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龍と虎と鶏と、そして鳥唐マウンテン

 昨日のお話。昨年以来、久しぶりに友人たちと会うことになった。場所は京都、それならイベントでよくゲストさんをお連れした、鳥唐マウンテンが名物のお店にしよう、ということになった。ということで、待ち合わせの時間までにその日が最終上映ということで、新世界東映『武闘拳猛虎激殺!』を見る。新世界東映も久しぶりだ、と調べたら実に2年ぶり。その時は『鉄砲玉の美学』を見ていた。

 千葉真一、志穂美悦子に続くカラテスター、ということで今回東映初主演の倉田保昭さん。倉田さんはそもそも香港カンフー映画でスターになっていたので、これが凱旋作品ということになるのか。東映カラテ映画といえば、その根っこには反社会勢力(ヤクザ)が常にとぐろを巻いており、ヤクザなのか格闘家なのかよくわからない連中がごろごろいる世界なのです。
本作品も黒背広の反社会的なお兄さん方に、東シナ海釵術やカトマンズ拳法といった怪しげな拳法を使う連中が悪事を働き、倉田さんと戦うことになるのです。冒頭、なぜかメキシコで鶏をカラテ殺法で料理した倉田さんは、日本に戻ってプロ格闘のリングに立つ。その真の目的は兄と父を殺した、悪徳ジムの会長の命! その仇を演じるのが石橋雅史さん。そうです殺人拳でも女必殺拳でも、いつもラスボスとして主人公たちの前に立ちはだかるのは石橋さんです。極真空手の有段者ということもあってこの手の映画で重宝されていたと思うのですが、あまりにも出過ぎ。いや、東映カラテ映画というものは今でいうところの石橋雅史ユニバースだったのではないかと思うのです。どの世界線に行っても、どれだけ人生をやり直しても、常に石橋さんがその世界にはいるのです、しかもラスボスで。

 今回の石橋さんは弟の堀田真三さん(濃い兄弟)とともに奇巌城に住み、怪しげな格闘家を使って日本格闘技界を牛耳ろうとする……まあ、いつものポジションです。この奇巌城というのが本当にお城なのですよ、熱海城なんですけど。石橋ユニバースの中でも最も立派なお屋敷に住んでいるのではないでしょうか。そして天守閣には虎を住まわせています。人喰いベンガルトラを住まわせているのです。これが不要な人間を次々と食べていきます。倉田さんの手助けをする石橋さんの愛人も、やさぐれた元チャンピオンで、倉田さんに鉄拳制裁を受けている間に骨折していた腕が治った矢吹二朗さんもそのえじきになります。

 奇巌城にとらわれたヒロインを救うために奇巌城に乗り込む倉田さん、待ち受ける怪人格闘家、壮絶な戦いの中、まわしとられてなぜか失禁して思わず胸を隠す怪力力士がユニークです。戦いは階下から上に、上に、そして最上階で待ち受けるベンガルトラシーザー! 下から上に戦いの場が移動していくこの構図はどこか『死亡遊戯』に似てると思ったら、ちゃっかり拝借しているとのこと。そして死闘の末にシーザーの脳天に鉄拳を叩き込む倉田さん、石橋さんも倒して、奇巌城は火の海に。このシーン、実際に熱海城の天守閣を燃やしている(ように見える)のがすごい。いくら観光用に作られた城郭とはいえ、そこに火をつけるとはなんとも大胆、よく許可したものです。


石井輝男二本立て

 

 久しぶりの新世界東映を堪能し、日本橋に寄って、地下鉄で北浜、乗り換えて京阪、さらに近鉄電車で東寺駅へ。久しぶり、といっても一か月ぶりか。

 半年以上前から、ブックオフに遭ったシン・ウルトラマンのフィギュアはまだあるだろうか。もしあれば、買っておこう。でも映画も公開したし、売り切れているだろうな。

 と思ったら、あった。ついでに『デルス・ウザーラ』のパンフレットも。まだ見てないけど。

 そして懐かしい友人との再会。数年ぶりに飲んだビールは実に美味しかった。

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