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モーセは何故海を割ったか
己の反省を振り返ったり、変な計画発表したり、他人の人生を勝手に綴ったりして我ながら好き勝手なテーマを不定期に書いているが、今度は神話について書こうと思う。直前に書いた落とし穴とは似て非なる部分もあるが。
モーセと言えば皆さんご存知の「海を割った」人物として、ユダヤ教の旧約聖書に描かれている人物だ。
私も長年知っていたが、これ以上の事は知らなかった。
神話だとしても、物語になっている以上、理由があったはずだ。
海を割らなければならない理由が。
時間のない方のために結論から先に言ってしまえば
「エジプト兵からユダヤ人を逃がすため」と言うことになる。
どういう事なのか説明しよう。
モーセの話は旧約聖書の「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」に記されており、エジプトで奴隷にされていたイスラエル人が、モーセによって解放され、約束の地である「カナン」に向かうところが描かれている。
あるイスラエル人の夫婦に男の子が生まれる。この子がモーセだ。
しかし夫婦は彼の誕生を心から喜べなかった。
なぜなら、奴隷にしていたイスラエル人が増えすぎた事に危機感を覚えたエジプト王が、イスラエル人の男を殺せと命じていたからだ。
両親はモーセを助けるために、川にモーセを流して生きながらえさせようとした。生まれたばかりの赤子を川になど流せば、普通なら死んでしまうだろう。
しかし強運のモーセは下流で女性に拾われる。そしてこれがなんとエジプトの王女だったのだ。まるで桃太郎のような話ではないか。
エジプト王の圧政によって、その娘に拾われるとは皮肉としか言いようがない。モーセはそこで育てられ成長する。
一般にモーゼと呼ばれる事が多いかも知れないが、調べていくとモーセと発音する事が多いようなので濁らないモーセと書いている。
![](https://assets.st-note.com/img/1716297858954-ZH3UrebVA1.jpg)
少年になったモーセが、ある事件を起こしてしまう。
エジプト兵がイスラエル人を虐待しているのを見て、それを止めようとして、エジプト兵を殺してしまう。
それを聞いた王が激怒し、モーセを殺そうとするが、モーセは逃れて王から身を隠す。実に40年もの間に渡ってだ。
その間にモーセは羊飼いになり、そこで出会った女性と結婚する。
ある日、モーセは不思議なものを見る。一本の枯れ木が延々と燃え続けている。燃え尽きることなく炎を上げ続けるその木に近づいていくと、そこで誰かがモーセに語りかける。
神の声だ。
モーセに、奴隷にされているイスラエル人を救い出し、約束の地カナンへ連れて行くように命じたのだ。
そしてモーセは兄であるアロンの協力を得て、エジプト王の元に戻り、イスラエル人を開放するように頼み込むが、当然王は許可するはずもなく、却ってイスラエル人に対する迫害を強める。
そこで神はエジプトに「10の災い」をもたらす。神の怒りに触れた訳だ。
疫病やエジプト人の第一子の死など、人知を超えた災いを受け続けた挙げ句、ようやく王はイスラエル人を解放する。エジプト王自身の第一子も喪ってようやく折れたのである。
かくしてモーセは、300万人ものユダヤ人を引き連れてエジプトを出る。
茨城県民全員が移動するのとほぼ同じ規模だと言うから、民族大移動のレベルだ。向かう先は勿論、約束の地カナンである。
![](https://assets.st-note.com/img/1716299114938-clVGRLoXpr.png?width=1200)
一方、神の力に恐れをなしてユダヤ人を開放してしまったエジプト王は怒り、奴隷共に家畜や食料まで持って行かせてなるものかと、エジプト兵にユダヤ人を追わせ、皆殺しにしてしまえと命じる。
逃げるモーセ一行の眼の前に断崖絶壁が立ちふさがる。紅海に行き着いたのだ。背後にはエジプト兵達が追ってくる。2時間ドラマのクライマックスさながらの、まさに万事休すの状態に陥ったのだ。
そこでモーセが持っていた杖を天に掲げると、海が割れて道ができたのだ。
モーセとユダヤ人たちはその道を通って対岸に逃げる。
エジプト兵たちもその道を通って追ってきたが、モーセが再び杖を掲げると海が元に戻って道がなくなり、エジプト兵たちは溺れ死んで全滅した。
かくして、モーセたちは無事に約束の地カナンへたどり着いた。
めでたしめでたし。
特定の国家を持たないユダヤ人がはるか昔から迫害され続けて来たのは事実である。そんな彼らが神に救われる物語が記されているわけだが、勿論神話なので全て事実ではないだろう。
しかし、全くのフィクションとも言えないところが神話の面白い所で、ベースになる出来事が実際に起きて、そこから脚色されたものだと考えられる。
事実?実際に海が割れる訳が無いだろう?何言ってんだ?
私もそう思っていたが、最新の研究で実際に起きたことかも知れないと言う説が浮上してきている。
長くなったので続きは次回へ。
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