3章:最高のリーダーは何もしない人。
2章では、「チームの構造」について話をしました。次にこの3章では「チームの作り方とリーダーの役割」についてお話します。
チームとは何かがわかっても、実際にいいチームにしていくのはコツがいると思います。僕が組織を作ってきた上で、一番大切な話になるので、少々肉厚な内容になります。是非噛み締めて、何か少しでもいいと思うところは持って帰ってもらえたらと思います。
ちなみに、この章の画像は、オリマーとピクミン達です。ある種、このオリマーが、ぼくの理想のリーダー像なのです。その理由については、この章の最後でお話します。
1. 仲間集め
まず、あなたがこれから何かを作っていきたい人だとします。ここでは、人を巻き込んでチームを作るにはどうしたら良いかという話をしていきます。
2章で話したように、チームを作りたければ、責任を共有することが必要です。人を巻き込むのです。しかし大前提、営業スタイルが営業マンによって異なるように、人を巻き込む方法なんて無限の方法があります。自分と相手によって、その方法を変えていくことが正解です。でもよくわからないよって人に向けて今回は、素人でも実行できた、簡単だけど強力な方法を2つ紹介していきます。
一つは、スタンスです。仲間に誘う時には、その人の人生を頂く覚悟を持つということです。あなたの作りたいものを作るために、メンバーに責任をもってもらうからには、それ相応の責任を誘う側ももつ必要があります。
相手がメンバーをやってよかったと思ってくれることに全力で責任をもってください。
もしそれができなければ、その人の大切な時間を、人生を頂く権利はありません。仲間になれるはずなんてありません。相手の時間を搾取しているだけです。都合よく使っているだけです。
繰り返しになりますが「誘うからには、絶対に、やってよかったと思ってもらうことに責任をもつ」ことがまず大切です。仲間になってくれるからには、絶対に応えると心に誓って、声をかけましょう。
二つ目の方法は、語ることです。決して説明をすることではありません。拙くても、まとまってなくてもいいです。あなたの言葉で、本気で本音を語りましょう。なぜそれがやりたいのかと、どんなものにしたいのかを。
例えば、「このキャンプは、〇〇という目的を達成するために企画して、120人集めることを目標にしています。」という説明よりも、「これな、まだ企画自体何にも決定してないけど、絶対にきてくれる人が笑顔になるような、超おもろい時間作りたいねん!」と、ニヤニヤしながら、思いをぶつけられた方が、僕はわくわくします。多くの人もそうなのではないでしょうか。
人を動かす時は、説明するのではなく語ること。そして動きたいと思ってくれた人には、どう動けば良いか伝えるために、説明をすること。この方法を知っているだけでも、動いてくれるかどうかは大きく変わります。
2. リーダーの心得
仲間が集まると、あなたはリーダーになります。チームを持ちます。ここでは、リーダーとしてチームの力を借りて、プロジェクトを作っていく。その時に大切にしてほしい心得をまとめておきます。
それは、自分が全責任を持つことと同時に他者に感謝をするということです。
2.1 自分が全責任を持つ
改めてリーダーとは、最も幅広く責任を持つ人のことです。言い換えると、リーダーはプロジェクトに関する全ての決定に責任を持ちます。
決して、責任のもてないことを決定してはいけません。うまくいくイメージができていない事を、決定しないようにしましょう。
例えば、「無人島に200人呼ぶ」という提案をいくら自分以外のメンバー全員が自信満々に言い放っていても、リーダーがそれをイメージできないのであれば絶対に決定してはいけません。
リーダーが責任を持てないことを進めていくと、プロジェクトの方向性がわからなくなり、失敗します。そして失敗したときに、メンバーのせいにするのです。「それは〇〇君が決めたことだから。」と。
そんな人では、いいものは作れないし、人もついてきません。
リーダーの決定はチームの決定です。裏を返せばプロジェクトの失敗はリーダーの責任です。
絶対に、後から人のせいにすることなどないよう、全ての決定に責任を持ちましょう。
そのためには、自分がうまくいくイメージが持てて、自分がその決断に責任を持てる。と思うことだけ、決定しましょう。
