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ClubhouseでBGMや効果音をミックスしたい

Clubhouseでもいい音をとどけたい【技術的なあれこれ】では外部マイクの接続について書きましたが、この記事ではPCなどから音源を流してミックスする方法を提案いたします。

前提として、iPhoneとの接続はアナログ接続。そのための機器として、現在もっとも実績のあるIK Multimedia iRig 2を使うこととします。

必要な構成

概念的な構成は以下のようになると思います。

ミックスのイメージ

やることはマイクの音と流す音源をミックスしてiPhoneに渡すということだけです。マイクだけの構成に加えて、音源再生機能とミキシング機能が必要になります。

ここで、注意しなければいけないのはモニターが2系統必要だということですが、これについては後ほど書きます。

具体的な機器構成

ミックス1

マイクと音源再生機器(PCでもタブレットでもスマートフォンでも)とをミキサー、あるいはミキシング機能を持ったオーディオインタフェースに繋いで出力をiRig 2に送ります。

また、PCで再生した音源をUSBで入力する方法もあります。オーディオインタフェースを使うなら、こちらの方が現実的かもしれません。

ミックス2

オーディオインタフェースのミキシング機能には注意が必要です。使用する機器の回路を理解して設定する必要があります。

オーディオIF内部回路

上の図の例2では、DirectモニタリングがONになっていないとマイクやLINE入力の音源の音は出力されません。また、PCからの音源をUSBで入力する場合、例2の切替方式ではマイクかUSBかのどちらかしか出力されないので、例3のようにミックスできる機器でなければいけません。

2系統モニタリングの問題

双方向のClubhouseでは、こちらから送るマイクや音源の音と、iPhoneのアプリから流れる他のスピーカー(話者)の音声と両方を聞かなければなりません。前の構成例ではオーディオインタフェースやミキサーでのモニター出力とiRig 2からのモニター出力と2系統出ています。さて、どうやって聞けばいいのでしょう。

1.耳を四つに増やす
 無理です。

2.ヘッドホンあるいはイヤホンの片方ずつを左右の耳に割り当てる
 これは物理的に工夫すれば可能かもしれません。

3.一方の系統のイヤホンを耳に挿し、上から他方の系統のヘッドホンを被せる
 これはありです。実際にやりました。

4.Clubhouseの音声をスピーカーで流し、ミキサーの系統の音をヘッドホンで聴く
 「いやいや、Clubhouseの音がマイクから回り込んでしまうでしょ」とお思いかもしれません。ちょっと待ってください。それならiPhoneの内蔵マイクと内蔵スピーカーで会話が出来ている現実をどう考えますか。そうです、エコーキャンセリング機能で回り込みを避けているのです。出力する音と同じ音声がマイクから入ってきたらそれを差し引くようになっているんです。それなら外部スピーカーと外部マイクでもキャンセルされるはずです。出力と入力にある程度以上の遅延があるとエコーキャンセリングがうまく働かないようですが、幸か不幸かiRig 2を通したアナログ接続では遅延はほとんどありません。

5.Clubhouseの音声もミックスしてしまう
 どちらもいい音で聴きやすいバランスでモニターすることができるこの方式はかなり有効です。ただし、ミキサーで、①iPhoneに送る用と、②ヘッドホンに送る用の2系統のミキシングができなければいけません。

モニターミックス

iPhoneからのClubhouse音声をiRig 2のamplifier outputに出力します。このためにはFX/THRUスイッチをFX側にします。この出力をミキサーのLINE入力に入れますが、iRig 2に戻さずにヘッドホンに送らなければなりません。そのために、iRig 2に送るミックスバスとヘッドホンに送るミックスバスの2系統必要になるわけです。iRig 2に送るミックスとして、例えばAUX SENDなどを使えます。

iRig 2からの出力はヘッドホン出力でも出てくる音は同じですが、電気的にはamplifier oututの方がいいでしょう。

音源再生ツール

ここまで、音源再生機器を漠然と「PCなど」と書きましたが、もっと具体的にしていきましょう。

1.PC、スマートフォン、タブレットの音楽プレーヤー
 iTunesなどの音楽プレーヤーで曲を選んで再生します。

2.CDプレーヤー、MDプレーヤー
 使い慣れた機器があるならばそれもいいでしょう。

3.ハードウェアのサンプラー
 Roland SP-404SXなど、パッドをポンと押すだけで発音する機器ですね。使い慣れた機器があるなら充分使えます。

4.スマートフォン、タブレットで動くサンプラーアプリ
 ポン出しソフトとも言われていますが、KLANGはよく使われていますね。これは有料で、iOS版のみです。高機能なKLAN2は結構いい値段します。
ポン出しとは番組や舞台の演出にあわせて効果音などの音源を再生させることです)

5.ポン出しが得意な音楽ソフト
 つまりAbleton Liveのことです。フレーズを選択しながらリアルタイムで曲を構成できるなどのDJプレイ向け操作ができ、他とは一線を画すDAW(音楽制作ソフト)。ポン出しツールとしても舞台音響でよく使われています。無料版のAbleton Live Liteは多くのオーディオインタフェースに付属されています。

高度な音源再生の例

 BGM再生、効果音出し、マイク音声のチューニング、エフェクト処理が出来る私の環境をご紹介します。

高度なシステム

オーディオインタフェースはRME Fireface UCXです。これは性能もいいですが、自在にルーティング出来るのがいいです。
MacでAbleton Live Liteを動かします。これを、コントロールサーフェスAKAI APC miniでコントロールします。PC上でマウスで操作するより確実で操作しやすいです。
画像7マイクの音声もAbleton Liveに取り込んで音声の調整をしてミックスしています。リバーブを掛けることもでき、APC miniのフェーダーで掛かり具合を操作します。ミックスした音声はリミッターなどで調整し、Firefaceに返します。Firefaceでは、iRigからのClubhouse音声とミックスしてヘッドホンに返します。

このシステムの問題は、マイクの音声をAbleton Liveを経由してヘッドホンに返しているため、若干の遅れが出てちょっと気持ち悪いということでしょうか。


たかがClubhouseにここまでする必要があるのかと自問自答しながらも追求し続ける河崎です。

以上

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