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お湯のヒーローと動物ヒーロー

 のっけから『日本中の温泉が水風呂に!』から始まるヒーローと怪人の銭湯、否戦闘。『これはこういうものなのだ!』と思わせるに十分なビジュアルとナレーションである。ここから数十分、この異様で愉快な世界に入っていくことができるのです。あれから一年、鉄、ではなくお湯は熱いうちに打てとばかりに公開された続編映画『スーパー戦闘純烈ジャー 追い炊き☆御免』。老若男女が入浴に、食事にレクリエーションにあらゆる快楽を満喫できるスーパー銭湯の猥雑さ、ごちゃごちゃ感がそのまま映画になったようである。その後ちゃごちゃ感はそのまま、二本立てが主流だった70年代東映映画の雰囲気にも重なってくるのです。

 温泉どころか世界中を氷漬けにしようとたくらむ悪の企業に挑む純烈ジャー、もちろんヒーロー映画でもあり、歌謡、ラブロマンス、コメディと贅沢な要素てんこ盛りなのは前回と一緒。

 純粋な純烈ファンからはどうでもいいことかもしれませんが、今回は純烈ジャーの専用武器がちゃんと作られ、戦隊らしく巨大ロボットで戦う、というのが個人的には大きなポイント。

 対するワルモノ側も巨大ロボシロクマジンで対抗。回数を追うごとに本家戦隊らしくなっていくものの、ラブな要素と歌唱パートもまたパワーアップ! これで夏のライダー映画並みの尺だからどうかしている。そしてかつて『トラック野郎』に出演した役柄のセルフパロディのように女トラッカーで出演する八代亜紀と、銀ギラギンのデコトラで、やはり70年代東映へのリスペクトだったのか、と確信する。さらにシン・ウルトラマンに続く巨大○○……。盛りだくさんに高めのパンフレットを買って、まさに歌謡ショーとヒーローショーをワンセットで見たような錯覚に陥ってしまう。

 東映のヒーロー映画といえば、入場者プレゼント。

中身は変身前の純烈ジャーでした。

 そして翌日。朝イチで同じ映画館へ。銭湯ヒーローから、今度は動物ヒーローです。


『DCがんばれ!スーパーペット』はポスターを見れば、よくある動物アニメと思われそうですが、タイトルに申し訳程度に『DC』とあるように、これはバットマンやスーパーマンのDCであり、ジャスティスリーグも登場するれっきとしたスーパーヒーロー映画なのでした。

 スーパーマンの愛犬クリプトとスーパーパワーを持ったペットたちがレックスルーサーや悪のモルモット軍団と戦う! かわいい動物映画じゃない、立派なDCヒーロー映画でした。

 ひょんなことでスーパーパワーを持ったペットたちとは逆に、敵の手で無力化したクリプトという対比が面白い。普通の犬になって初めてわかる犬の世界に、無力化したおかけで犬の嗅覚が恐ろしくすぐれていることを知るクリプト、一方他のメンバーはパワーの使い方に四苦八苦。お互い持ちつ持たれつの状態で戦いに挑むのです。
 

日本版ビジュアルからはDC映画の気配が全くない

 クライマックスは本家ジャスティスリーグと共闘して巨大な敵に挑むという熱い展開。これぐらいの緩い感じは実写でもやってもらいたいものです。
 仲間のきずなと信じる心、という陳腐なテーマもありますが、何よりも『ペットは人間の大事なパートナー』というのが本作品の狙いなのでは。

 そんなことよりも純粋なDC映画であり今年は二度もバットマンを劇場で見れることが嬉しかったりするのです。

 一つの塊のようになっていくマーベルん対して、分散しがちで、仕切り直しのDC.。案外こっちの方があってるかも。



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