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4章:集めるじゃなくて、集まる。

3章まででは、様々なスタンスや考え方、役割など、少し抽象的な概念の話が多かったと思います。ここから更に具体的に組織を作っていく方法やプロジェクトをマネジメントするための方法を紹介していきます。

4章のテーマは、「ミーティングの作り方」です。

プロジェクトがうまくいくかどうかはミーティング(以下mtg)を見れば大体わかります。なぜなら、mtgを作るという過程のなかに、今まで話したことの全てが詰まっているからです。

チームビルディングの基本であり、最も大切なことはこの「mtgを作る」ということです。

この章ではそんなmtgの作り方について話していきたいと思います。
こちらも少し量多めですので、一旦さらっと読みきってもらって、あとで目次をみながら実践していく方法がおすすめです。

1. mtgとは何をする場所か

良くないmtgは、そもそもmtgとは何をする場所なのかを、それを作っている人がわかっていない場合が大概です。

ですのでまずはmtgとは何をする場所かということを話しておきましょう。mtgとは、絶対にその人達が集まらないとできないことをする場所です。

みんなの貴重な貴重な時間とお金をいただいて、mtgをさせてもらってます。なので個人でできることや、mtg以外でできることを絶対にしてはいけません。

想像してみてください。自分が大事な予定を断って参加したmtgで、ひたすら自分がいなくてもいいような話ばかりされたら、もう絶対いきたくないですよね。

誰か一人でも、「俺は、私は、行かんでもよかったな。」なんて思わせてしまったらおしまいです。絶対に来てくれた全員に、行ってよかったと思われるmtgでなければ、継続的に人は集まりませんし、有意義な内容にもなりません。

そもそもメンバーに応えることができていなければ、クライアントに応えられる訳なんてありません。厳しい言い方のようですが、それ程にmtgを作るということは大切なのです。

逆に全員が来てよかったと思えるmtgを作れれば、人を集めなくても、人が集まる最高の空間になっていくでしょう。


2. mtgまでの準備が全て

mtgを有意義な内容にするには、準備が全てです。mtgが始まるまでの準備の質で、そのmtgの質はすでに決まっています。

mtgにわざわざ足を運んでくれ、時間と頭を貸してくれる人たちに応えるには、責任を持って、準備をする必要があります。

今回は具体的に準備をしておくべき4つの内容を全てお話します。

 2.1 誰がいつからいつまで参加できるのか

これはmtgを作り始める時に、まずするべき重要なことです。誰が集まるのかがわからない状態で、有意義な内容を考えることは本来不可能です。なぜならmtgとは、繰り返しになりますが、その人たち、一人一人が集まらないとできないことをする場所だからです。

誰が、いついてくれるのかによって内容やmtgの流れが変わるのです。何人集まるかでmtgの内容が決まる訳ではありません。下に実際に僕が考えていた例を書いてみます。

「今日は初参加の人が来てくれるんだ。じゃああえてコンテンツの議論をして、初めての人からの視点を借りよう。」

「今日は〇〇くんと△△ちゃんが初めましてやな。じゃあ面白いアイスブレイク入れよう。」

「今日は☆ちゃんが20時から来てくれるのか。じゃあ、その時間からは、☆ちゃんにいて欲しい、人集めの話をしよう。」

「今日はαさんが20:30で帰るのか。じゃあそこまでに、αさんの関わってる、キャンプファイアの話は終わらせよう。」

こんな風に、誰がいつからいつまで来れるのかが把握できていると、mtgの流れを、内容を作ることができます。

ですので当日までに、誰がいつからいつまで参加できるのか。参加できない人は、どんな理由なのか。しっかりと把握しておきましょう。

また、初参加の人がいる場合は、先にmtgは何をする場所で、どんな風に入って欲しいのかを話しておきましょう。mtg中に、1人に説明するのは、時間がもったいないです。全員いなくてもいいことは、mtgでする必要はないのです。

ただし、もし意図があってmtg中に、初参加の人に説明をする場合はいいと思うます。例えば、メンバーに、僕がどうやって人を巻き込むのか見ていて欲しい場合とかは、あえてmtg中に、初参加の人へ説明をしてもいいと思います。

 2.2 ゴールを明確に

次に、プロジェクトを進めていくためには、mtgの立ち位置を把握して、mtgを作るということが重要になります。つまり当日までにどれくらいの時間があって、どれくらいのやるべきことが残っているから、今日はどこまでやればいいのか。を決めておくということです。

