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蜘蛛と黒豹、鎧武者と緑海パン

 すっかり更新が遅れていたのは、忙しかったのと、こんな自己顕示欲の塊みたいなもの、誰が待っていようか、ということでさぼりにさぼっておりました。しかし、記録に残しておかないとんでもない出来事があったので、書いておかないと、と思いました。

 最近見た映画は『蜘蛛の巣城4kデジタルリマスター版』と『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』。

 『蜘蛛巣城』は元になってるのがシェークスピアだからか、黒澤映画には珍しいファンタジー要素多めの戦国時代劇。森で出会った物の怪の老婆から自分たちの将来を予言された男たちは、その予言通り、主君を殺し、邪魔者を追い出して一国一城の主となる。でもそれは本当に予言だったのか、心の内を見透かされた男が取った、自分に正直な行動だったのか? この映画用に設計されたスリムな鎧兜でガチャガチャと動き回る戦国の男たち、城郭、屋敷の巨大セットに圧巻のラストシーン。主君を殺し、徐々に疑心暗鬼に駆られていく武将・鷲津武時(三船敏郎)に無数に浴びせられる矢。本当に大学の弓道部が三船めがけて撃ったということだから、その迫真の演技は、あれは本当に恐怖におののいていたのではないか、と思う。老婆の予言通りに森が動いて、野心に燃えた武将は滅する。実際に森が動くシーンは東宝特技科が担当したということで、ここに円谷英二―黒澤明という夢の組み合わせが実現した、ということになるのか。黒澤監督は『トラ!トラ!トラ!』の時も円谷監督にアドバイスを請いに行ったというが、実現したらどんなものになったのだろうか。

『ブラックパンサー……』は、主演俳優が故人となってしまった事実を物語の中でも反映させつつ、真摯にその事実に向かいつつ新たなヒーローを描こうとする作品。ユニバースが深まるにつれ、一見さんお断りな雰囲気が強くなってきたマーベル映画だけど、今回はブラックパンサー不在のワカンダに迫る脅威とその対処、という点に絞られているので見やすい。復讐からは何も生まれない、時は暴力は必要かもしれないが、それ以上に対話も必要なのである。海から迫る緑海パンの男率いる大軍勢にどう立ち向かう、果たして新ブラックパンサーは生まれるのか? ブラックパンサーというヒーロー単体ではなく、今回はワカンダ王国そのものを描いているのだな、と改めてサブタイトルの持つ意味合いがわかったような気がした。

 そして、次回へ。冒頭に書いたとんでもない出来事とは何か? 

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