがここに入ってきました。國學は過去、エースの浦野選手が高い走力を活かして山で区間賞を取った事があり、その再来を狙っていると思われます。
また、早稲田の伊藤選手は今年、トラックで高校時代の自己記録を更新し、全日本の7区で区間5位と大きく走力を伸ばしています。去年よりは大きく順位を上げてくると思われます。
個人的には、これだけハイレベルな争いになると、順位を大きく上げる選手はあまり居なくて、逆に失速すると大きく順位を落とす事になる、そういうハイレベルなサバイバル戦になりそうに思います。とにかく堅実に走る事が求められるのではないでしょうか。
そういう意味で、2強の争いも、ここでは差があまりつかず、3区までの流れが続くように思います。5強についても、5区はどこも強いランナーが揃っているので、誰も失速しなければ、ここでは順位は保たれるように思います。

復路について簡単に

復路の展望は簡単に書きます。2強では、復路は青学の方が少し強いと思います。ただ、原監督が「少しトラブルがあった」と言っていたので、ベストの選手が誰か走れなくなっているようです。(青学の層ならカバーできそうですが。)
ただ、往路である程度の差で駒澤が前に居れば、逆転できるほどの差はないように思います。8区に花尾選手が居るのが大きく、ここで突き放す事ができれば、9区10区の去年の区間新コンビでも逆転は難しいのではないでしょうか。
2強以外では、中央が充実しています。どの区間でも攻める事ができそうで、2強以外相手ならば、少々の差はどこかで逆転しそうに思えます。
シード争いは、往路である程度の流れはできてしまっているように思います。ただ、箱根は色々とトラブルが起こりうるので、どこも諦めずに追いかける事が重要でしょう。

まとめると
1区に吉居大和選手が来るかどうかで違うレースになる
3区が勝負の鍵を握りそう

とりあえず、明日、熱戦を期待します。

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