それも、絶対に最低限やらないといけないラインと、ここまでいけたら最高やなっていうライン、こんなもんかなっていう妥当ラインをイメージしておくと、尚良いmtgを作れるでしょう。

またmtgの中の、1つ1つの時間においてもしっかりとゴールを意識しましょう。つまりホウレンソウのどれか、あるいは提案かをはっきりとさせておきましょう。

(ホウレンソウというのは、ホウ(報告)レン(連絡)ソウ(相談)の略です。)

というのも、なんのための時間かわからないと、生産性のない、勿体ない時間になってしまいます。この時間は相談することが目的なら、相談したいポイントを事前にまとめて置いて、それが解決したら目的達成。といった感じに、ゴールを設定しておけば、勿体ない時間は作らなくてすみます。

例えば、最初の時間は、人集めの状況の報告が目的。次の時間は、キャンプファイヤーの内容のAプランかBプランどっちがいいかの相談が目的。最後の時間は、運営用Tシャツの提案が目的。といった感じです。

このように、mtgの目的がなんなのか、また1つ1つの時間の目的はなんのか。をはっきりさせておけば、議論はクリティカルになり、みんなの思考もクリアになるはずです。

 2.3 人を巻き込む

また、独りよがりで内容を作っていくのでは二流です。mtg中に、みんなを主体的にすることを目指すのではなくて、mtgまでに、みんなを主体的にしておくことを目指しましょう。その為には、根回しや、mtgを一緒に作ることが大切です。これは、メンバーの主体性を作り、mtgの質をあげます。

全部リーダーが主導権を握って進めていては、メンバーは参加者であるという意識を持つでしょう。それは主体性を奪うことにしかなりません。人を巻き込む意識を持つことは、メンバーを主体的にするチャンスを多く生み出せます。

例えば、まず、「人集めの状況報告と、キャンプファイヤーの内容の相談がしたいな。」と思ったら、「人集めの状況の報告は〇〇くんに任せて、キャンプファイヤーの内容の相談を△△さんに任せよう。」とみんなを巻き込む思考を持ちます。その上で、〇〇くんには、「人集めのことってどうやってみんなに報告した方がいいやろ?焦って欲しいかな、安心して欲しいかな、どうやって伝えようか。」と相談してみるという感じです。

結果として、〇〇君が、mtgを作っている人としてmtgに望んでくれれば、主体性を生み出せたことになります。また、事前に相談することで、思わぬ視点をもらえて、mtgの質が上がるかもしてません。

このように、自分だけでmtgを作ろうとするのではなく、mtgに向けて準備してくる人を増やす意識を持ちましょう。そうすれば、メンバーも主体的になり、自分はmtg中に余裕ができ、更にmtgの質も上がります。

ただ、mtgに向けて準備すると言ってくれた人とは、しっかりと打ち合わせをしておかないといけません。なぜなら、任せた結果、一人一人がいなくてもいいmtgになってしまっては、他のメンバーに失礼だからです。

そうならないために、打ち合わせを通して、以下の3つを確定させてください。

Why:なんのためにみんなの時間を借りるのか。

How:どうやってその目的を達成するのか。
(ホウレンソウか提案か)

What:実際にどんな内容にするのか。
例えば、
Why:キャンプファイヤーの時間を、より多くの人の意見を聞いて、いいものにするため
How:A案とB案のどちらがいいか相談させてもらう。
What:最初にA案とB案のメリットデメリットをまとめたプレゼンをしてから、多数決をとる。

といった感じです。この三点をしっかりと作り込めていれば、みんなの時間を使ってもらって大丈夫です。納得できない内容の場合は、責任を持って、mtgまでにサポートしましょう。

 2.4 mtg全体のイメージをもつ

上記のことを踏まえて、mtgアジェンダを作りましょう。アジェンダとは、①何時から何時で、②どの内容を、③誰が話し、④それぞれの時間のゴールは何か。という内容をわかりやすくまとめたものです。

今まで話したように、誰がいつから来るかを把握して、mtgのゴールを明確にしながら、mtgまでにメンバーを主体的にできていれば、mtgは間違いなくうまくいきます。

ただ欲を言えば、その流れをしっかりと可視化してスケジュールに落とし込んでおけるといいでしょう。これは、一目で内容を共有するという点と、タイムマネジメントをする点に置いて、非常に有用です。

共有という点に関しては、図としてまとまっている方が人は容易に理解できます。また、mtgまでにアジェンダを共有しておいて、流れをイメージして来てもらえれば、スムーズにmtgに入れます。更には、mtgに来れなかった人に後日内容を共有する際にも、アジェンダがあれば内容をわかりやすく順番に伝えることができます。

