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じわじわ好きになる

夏休みが終わる。

今年は旅の多い夏だった。
毎年、子どもは夏に一皮むけて大きくなる、
とか言うけれど、なぜだろう?

普段できない経験をするから?
のびのびと体を動かすから?
陽に焼けてこんがりするから?

そうかもしれない。そうだろう。

でも、40日近く、子どもとみっちり一緒にいて、
きょうだい喧嘩を日々諌めたり、ブチ切れたり、放置したり、
宿題を手伝ったり、言い合いしたり、
お弁当含めた3度のご飯に辟易したり、
学童に行きたくないと言う子どもの気持ちがわかって切なくなったり、
炎天下で野球をする息子を本気で心配したり、
一緒に海に入ったり、
夜更かししたり、
朝寝坊したり、
電車であちこち出かけたり、
とにかく一緒にいたら、

子どもの笑顔をめちゃくちゃたくさんみられた。
優しさも、我慢強さも、
挑戦したいと言う気持ちも、
緊張も、緩む体も、
成長痛も、
汗だくの体をすり寄せられる時のもわりとした匂いも。

それが、ただ輝いて見えるから、見せてもらえるから、
大人は、子どもが成長しているように見えるんだろう。

**

私は、子どもが生まれた時、決して、いいお母さんではなかった。

泣いて、寝ないで泣いて、怒り出す生き物に
怯えて、疲れて、ヘトヘトだった。何度も壊れた。
こんなに壊れた母親に育てられる子どもは不幸だ、と思った。
育児を楽しむなんてことは、私にはできないんだろう、と思ってた。
でも、時間が経って、9年も経って、ようやく、
ただ、子どもと一緒にいる時間が、楽しい。

強く、たくましい、子ども達が、ちっぽけな私をはるかに上回って輝くのを
夏の日差しの中で、見させてもらえることにただ、感謝するしかない。

じわじわ好きになる。
自分の子どもが。
自分以外の子どもが。
世界が。



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