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家族から宇宙、途中でロボと怪獣

 忙しいことはいいことで、ありがたいことに次々とお仕事が来ていて、それで家にこもりがちな日が続いてしまいました。いや、それでも見たいものは時間作って見たいものです。

 先週のこと、最終日ということで京都みなみ会館へ『僕とオトウト』を。行くと、さらに一週間延長されているわ一日2回上映になっているわ、と慌てることなかったかなと思いましたが、こういった作品を見る機会が多くなっているのは素直にいいことやなと思うし、そんなみなみ会館のミニシアターならではの機転の良さと心意気が好きだったりします。

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 介護の世界に片足突っ込んでるものとしては、どうしてもこういう作品が気になってしまうのです。内容は知的障害者の弟を持った監督が自らカメラを回すドキュメンタリーで、48分という短さ。でもその48分に様々な要素が入っているのです。養護学校卒業を目前に控えた弟がこの先どうしていくのか、両親が先に逝ってしまうと、彼の面倒を見るのは自分なのか。仲の良い兄弟の姿を描きながら障害者のいる家庭なら起こりうる問題に、監督は向かい合い、時には家族に本音をぶちまけたりします。見ていて監督は焦ってる、と思いました。すぐに何でもかんでも解決できる問題ではない、でも……そんな焦りを感じました。うまく心中を伝えることができないオトウトは実際どう思っているのか? 監督は探り探り彼の心を開いていこうとします。そして見つけた一つの答えに、監督も、観客もどこか救われたような気分になるのです。でも二人とも若い、ここで躓くのはまだまだだよ、と介護の世界でいろんな家族を見てきた自分は思ったりもしました。嫌なこと以上にエエことも多かったりするんですよ、経験上の話ですが。あと介護職の自分はオトウト君の言動を見て、わかるわかる、と頷きながら見ていました。

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 それから、少し足を延ばしておもちゃ映画ミュージアムの『大映京都の特撮技術『画合成』原画展』へ。合成といってもオプチカルで複数の映像を重ねるのではなく、緻密に描かれた絵を現場で直に合わせて映像情報を補足するマット画の原画の展示でした。

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『大魔神』『釈迦』といった特撮メインの作品や一般の映画まで、多岐にわたって使われてきた絵合成の数々。すごい、これも絵だったのか! と驚くことばかり。町屋を改造したミュージアムはとても雰囲気があり、いつまでも居続けたい気分にもなりました。こんな貴重な資料もかつてはゴミ扱いで処分されかかってたというのも非常にもったいないお話。

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 そして、兄弟の話から仲間の話へ。誕生日には映画を見よう、ちょうど仕事もひと段落ついたので、とSNSで評判のアニメ『アイの歌声を聴かせて』を。田舎のAIモデル都市を舞台に、ちょっとクセの強いロボットと少年少女の姿を描く、これは80年代のスピルバーグやその派生作品でよく見られた『異星物と少年少女の交流と冒険』の現代風ブラッシュアップなのではないか? と思うとがぜん楽しくなってきた。時折挟まれるやや不自然なミュージカルシーンも楽しいし、クセ強いAIのシオンが巻き起こす騒動のおかげで、普段は相容れることのないような少年少女たちが分かり合い、絆を深めていく様子もいいし、すべてが判明する後半からクライマックスの怒涛の展開も痛快でした。たまにはネットの評判を聞いてみるのも悪くない、ひょっとしたらこの映画と巡り合えなかったかもしれない。シオン役土屋太鳳さんの声優が本業じゃないからこその拙さも実にAIっぽいし、歌とのギャップもまたよし、で褒める所しかないのか、というぐらいに絶賛してしまいました。今年はこれと『サイコ・ゴアマン』の『少年少女+非人間』映画がベストかと思います。

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 その翌日は恒例ゴジラ誕生祭、改め『東西ゴジラまつり』の京都編ということで再びみなみ会館へ。ゴジラまつりとは謳いつつも『ゴジラVSモスラ』『モスラ(1996)』の、モスラ寄りな内容。モスラも今年60周年なので、一緒にお祝いしましょうという趣旨なのです。

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 今回はゲストに『モスラ』三部作の脚本家末谷真澄さんをゲストに、丸山剛士さんと一緒に当時のお話を色々と伺いました。いやぁ、秘話続出でしたなんでもそうですが、一つの作品が表に出るまでに様々な試行錯誤があって、その表に出ないあれこれが聞けるというのは本当に貴重なことなのです。

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  そしてまた仕事がやってきて、それをなんとかかんとかこなして、週末。思ったよりも早く終わってしまったのでマーベル映画『エターナルズ』へ。

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 太古の昔から人類を凶悪な外敵から守り、監視、時には英知を授けてきた種族エターナルズ。平和になったと思いきや、新たな脅威が迫っていた。時空を超え、二時間半の上映時間を越えたこれはもはやヒーロー映画ではなく、新たな神話のようでした。うっとりゆったりした時間の中で描かれる、神となった者たちの葛藤と新たな試練。国際色豊かな配役と多様性を重視した(とはいえ君ら人間ちゃうやん)キャラクターたちは、なるほど『サイボーグ009』を思わせるけど、古代文明が宇宙からの干渉を受けていた、となると『大空魔竜ガイキング』も思い出してしまいました。主役っぽい彼が実は……とか主要メンバーかと思ったら……で、いろいろと裏切られる要素の多い作品、マ・ドンソクはやはりここで腕力で物事を解決する心優しい男でした。従来のマーベル映画とはまた違った経路、手触りを感じつつ、そして次回作へのブリッジもしっかり、なのですが、コミック知らないとやはり「君誰?」となってしまうのですよ。

 そんな最近の出来事でした。さて、次回はお待ちかねのガメラ降臨祭、でございます。

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