タイムマネジメントをするというのは、実際のmtg中の話です。ついつい熱が入りすぎて、時間が後ろ倒しになり、するべきことが終わらない。というのは質の悪いmtgです。アジェンダでタイムテーブルがまとまっていると、あとどれくらいの時間で、この内容を収束させないといけないか。どれくらいは雑談をしていられるか。ということを把握しながら進行できます。これによって、目的がしっかりと時間内に達成される、質のいいmtgを作れるでしょう。


3. mtg中にすること

mtgまでの準備で、mtgの質は決まるという話をしましたが、より良くするために、mtg中にできることもたくさんあります。

ここではそんな、mtg中にすべきこと、できたら良いことを、まとめて紹介していこうと思います。

 3.0 空間をデザインする

mtgにおける、人や物の配置は、作りたい状況を作るために、とても有用です。僕はこの、人や物の配置を作りこむことを、空間をデザインすることと言っています。ちなみにデザインとは、目的達成のために、内容を作りこむことです。相手に、動いて欲しいように動いてもらうために、作りこまれたものをデザインと呼びます。

空間のデザインは例えば、人の配置や物の配置、照明の付け方やBGMの流し方、おやつを用意することなど、色々なデザインがあります。

具体的には、人の配置に関して言うと、「プレゼンをする人が端に座る方が、プレゼンをする際にスムーズだから、端に座ってもらう」とか、「ディスカッションをするときは、互いの顔が見えるように円形になって座ろう」とかがあります。

他にも僕がよく使う技としては、「アイスブレイクをして盛り上がっていきたい時は、アップテンポで陽気な音楽を流す。」とか、「緊張している人がいるときは、おやつを用意して、食べながら話す。」とか、「集中して話し合いたい時は、机の上に出してるパソコンを降ろしてもらう。」とかを使います。

是非、作りたい状況を作るために、空間のデザインでうまくできることは多くあると思うので、試行錯誤してみてください。


 3.1 議論の脱線をマネジメントする

mtg準備をどれだけ綿密に行って来ても、mtg中は、予想もしない方向に議論が進んで行くこともあります。ですがこの、議論の脱線は、悪いことではありません。むしろ僕は議論の脱線は素晴らしいことだと思っています。

なぜなら、議論が脱線すると言うことは、おそらくメンバーが主体的になって、何か疑問点を出してくれたり、それに対して考えようとしてくれているという事だからです。

もしかすると逸れた議論の中に、重要な、今後議論すべきポイントがあるかもしれないません。あるいは、逸れた議論を通してメンバーが、「今日は積極的に発言もできて、mtgに行って良かった」と思ってくれるかもしれません。なので僕は、議論が逸れることには基本的に寛容になっていたいと思っています。

ただし、脱線をし続けていては、当初の目的が達成されません。ですので、議論の脱線を管理することがリーダーには必要だと思います。そのためには、議論が脱線している時に、以下のことを捉えておくべきだと思います。

①本来その時間に議論すべきことは何なのか。(目的意識)
②今どんな風に議論がそれているのか。(論点の整理)
③この議論は本当に議論すべきポイントか。(論点の順位付け)
④いつまで議論をそらしていてもいいのか。(タイムマネジメント)

これができていれば、積極的に議論の脱線を寛容できるようになります。また、mtgとしても、「あれ、今なんの話してるんだっけ?」と言う勿体無い時間をなくすことができます。

議論が脱線した時に、できるだけ寛容しながらも、しっかりとmtgの目的は達成されるよう、バランスを見て議論を管理しましょう。先程話したmtgアジェンダをうまく使うことをオススメします。

 3.2 mtgが終わった後のイメージをもつ

上記内容を意識した結果、mtgの議論がとても盛り上がったとします。みんなが主体的に意見を言えて、次々と決定が進んでいったとします。非常に良い状態だと思います。ただその時、議論が捗ってきたからこそ大切になるのが「次のmtgまでに、誰がどう動くのか。」を明確にするという視点です。

mtgの中で議論をした結果、色々な決定や、あるいは相談ポイント、課題が見つかっていくかと思います。それらに対して、誰がどうアクションしていくのかを決めていくことが大切です。そうでなければ、mtgは盛り上がったけど、終わってから、何をしたらいいんだっけ。という状態になってしまいます。

