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仕掛て汲んで、だいたい東映まんが祭り

 すっかり更新を怠っていたのは忙しかったのと、単純に映画を観ていなかったから。で、ここ最近見たい映画が増えてきたので、まとめて書いておく次第。連休とはいえ、介護職にはそんなものありゃせんのです。障害者に加えて認知症の病院帰りとか抱えきれんよ。

 以下、ツイッターの呟きに加筆修正してここ1か月見た映画のことなど。

 4月8日『仕掛人藤枝梅安2』
 シン・仮面ライダーと同じくダブルヒーローが自分たちとご同業と争うからおおむねシン・ライダーと変わりなし。梅安さんと彦次郎さんの食って旅して人殺し。今回は敵討ちのはずが、別の仇に狙われて、と殺し屋稼業の業の深さを陰影強い映像で描く。今回は『秋風二人旅』をベースにエピソードを構成。久々に狂暴な椎名桔平を見た。腰カクカクで恍惚な椎名桔平。梅安と彦さん、二人の過去が語られ、現在の自分たちに襲い掛かってくる。しかしあのふんふんふん♪な相槌は何だったのか、死期が近づき、むしゃぶりつきたいこともあるオモンモ。オモンモとは前作で、梅安が料亭の女中、おもんに酒を勧める際『おもんも(酒をどうだい?)』という台詞回しがどうにもおかしかった、ということで一部ではこの映画を『オモンモ』と呼んでしまうことがあるのですが、本当に狭い界隈でのみ通用する言葉なのです。

 

5月2日『せかいのおきく』
 最近まで『せかいのきおく』と、なんともスケール大きな時代劇だなと思ってた。こちらにも梅安と同じく佐藤浩市と石橋蓮司が。ぷるぷるしてる仮面ライダー池松壮亮もこちらではシャキシャキしていた。江戸時代末期下肥買い青年二人と元武家青春を描く。大きな事件もチャンバラもなくモノクロ画面に展開する青春譚。ですが、観客はなぜこの映画がモノクロなのか始まってすぐに理解する。主人公は下肥買い、つまり汲み取り屋さんである。その仕事っぷりが丁寧に丹念に描かれるのだ。つまり江戸市民の垂れ流す糞尿を集め、それを百姓に売るのが彼らの仕事だ。

 水洗トイレなんか夢のまた夢の江戸時代のトイレ事情が垣間見え、ついでに糞尿も見える。文字通りクソまみれの青春である。でも、若者はいつも変わらないのだ。阪本監督のすっとぼけた雰囲気も健在。ささやかに生きるもの達への賛歌。これこそ4DXで上映すべきですよ、美しいシネコンが途端に江戸時代の厠の如くにおいたつよ。

 見た後、なんだか臭いがしみ込んでいるような錯覚に陥る。この映画見ながらカレーはどうか。青春時代劇でもあり、江戸時代の生活を描く映画でもあり、世界有数のオワイ映画でもある。憧れのオワイ航路。声のない世界に生きる女性のひた向きさは『ケイコ目を澄ませて』にも通じるが、周囲が彼女の障害に対しナチュラルに接しているのが気持ちいい。

5月4日『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvolume3』
 仕事上がって映画を観るぞ。色々あっての納得の完結編、宇宙動物映画、昨日公開されたから何も言えねえ。宇宙人造人間ネビュラのオカンっぽさとかとか。ボリューム満点の三作目でした。ヴィンディーゼルどこにいた? あぁグルートの中か。

 世間は大絶賛。アライグマのロケットの焦点を当て、彼の残酷な過去をえぐり、そしてそれとの決別を描く。元に戻らない、新しい道を進む終わり方もガーディアンズらしい。確かに相変わらずジェームズ・ガン監督の容赦ない暴力と優しさの表裏一体攻撃は心地よい。が自分の中では『エンドゲーム』以降のマーベル映画はなんだか延々と終わらない消化試合を見せられているような気分でもあるのです。

5月4日の2本目『聖闘士星矢THE BIGINNING』
 アメコミから日本の漫画へ。壮大なスケールだけど、どこか地味。主演のマッケンユーのセルフアフレコは微妙な部分もあるけど、空中聖衣合体はかっこよかったよ。聖闘士の戦い方を拳法テイストにしたから特訓シーンもそれっぽく、『SFカンフー聖衣拳』になっちゃった。とにかくマッケンユーはよく黄昏れる。何かあるとボーっと空を見上げてる。そうかあれは天空にペガサスの星座があるからなのか。

