古代中国思想の環境論ー自然、山水、風水、環境論、気

古代中国思想の中にある環境論というと、道家の説く「自然」が指摘されます。しかし、道家のいう「自然」は、おのずから然るとよむもので、必ずしも大自然そのものを指しているわけではありません。大自然は通常「山水」と称されました。大自然を指す「自然」という用語は、道家の「自然」」ではなく、仏教界の「自然界(じねんかい)」に由来するといえます。ただ、仏教の「自然(じねん)」も、道家の「自然」も、人工的な人間の手のくわえられていない「自ずから然る」天然の状態を指すから、まったく関係ないわけではありません。

かつて、中国では、山川沼沢森林はいずれも神として祀られました。多くの山や川は地祀として、崇拝されます。アニミズムです。山には山の精神があり、川には川の精神がある。人が山水を見て感動するのは、見る人と山や川の精神との感応である、と、中国古代の学者 王義之は言います。

大地の中の気の流れる経路を龍脈と称し、龍脈の本流や太い支流、さらに人体のツボと同様に気が滞留する局という地を、最上の土地として、これを探す技術を風水術と称します。目安として、北方に高い山が控え、南は広くひらけて、水流や湖沼海がある土地として伝えられます。日本でいえば、京都と江戸が風水最上の土地とされています。

参考文献:山田利明『中国思想の環境論ー自然・山水・風水』東洋大学エコフィロソフィ研究Vol11.

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