方法は簡単です。mtgが終わった後のみんなの動きをデザインするために、「TO DO LIST」を作りましょう。手順は以下の通りです。

①TO DOを全てまとめる。
②期限を決める。
③責任者を決める。

これらをmtg中に決定しながら進めていければ、mtgが終わってからも、一人一人がアクションできる状態を作れます。そして、それぞれのTO DOが達成されることに責任を持って、mtg後も責任者をサポートしましょう。

 3.3 議事録を作る

もし余裕があれば、mtg内容を議事録に残しましょう。アジェンダを作っている場合は、そのアジェンダに、議論の内容をメモするスペースや、決定事項をメモするスペースを作っておくと、アジェンダがそのままmtg後には議事録になるので便利です。

この議事録は、大きく2つの使い方ができます。1つは、後からmtgの内容を確認することです。これは当たり前だと思います。大切なのはもう1つの使い方です。それは、mtgに来れなかったメンバーへ内容を共有する資料にするという使い方です。

リーダーは、mtgに来てくれている人はもちろん、これていない人のことも考えておくことが大切です。僕は、その場にいないメンバーをどれだけ頭に思い浮かべられるかが、リーダーのキャパシティだと思っています。

mtgにこれていない人は、もちろん予定があったという場合もあると思いますが、単純にmtgに足を運ぶだけのモチベーションがないという人も少なくはないはずです。そんな人への共有をおろそかにしてしまうと、もっと組織に関わりづらくなります。

ですので、mtgにこれていない人こそ、丁寧に共有することを意識しましょう。そして、次回はmtgに行きたいと思ってもらえることを目指しましょう。

 3.4 肯定する雰囲気づくり

3.3までの内容は、プロジェクトのマネジメントという点においてとても重要でした。生産性をあげ、プロジェクトを遂行するために重要なことです。ただ、関係性を作り、良いチームにしていくためには、この内容が大切だと思います。それが、肯定する雰囲気作りです。

目一杯考えて、反対されるかもしれない恐怖に打ち勝って、必死に発してくれた意見に対して、否定から入っては絶対にいけません。内容の良し悪しに関わらず、感謝から入るべきだと思います。だから第一声は、「言ってくれてありがとう。」であるべきだと思っています。

これは、意見を肯定するということではありません。その人の姿勢や努力、存在を肯定するということです。そうやって互いの存在を肯定し合う雰囲気を作り出せれば、心理的安全性の高い空間ができ、たくさんの意見が飛び交うmtgになるでしょう。また、ここで良い関係性が生まれれば、組織の中に居場所ができて、チームにいることがどんどん楽しくなっていきます。これがいいチームを作っていくという上では、一番大切なことだと思っています。

 3.5 場所に感謝をする

最後に、mtgができているのは、場所を貸してくれている人や、そんな場所を認めてくれている地域の方のお陰です。

汚いまま、mtg場所を出るとか、mtg中に大声を出すとか、その場所を貸してくれている人が悲しむようなことはしないようにしましょう。

仮に、その場所を貸してくれている人の意向や想いをほって置いて、mtgをしているようでは、次はmtgをさせてもらえなくなるかもしれません。ましてや、そんな相手の事を想像できない人の集まりに、イベントの参加者さんに感動を届けることなんてできないでしょう。

関わってくれる全ての人に、応援してもらえるように、常に感謝の姿勢を持つことが大切です。

4. また来たいと思ってもらえる様に

たくさんのことを書かせていただきましたが、まとめると、これだけです。「また来たいと思ってもらえるmtg」を作られたかどうかが全てです。

それさえできていれば、自分が仮にmtgにいけない時でも、メンバーがmtgを作ってくれるような組織になるでしょう。

そうやって、相手が割いてくれた時間に応えようとするスタンスを、mtgで体現できていれば、イベントそのものも本当に素敵なものになるはずです。イベントだって、結局は人と人とのやりとりなんですから、目の前のその人の期待に応えられるかどうかが全てです。この章の最初で話した、mtgがよければ、いいイベントになるというのはこういった理由です。

5.次章へ

長い文章を読んでくださり、本当にありがとうございました。どれも本当に大切ですが、一気に全てを実践することは難しいかと思います。

まずは、大事だと思ったものを、1つでも2つでも、意識してmtgを作ってみてください。それの繰り返しで、どんどんいいmtgが作れていくのだと思います。


次の5章(運営用SNSの使い方)では、オンラインでのコミュニケーションの取り方について話していきます。

mtg以外のコミュニケーションは基本SNSです。そのSNSでのコミュニケーションを最大限いいものにするために、どのSNSを使えばいいのか。どんな風にコミュニケーションを取ればいいのかについてお話します。


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