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感謝しかない英雄祭り

先週から映画館で見た三本の映画はどれもヒーロー映画。

まずは先週の金曜日、6月16日。スパイダーマンにフラッシュ、アメリカ二大コミック誌の映画が同日上映! どちらを見ようか? いや、そんな日に『やったろうやんけ!』と公開日をぶつけてきた三角マークの男意気! 朝イチにシュシュッと

『忍風戦隊ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th anniversary』

を見てきた。58分! 

 ハリケンジャー20周年記念作品、てっきりその後のハリケンジャーの話かと思ったら、お話は200年前の彼らの御先祖様の話だった。途中で現代パートに……ならない。がっつりシュシュッと時代劇でした! アフターハリケンジャーならぬ、ビフォアーハリケンジャー。揃うととんでもないことになる石を巡っての善悪の戦いってどこかで見たような。クモヒーロー映画公開の日に敵怪人がクモモチーフというのも、偶然なのか故意(ケンカ)なのか。花魁+クモでオイランダってネーミングだけで、アメリカに勝った。

 

花魁道中で登場し、ありんす言葉でこの世の全てと心中するのが目的のオイランダ。宇宙忍者だけど、どこまでもいっても江戸、いつまでもどこまでも時代劇。江戸の町に変身忍者と怪人が暴れまわるだけで楽しくなってしまうのだ。

入場者プレゼント(あるのか、あったんだ!)はカブトライジャーのカードでした、おお純烈!

 あれから20年、ということはナチュラルにみんな20歳年をとってるわけで。そんないい年こいた大人たちが一生懸命シノビチェンジしてくれたり、怪光線を出すのが嬉しいのですよ。『せかいのおきく』『クモとサルの家族』に続く、今年の小規模で熱い時代劇の列に入れたいと思うのです、自分の中では。

 花魁怪人オイランダもだけど『宇宙忍者』とか『宇宙遊郭』とか、とにかく『宇宙』とつけるだけでも世界観が広がった気がするのです。これもまた超忍法かと。宇宙遊郭の宇宙花魁って聞くだけで楽しそうじゃないですか。たぶん宇宙吉原には宇宙忘八もいるはず。

6・18

『ザ・フラッシュ』

 スピルバーグ監督の『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』で、世界中を飛び回り、逮捕されない未成年詐欺師フランクの偽名が『バリー・アレン』だった。単なる適当なネーミングかと思っていたけど、超音速のヒーローの本名と神出鬼没の自分を重ね合わせたのだな、なるほどそういう意味だったか、とアメコミ疎い自分は後年知るのでした。そんなバリー・アレンが走りまくる『ザ・フラッシュ』は初の単独主演作品ながら『ご存じフラッシュ、今回のお話は?』なノリで冒頭のジャスティスリーグ大活躍がまず楽しい。あのチームはあれっきりで終わらずに現役バリバリで活躍していたのか、と思うと嬉しくなってくる。

 過去を変えようとしたものの、別の世界線に迷い込んで、さあ困った、なフラッシュ。今回のウリは久々に復活のマイケル・キートンのバットマンと新顔スーパーガール。ベン・アフレックとキートン、そろい踏みすることはないけど、バットマンのバージョン違いが一本の映画で見れるのが嬉しいし、キートンのバットマンがちゃんとダダダダーンダンとダニーエルフマンの曲に乗って活躍するだけで涙出るほどうれしくなってしまう。

スーパーガールはクールでカッコいい! もうそれだけでお腹いっぱいなのに、

様々なバージョン違いが出てきて(*1)

驚く暇も与えてくれないし、最後の最後にダメ押しの一発。いいのかこんなにサービスして! 『エエカ、マルチバースいうんはこうするんや!』とでも言わんばかりの大盤振る舞い。『マーベルほど一本化していなくて、時々ガタガタするけどいままでDC映画を観てくれてありがとう』なご褒美映画でした。

 でもあの世界線には悲劇しか待っていなくて、やはり、DC世界にはスーパーマンが必要なのだな、と思いました。多次元宇宙にも秩序がありその秩序の上で我々は安心してヒーローの活躍を見ることができる。ラストはバートン版『猿の惑星』のようでした。

 そして6・21『スパイダーマン・アクロス・ザ・スパイダーバース』

 

スパイダーマンありきの多次元宇宙では、誰もが主人公であり、脇役でもある。『スパイダーマン・アクロス・ザ・スパイダーバース』は先日の『ザ・フラッシュ』に続いてマルチバースもの。スパイダーマンがうじゃうじゃ登場。みんな何かしらの運命を背負っていて、ヒーローも楽じゃないなぁと思った。

 前作に続き、アニメと漫画、実写のハイブリットで自由奔放、縦横無尽すぎるアニメーションに舌を巻く。これどうやって撮ったの? と常に思ってしまうアニメならではの爽快感。しかしハリウッドさんは最近二部構成が多いねえ、2時間40分の本編見せて、いいところで次回に続く、でした。構成力がないのか? それともサービス過剰なのか?

 『アクロス・ザ・スパイダーバース』は運命がー、マルチバースがー云々の前に『ザ・思春期映画』でした。スパイダーマンはもともと思春期マンですが、それがさらに強くなっちゃった感じ。あんな多感な世代に超人になってしまったらどうにかなりそう。日本だとパーマンとかバロム・1とかかね、違うね。『ザ・フラッシュ』と同じく多次元宇宙を描いてるのですが、自分のしくじりは自分でケリをつけるところも似てる。

 あぁ、でもキートンのバットマンが出てくれたから個人的には『ザ・フラッシュ』なんですよ。もう出ない、出ることのない人物が再び演じてくれる、作り手もその年齢に見合ったバックボーンを作ってくれていて単なる顔見世に終わらないのが嬉しい。

 今回見た三本のヒーロー映画はどれもファンサービス満点で、見てる側からすれば、もう感謝しかありません。ありがとう、しばらくヒーロー映画見なくても生きていけそうです、というのは嘘ですが。



*1(ネタバレ)


 
 多次元宇宙がぐちゃぐちゃと混ざってしまう中、クリストファー・リーブのスーパーマンとヘレン・スレイターのスーパーガールが並び立つシーンで、おぉ! と声がでそうになった。もちろんCGによる再現だけど、企画がありながらついにかなわなかった二人のそろい踏みに嬉しくなってしまうところに、撮影直前で頓挫したニコラス・ケイジのスーパーマンも登場して、嬉しいというか『ついに変身できたね、よかったね』という気分になりました。さらにジョージ・リーブスのスーパーマンとアダムウェストのバットマンもフィルム出演。こりゃどこかでクリスチャンベールかジョージクルーニーのバットマンが出てもいいんじゃないの、オールバットマン大集合でもいいよ、と思ったらラストでまさかの。

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