 漫画もアニメも見てない(という言い方も気を付けないといけないご時世)けど、面白かった。半年に一本ぐらい地下格闘技選手が大事件に巻き込まれる映画見てない? モータルコンバットとかさ。物足りなかったのはキカイダーリブートぐらい敵が少なかったことか。雑魚とカシウスとフェニックスのみ。星矢がコスモに目覚める時、うっすら主題歌も流れるがあくまでもうっすら。エンドタイトルに主題歌流しても罰は当たらないと思うよ、東映アニメーションが関わってるんだから。そしてエンドクレジットのスペシャルサンクスにソニー千葉の名前が。マッケンユーのハリウッド進出に手を貸したとか? ハリウッドとはいえ、実写北斗の拳ぐらい日本が関わってる、クライシス2050な映画なんですかね。規模はもっと大きいかな。でもマッケンユーは『ニヨォス!』と言わない。カッコいいのは、キャシャーンみたいに口元のシールドがカシャーンと閉じるところだった。マッケンユーはアクションもできるから、どんどんこの手のマーシャルアーツ映画に出まくって、お父さんを喜ばせてあげてください。ゴードンも。
 聖闘士星矢とガーディアンズ、どちらも『コスモ』が共通ワードでした。ゴールデンウィークの真っただ中のかき入れ時に、たった3人しかいなかった劇場内、それでも心のどこかに小宇宙(コスモ)を燃やしていたのでした。

 5月4日の三本目『暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー』
 これも『ガーディアンズ』と同じく前日が公開初日なので、迂闊なことは書けないけど、戦隊映画にネタバレも何もあったものではなく、『ヒーローがかしわ餅の闇取引をする映画』といっても誰も信じない。

 恒例戦隊VSシリーズのVシネマ発売先行上映。子供の日イブに、かしわ餅と忍者おじさんで一時間突っ走る、イカれた映画だった。かしわ餅にまみれながらも、きちんと両作品の後日談にもなってたよ。物語がナンセンスなゼンカイジャーと、キャラがナンセンスなドンブラザーズ、混ぜるな危険と言われてましたが、混ぜると割とシュッとした内容になっていた。毒も飲み続ければ薬になるということか。でもかしわ餅の闇取引とか、やっぱり狂ってた。


 怒涛の映画三本はしごを終え、最後にパンフをまとめ買い。それに買い逃していたシン・仮面ライダーデザインワークスを加えると、結構な出費になったが、連休中他にどこにもいかないので、まぁいいでしょう。しかし映画のパンフも高くなってきた。聖闘士星矢の880円が良心的な価格に思えてきましたよ。よく見ればほぼ東映。ガーディアンズもアメリカの漫画出身だから、実質まんが祭りである。

 

 映画もおもろかったし、晩御飯のネギ塩豚丼セットも美味かった。そして半日しかない連休は終わるのでした。

番外。4月26日兵庫県立美術館特別展『恐竜図鑑』

 昭和の少年少女を胸躍らせたあの時の恐竜が帰ってきた。骨格の復元の解釈でどんどん姿が変わってしまった彼ら、まだ名前が『ザウルス』で、尻尾引きずってのしのし歩いていたあいつらの姿を堪能してまいりました。どこ行った、ヒプシロフォドン、トラコドン。

 イグアノドンとイクチオザウルスが幅を利かせていた化石発掘初期から、図鑑でよく見たあのスタイル、そしてジュラシックパーク以降の姿まで。今回一番見たかったのはこの、ゴジラの参考になったといわれるイグアノドンですよ。美術館を出ると、恐竜サイズの少女が海を見つめていた。




『恐竜図鑑』展示はほぼ撮影オーケーなんですが、それは実際見ていただくとして、図録の装丁がまるで当時の書籍のような装丁で素晴らしいのです。興奮して、子供の頃ボロボロになるまで読んだ学研の『大むかしの動物』を引っ張り出してきましたよ。ティラノサウルスじゃない、チラノザウルス! ティラノとトリケラがタイマン張るのも、プレシオザウルスが海面から首もたげて翼竜にかみつくのも、19世紀から決まっていたのです。

 

 

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