ひと色展のガンボージノーバ
ようこそ、ガンボージノーバの世界へ。
ガンボージノーバは、いつも祈っている。
今、ここに訪れてくれた、貴方の幸せを。
今、私を見つけてくれた、貴方の笑顔を。
今、ここに来れなかった、貴方の大切な人の幸せな眠りを。
満月の夜は、静かに祈り、月が隠れてしまう時は、少し力を込めて祈る。
どんな時もガンボージノーバは、夜空から貴方を祈っている。
だけど同時にガンボージノーバは謝っている。
祈ることしかできなくて、
ごめんね、
って謝っている。
「私は祈ることしかできないけれど、私は知ってるの」
「貴方が泣いている人のためにハンカチを濡らせる人だってこと」
そう、ガンボージノーバは貴方の優しさを知っている。
優しい貴方だからこそ、余計に疲れてしまうことがあることも知っている。
ガンボージノーバはそんな優しい貴方に渡したいものがあるらしい。
ガンボージノーバも好きな月の形をしたクッキーだ。
ホロホロと口溶けるガンボージノーバのクッキー。
食べるとどんなに苦しい夜も
明けてしまうのが惜しい夜となる。
それをあの人は可惜夜(あらたよ)と呼んだ。
明けてしまうのが惜しい程の夜が、明けた時、
どんな今日が待っているのかな。
それはきっと、貴方に出逢えて幸せね、って思える今日だね。
ガンボージノーバは今日も祈る。
ガンボージノーバの世界に来てくれてありがとう。
またね。
ここまで読んでいただきありがとうございます。