2.2 他者に感謝をする
自分で最終的な責任を持つ必要はあるものの、全て1人でやっていると思っているリーダーは必ず失敗します。感謝ができていないからです。そのスタンスは、メンバーの貢献感を奪います。結果として、彼らの居場所を奪い、やりがいをなくすでしょう。
ですので、今一度声を大にして伝えます。
リーダーをやっているのではありません。
リーダーをやらせてもらっているのです。
自分をリーダーと認めてくれる仲間のおかげで、リーダーをやらせてもらっているし、自分だけではできないことを仲間がやってくれているから、それが作れるんです。
もっと言うなら、運営メンバーだけではなく、期待してお金を出してくれているクライアントに対して、イベント会場を貸してくれる人に対して、ミーティングスペースを貸してくれている人に対して等々、本当に多くの人の支えがあります。どれだけ他者に思考を巡らせて、感謝できるかがそのリーダーの器の大きさになりり、届けられる価値の大きさになります。
わざわざ他にやりたいこともあるなか、運営メンバーになってくれた人に何が返せるか。期待してお金を払ってくれているクライアントにどれだけ感動を届けられるか。不安にさせていないか、やらなければよかったと思わせていないか。
感謝ができていれば、思考が生まれ、行動は自ずと変わるはずです。
その上で、感謝はしっかりと伝えてあげて下さい。
ありがたいと思っていても、伝えられていなければ、あなたのその気持ちは伝わりませんし、相手の努力は報われないかもしれません。
相手が必死にやってくれたことに対して、「やってよかった」と思わせるか、「やらんかったらよかった」と思わせるかはあなた次第です。
しっかりと、ありのままに、感謝を伝えてあげて下さい。そうしていると、他の人たち同士でも、ありがとうを伝え合う文化ができていきます。ありがとうが溢れている組織は、何をしてもうまくいくと思います。
3. リーダーの役割
このように、リーダーの心得を話して来ましたが、次はいよいよ役割です。組織に置いてリーダーはどういう役割を持っているのか、どう行動すればいいのかを話していきます。
結論から話すと、リーダーの役割は、プロジェクトと人を管理することです。つまり、必要な工程に対して、一人一人が前向きにアクションできているチームを作ることがリーダーの役割です。突き詰めると、これは、組織作りであって、自分がどれだけ頑張るかではありません。大切なことは、自分がどれだけ頑張れているかではなく、組織としてどれだけ頑張れているかという目線を持って考えることです。
具体的には、いいチームを作るためのリーダーの役割は2つだけです。
それは、責任を生み出し、共有していくことと、俯瞰して行動することです。
3.1 責任を生み出し、共有していくこと
リーダーの役割1つ目は、責任を生み出し、共有するということです。つまり、最終作りたいものへの道のりを分解し、役割やタスクに落とし込んで、それをどんどん共有していくことです。これは、キャパシティを増やすという意味と、メンバーに居場所を作るという意味において、とても大切です。
成し遂げたいものが大きければ大きいほど、自分1人では手が回らなくなります。確かに、リーダーが最も広い幅の責任をもつと言いましたが、それはリーダーが全てのことを実行するというわけではありません。メンバー達に責任を渡すことで、使える脳と手足を増やし、キャパシティを広げることができます。
また、メンバーが、その組織を居場所と認識できるかどうかは、貢献感を得られるかどうかにかかっています。そのため、一人一人が組織に貢献できる場所を用意するという意味でも、責任を渡していくことは大切になります。
ただ僕がタイトルに「責任を渡すこと」と書かなかったのは、一方的に責任を渡すだけではダメだと思うからです。責任を渡すことで、リーダーはまた別の責任を持つ必要があるからです。これを僕は責任の共有という言葉で表現しています。
例えば、「HPを作る」という責任をリーダーが持っていたとして、それをメンバーAに渡します。その後リーダーは「メンバーAがHPを作る」ということに責任をもつ必要があります。
つまり、「任せた!じゃあ頼んだね!」だけではダメなのです。メンバーAはちゃんと進めているのか、不安なことはないのか、思考を巡らせながら、メンバーAの行動に責任をもつのです。
