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愛情と友情が交差する4kな出勤前

 シン・仮面ライダーは自分の思惑に反して好評のようで、賛でも否でもないんですが、もやっとするところの多い映画ということで。大好物の変身ヒーローものの新作だから、いろいろ言いたくなるんですよ。二回目はもう少し面白く見えるかな。いや、でも、ちゃんとバイクは操縦してくれ、ギアをローにしてクラッチ切ってアクセル回せ、自分が燃えるポイントはそこなんですよ!

 そして、先日のJJMも何とか無事に成功のうちに終了し、その翌日またまたヌーヴォへ。

 大映4K映画祭ですよ、もう何本目だ。でも出勤前のこの時間でないと見れないんだよぉ。先日、ある人から『おとうと』はいいよ、と言われたので愚直にその言葉を信じて見に行きたくなったのですよ。それに先日のゲストの浅田監督からイベントの合間に市川監督の面白い話を聞いてしまったもので。

 市川崑監督の大映作品。大正時代の兄と姉、そしてその家族を描く、よくある話、といえばよくある話。でもなんとなくクセが強い。母親のようにかいがいしくおとうとの世話をする姉、それを知った上で放蕩三昧な無頼の弟。ビリヤード、ヨット、乗馬と、健全な趣味のようですが当時は不良の遊びだったそうです。会えば言い争いからつかみ合いの喧嘩もするけど、どこかで信頼しあっている二人。そこに過保護気味の父親に、リウマチで体が不自由な上に子供たちに対して冷淡な継母。

 そんな家族が一つの不幸を前にしてまとまっていく。陰影のコントラストが強く、まるでモノクロのような銀残しの画面の中、一枚絵のようにガチッと決まった画面もあれば、しっちゃかめっちゃかにカメラが動いたりもする、その緩急のつけ方に、ポンポンテンポよく繰り出される会話はまるで最近のアニメのようでもある。そうか、市川監督はもともとアニメ出身だった。

 ベタに言えば姉弟、家族の絆を描いた話なのですが、ラストシーンがまるでホラー映画のようでした。黒澤清監督『CURE』のエンディングのような。『え、ここで終わるの?』でブツン、と終る。鑑賞後の感動よりも、取り残されたような感じになってしまった。

 そして休憩をはさんで『座頭市物語』。もう何度も見た、でもまた見る映画の一本。

 ネガ反転した画面の中、丸太橋を四つん這いになって恐る恐るわたる按摩さん、ご存じ座頭市も最初は超感覚を持った超人ではなかったのだ。
 
 飯岡助五郎と笹岡の繁蔵という二大勢力が抗争を繰り広げる中、敵方の用心棒である浪人平手造酒と友情を深める座頭市。初登場の座頭市は、その立ち回りも控えめ。でもそれが凄味を感じさせる。4kで甦る、天保の利根川流域の街並みとキャラクターの生々しさ。肺を病んでいる平手造酒のゲッソリとした感じ、春先のうららかな日差しもモノクロだけど、伝わってくる。

 心ならずも平手と勝負することになり、涙を流す市、一方で権力とズブズブ、出入りの際は住民の迷惑お構いなしで大手を振っているやくざ者たちに激しい怒りを燃やし、啖呵を切って、町を出る。

 伊福部昭の楽曲も効果的だが、春の鳥の声、クライマックスの風の音等々、自然の音が効果的。知る人ぞ知る盲目の旅烏もこの後どんどん名前が売れて、最後には街道の妖精みたいな存在になっていくのだなぁ。

 そして仕事へ。2本とも『肺病』繋がりでした。しかし『おとうと』はきっちりかっちりしているようでいて、どこか歪な印象の映画だった。そこが監督の狙いかもしれないけど。

 ヌーヴォには『やまぶき』が咲いておりました。

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