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車輪とバッタとカブトムシ

 週末に見たこと、やったことなど。

 仕事上がりに『あれ、時間間に合うじゃないか』と、午前十時の映画祭『無法松の一生(三船版)』へ。無頼の人力車夫松五郎が、とある未亡人とその息子のために粉骨砕身……この映画は初めて見るけど、話は知ってるぞ、そりゃそうだ、先日見た『無法松の一生』阪東妻三郎版が検閲でズタズタにされたために、戦後稲垣浩監督がリベンジしたセルフリメイク作品だからだ。カラー、ワイドスコープに4Kデジタルリマスターされて松五郎もパワーアップ。数々のカットされた場面がカラーで再現。松五郎が未亡人に告白未遂、そして雪の中でその一生を終えるまでが描かれて、物語に深みが増した。それと豪快でセンチな松五郎のキャラクターも三船敏郎にぴったり。
 人力車の車輪が回るごとに時間が進む。一途に未亡人を想い続けた松五郎の純情がカラーワイドでさらに切なく見える。

 そしてその夜。話題の『シン・仮面ライダー』最速上映舞台挨拶ライブビューイング付き上映へ。人力車からバイクへ。車輪と愛の物語である。
 

 あの庵野秀明監督が仮面ライダーを撮る、期待と不安を胸に抱き、上映を待つ。そして

*以下シン仮面ライダーの内容に触れるかもしれません。


 
 二時間後。

 うーん、仮面ライダーやったなぁ。本郷猛と一文字隼人のお話だったなぁ。

 仮面ライダーだった。ところどころ『おぉ!』と思う場面もある。細かいことは抜きにしてアクションでお話を引っ張っていき、途中で解説的なドラマに入っていく構成はいつものことだ。改造人間の力で戦闘員をぶん殴ったら、そりゃ血まみれのぐちゃぐちゃになるわな。なるほど、テレビ版、特に旧一号ライダー編を下敷きに原作版もミックスして……おぉ、原作版の13人の仮面ライダーが出たよ! 菊池俊輔のオリジナル楽曲も流れたよ、エンディングは子門真人だよ……。

 うん、悪くもないがずば抜けてよくもない。

 総じてアクションの撮り方が抜群にまずい。特にバイクアクション。疾走感がないんですよ、ツーリングかよ! あとオリジナル楽曲の使用でテンション上がるかと思ったら、微妙に外してるし、主題歌はアレンジされてるし、うーん、困った。

 と老害みたいなことを書いてしまった。どうにもオタクフィルターが邪魔してしまっているので、これはシンゴジラ、シンウルトラマンのように、何も知らない人が見ると案外楽しめるのではないか、と思った。

 公開まで特にワクワクしなかったのは、たぶん、『仮面ライダーthe first』
をはじめ初代仮面ライダーのリメイク、リブートを何度も見てきたからかもしれない。現代に仮面ライダーを復活させてリアルに描くとどうなるのか? は『仮面ライダークウガ』が大成功している。これはもう庵野監督の……と作家論に走りたくないのでやめておく。見ながら庵野監督の『キューティーハニー』を思い出した。ひょっとして樋口監督不在で歯止めが利かなくなってるからか?

 あとせりふ回しがアニメなので、サブい。『そんなこといわねえよ!』な台詞がバンバン出てくるのが痛い。

 なので、面白いけど、乗れなかった、というのが自分の感想です。『そうそう、これこれ』感がなかった。
 
 世間では絶賛の嵐らしい。時間が空いたら、また見に行ってみるつもりです。ひょっとしたら見方が変わってるかも。でもまあ、そんなに忖度せんでも。

 シン仮面ライダーのこと、終



 そしてこの週末二日間はシネ・ヌーヴォで『ジェットジャガー&メガロ誕生祭』でした。昨年のガイガン誕生祭はコロナで欠席し、悔しい思いをしたのですが、今回はぎっくり腰もよくなって大丈夫。

 

 今回は『ゴジラ対メガロ』に人形劇『ゴジラアイランド』『ゴジばん』、アニメ『ゴジラS.P』と、メガロとジェットジャガーの出演作品をほぼ全部上映しようという内容。

前説三人娘

 今回のゲストは『ゴジラ対メガロ』が初助監督作品の浅田英一監督。『東京SOS』『ファイナルウォーズ』でゴジラを演出した浅田監督が初めて関わったゴジラ作品はどのようなものであったか? を二日に渡ってお聞きしました。どの話も面白過ぎて、もっと時間が欲しいと思いました。

 かつてはクソミソに言われてきた『ゴジラ対メガロ』も50周年、その間色々あって大勢のファンに愛される作品、キャラクターになったのだなぁ。二日目はなんとお子様連れもちらほら見かけました。


  50周年おめでとう。そういえば金曜日から三日続けて映画館で子門真人の歌を聞いてるな……。


 

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