投げやりになってはいけません。責任を渡した後で、自分も責任を持ちましょう。これが責任の共有です。うまくできれば、メンバーの表情も明るくなり、プロジェクトもしっかりと進められるでしょう。
では、どうやって責任をうまく渡すのか、何を意識すればいいのかをまとめておきます。正直、このマガジンで一番美味しい内容だと思うので、是非読んでみてください。
うまく責任を渡すコツは、誰がいつまでに。をこだわることとお願いをしないことです。
3.1.1 うまく責任を渡すコツ1
誰がいつまでに。にこだわる
まず、進めたいタスクに対して、誰に渡すかにこだわることが大切です。人それぞれ向き不向きや、やりたいやりたくないがあるからです。最適なタスクと人の組み合わせは何かを考え抜きましょう。企業でいう人事的な目線ですね。
一人一人のことを思い浮かべて、「〇〇は忙しそうだけど、何かやりたそうだから、簡単な資料作りとか任せたらいいかな?」「△△ちゃんはSNS運用やりたいって言ってたから、発信担当任せたら楽しいんちゃうかな?」と思考を巡らせましょう。
ただ、責任を渡すときには、それを果たしてくれなければ、プロジェクトはうまくいきません。しっかりとコミットしてもらうために、期限を決めて責任を渡すことが大切です。なぜなら、期限がないことは、基本的に人はやらないからです。随時やっといて。は一番最悪な責任の渡し方です。絶対に誰も動きません。動けません。プロジェクト全体をみながら、各タスクの期限を決めて、責任を渡しましょう。
3.1.2 うまく責任を渡すコツ2
お願いをしない
次に大切なのはこのマインドです。人に動いてもらうために、お願いをするしか脳がないのは二流です。目指すべきは、頼みたい相手から「それやりたい!」と言われることです。ポジティブな動機で動けるように、相手の心に火をつけましょう。
これも色々な方法がありますが、例えば競争精神を利用する場合、「この資料作ってお願い。」というのではなく、「この資料すっごい作るの難しいと思うから、誰に振るか迷ってるんだけど、〇〇君作れたりする?」といった感じです。これができれば、責任を渡す時、受け取ってもらいやすくなり、またモチベーションもあがりやすいです。
お願いをしているだけでは、関係性を消費して、タスクをこなしてもらうことしかできませんが、この方法では、関係性を強化しながら、よりハイクオリティにタスクを実行してくれます。
難しいと思いますが、これが目指すべき責任の渡し方です。お願いをする方法しか知らないのはきっと二流です。
たくさんのことを実行しているリーダーはこの責任を生み出して、共有することがとてつもなくうまいです。体は1つしかありませんが、リーダーのやりたいことをやってくれる人がたくさんいるので、同時にたくさんのことができるのです。そしてチームも、こなしている量は多いのに、なぜかイキイキとしているのです。ここを目指していきましょう。
3.2 俯瞰して行動すること
リーダーの役割2つ目は、俯瞰して行動することです。具体的には、状況(理想と現状)を把握し、改善することです。
(以下では、状況という言葉を、理想と現状という言葉として使います。)
(また、理想状態は「最高の場合、最低の場合、妥当な場合」の3パターンを考えるようにすれば、様々なことに対応できます。)
この状況を把握し、改善するというのは、対象が二つあります。
一つは、プロジェクトの進行状況。もう一つは人の状況です。
プロジェクトに対する状況の把握の仕方と改善方法等の話は、6章(120人集めた方法)と7章(全体感の見える化)でお話します。実際僕が使っていた技術を例に、プロジェクトのマネジメントの仕方をまとめておきます。
ここでは、人に対して、俯瞰して行動する方法についてまとめていきます。まずは、人の状況の把握の仕方についてです。
それは、突き詰めると、ひたすら地道に相手を見る。という方法しかありません。
「この人は、どういう状態でプロジェクトに関われているのが一番理想なのだろうか。そもそもなんで今関わってくれているのか。今日の〇〇ちゃんの表情は曇ってないか。しんどいこととか悩みにぶつかってないのかなあ。」
こんな風に具体的に考え出したら止まりませんが、本質はきっとシンプルで、「1人1人の顔が見えているか」です。見えているというのは、思い浮かんでいるという意味です。みんな大丈夫かな?と、人をまとまりとして考えていては、問題は見えてこないでしょうし、深く思考もできないでしょう。
