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星空は意識して見上げた方がいい!スター感想

小説を読んでいるのに、見開いた紙に並ぶ文字たちにブワーーーーーッと話しかけられ続ける感覚、初めて味わいましたなスター感想雑多長文編。

『スター』朝井リョウ

TwitterでもInstagramでも、それこそYouTubeでも。SNSを開いてアカウントをポチッと作成してしまえば、誰もが一つの小さな社会を生み出せて、その主役になれる現代社会。
うまく言語化できないけれど、なんだか常に頭の中で論争が鳴り止まないし、謎の焦燥感があるし、凹む。それに対する答えと問いかけが詰まった一冊だなと思いました。

Twitterの仕様が変わったことで、おすすめ欄をスクロールすれば世界中の誰かも分からない・知らない人の価値観の濁流に飲み込まれやすい日々になりました。
スマホ活字への依存って怖いもので、無意識のうちに指が吸い込まれるし、YouTubeザッピングと同じで、自分の思考を止めて頭の中に無秩序な情報をザザザ〜ッと流し込むのは一種のストレス逃避行動だったんだなと気付く。しんどいにしんどいを塗り重ねて麻痺させる。
しんどいときに激辛ラーメンを食べて胃袋を痛めつけてストレスにストレスをぶつけるのと一緒。

この価値観大海原から来るしんどさの原点ってなんなのかなぁの答えが、スターにあった。気がします。
わたしは自分に自信がないけど、プライドは鬼マウンテンで、一応自分なりにこだわりを持ってTwitterアカウントの"たま"として生きてます。
でもでも、その自分の中で譲れない倫理観だったり、マナーっていうのは私の中の定規ってだけで。もちろん、わたし以外のみんなにはみんなの物差しがある。
分かってるけど、勝手に"誰か"を自分の土俵に引っ張りあげてきては勝手に自分と戦わせて、勝手に勝敗を値踏みしてるいや〜なわたしがいるわなって真正面から突きつけられた。
そりゃしんどいわ〜なるほどねって思った。ざっくり言うとそんな本でした。

千紗ちゃんが先に到達した一つの答えがわたしにとってはお星様の光のようで。
わざわざ道端の石ころの裏っかわを一個ずつ凝視して、ダンゴムシをツンツン観察するよりも、夜空を見上げてお星様を探しながら自分がしてることの良いことを数えられる方が、将来素敵な顔したおばあちゃんになれそうだよね。

それとはまた別に、尚吾と絋、尚吾と千紗みたいに、明確な答えのない哲学的な話をめんどうがらずにキャッチボールし合える関係性って喉から手が出るほど憧れる。
友人やパートナーと実現できたら至高だし、小説や映画を咀嚼することも一つのツールになり得ると知れました。

あ〜〜〜〜〜〜〜面白かった!!おしまい。

追記:
ぶっささりpointを書き逃していました。内容へのネタバレ要素強めかもしれない。

皆いつも、何か言いたい。その材料を探している。

文庫p213

これは、絋の動画がバズったきっかけになったインフルエンサーが、動画そのものに感銘を受けたわけでなく、ただ単にその時の自分の主張のピースにハマったものが絋の動画だったという展開に添えられた言葉。

わたしは言語化ヤクザなので、自分が感じたことは自分で編み出した言葉で記したい!そういう感性の人と仲良くなりたい!と常日頃考えています。

だから、これまで、人の創造物をRTするだけして自分の感想無しの人が1ミクロンも理解できなかった。天道は「何これ。イケすぎ。」って一言あったらしいけど、それ句点入れて9文字ですよね?動画を受けてどう心が触れたかの中身が知りたいんですけど、そこんとこどう?って詰めちゃう。
でも、世の中のみんなが言語化に執着しているわけじゃないし、誰かが生み出した何かに自分の思ってることを託してRT!という感性も存在するか……そりゃするよなぁと自分の中にずっとあった気持ち悪さへの一つの答えを知れました。
とはいえ、言葉バトルが好きな人格は譲れないので、言葉を大切にするパートナーと巡り逢いたいと願う今日この頃。結局なんだかんだでこの結論に辿り着くんだよなぁ。
今度こそほんとにおしまい。

読んでくださってありがとうございました!

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