ですが、これは僕にとってもすごく難しいことでした。そこで、いつも一人一人の顔が思い浮かぶ必殺技を作り出しましたので、ここに共有します。
それは全員ピン留法です。
僕は強制的に全員の顔が思い浮かぶように、LINEのピン留め機能を使って、運営メンバー全員のLINEを、常に自分のLINEの一番上に出てくるようにしていました。そして、顔が思い浮かばない人には、速攻で連絡をしていました。以下の問いに答えられるくらいに想像できていれば大丈夫だと思います。
・なぜ運営をやってくれているのか
・運営をすることを通して、何を実現したいのか
・運営以外に力をいれていることは何か
・今しんどいこと、辛いことはあるか
・運営にやりがいはあるか
こうやって僕はメンバーの現状と理想を泥臭く理解しました。
では次に、どんな風にその人を理想状態にもっていくのかという話をします。が、これもすごく多様で、地道で、難しいことだと思います。僕が理想としている麦わら海賊団の船長ルフィだって、仲間を失いかけたこともあるし、裏切られたことだってあります。
ある人は、タスクの内容や量を変えることで、やりがいが少ない状況を変えられるかもしれない。また別の人は、今一番悩んでいる恋愛のことを聞いてあげることで、悩みが晴れて行動できるかもしれない。こんな風に、理想と現状のギャップや、それを埋める方法は人それぞれです。
ですが最も大切になるのは、”関係性”だと思います。関係性さえあれば、理想と現状にどんなギャップがあろうと、理想に近づいていけると思うからです。
ちなみに、ここでいう関係性がある場所とは、心理的安全性が高い場所のことです。自分がそこにいてもいい、発言をしてもいい、失敗をしてもいいと感じられる場所のことです。
そういった土台があれば、できていないことを隠さずに共有しあったり、どうすれば相手がより頑張れるかを考え合ったり、しんどいことを助け合おうとしたり、、個人の課題は自然と共有され、なくなっていくと思っています。実際にそんな場面を多く見てきました。
そしてそんな関係性を作るには、遊ぶのが一番だと思っています(笑)人として、お互いを知る時間、仲良くなる時間は掛け替えのない物です。無意味な雑談や遊びほど、有意義な時間はないのかもしれません。是非、プロジェクトとは関係のない場所で、お互いを楽しく知れる機会を作ることをおすすめします。
(ただ、運営メンバーがカラオケ上手すぎて、一緒に歌うの辛い場合は、カラオケはやめておきましょう。)
4. 最高のリーダーは、自分では何もしない
上記の内容から考えた、最高のリーダーとは暇でいられるリーダーだと僕は思います。
それはつまり、チームが前向きに動けているということです。その状態こそがチームとして最も良い状態なのでしょう。
ちなみに、僕がこのnoteの挿絵にしていたオリマーを、部分的には理想のリーダー像だと言った理由を説明しておきます。
まずあの絵に写っているキャラクター達は、ゲーム「ピクミン」の登場人物達です。そのゲームの中で、オリマー(人)は、個性の違うピクミン達を従えて協力し、敵に立ち向かい、物を運び、課題をクリアしていきます。
オリマーの仕事は、何をすべきかを考えて、それに最適なピクミンの配置を考え、ピクミン達をうまく動かすことなのです。
このように、周りの人(ピクミン)をうまく巻き込み、自分が暇になっているというのは、まさしく最高のリーダー像ではないでしょうか。
この章で話してきた心得を持ち、役割をしっかりと果たすことができれば、自分はどんどん暇になり、関係性は深くなり、プロジェクトも勝手に進んでいくという魔法のような状態を手に入れることができます。
是非、気になった一つからでもいいので、実践してみて下さい。
5. 次章へ
たくさんのことを一度にぶつけてしまい、大変だったでしょうか。大事だと感じたエッセンスだけでも、もって帰ってもらえれば幸いです。
次の4章(ミーティングの作り方)から、どんどん内容が具体的になっていくので、消化しやすくなっていくのではないかと思います。
読み進めてくださった方だけに還元できるよう、全身全霊で伝えていきます。
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