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【易爺】の歳時と易辞:『寒露』 鴻雁来る 風山漸䷴の上九

【易爺の10月8日の日筮】風山漸䷴の上九:

10月八日【日曜日】の【易爺】の日筮は、三変筮法で
風山漸䷴の上爻でした。

鴻〔おおとり〕・逵【キ・おおじ・くもじ】に漸【すす】む。その羽【はね】を用いて儀を爲【な】すべし。吉【きち】。〇象曰〔しょうにいわく〕:その羽を用いて儀を爲【な】すべしの吉は、乱れるべからざるなり。逵【キ】とは雲路【くもじ】のこと、鴻【おおとり】も初爻から徐々に進んで上爻まで来て空高く飛び上がった。鴻の飛ぶ姿は列をなして乱れず整然としている。人間も、これに倣って人道の儀法とすべきである。

鴻・逵【キ・おおじ・くもじ】を漸むと雁行・鴻雁来る

奇しくも10月8日は二十四節気の『寒露』、七十二侯の『鴻雁来る・・こうがん・きたる』、”雁行”の季節です。
鴻【コウ・おおとり】という字は「江【コウ】+鳥」に分けると、江【コウ】は音読みの声符であり、”江【コウ】”は揚子江、”河”は黄河をあらわす字です。江【コウ】は広大とか高大とか、広く高い大きいという意味があり、揚子江つまり”長江”の江【コウ】の”工”は端から端まで”長~い”という意味です。
 その鴻が逵【キ・おおじ・くもじ】の雲路【くもじ】の遥かかなたを目指して、列をなして整然と飛んで行くすがたは、南国生まれの【易爺】の憧れの光景です^L^

加藤大岳先生校訂の『易占の神秘』の【占】・・占考例・・には:


〇富貴に安住して齢も長かるべし・・富貴にめぐまれ安楽に暮らせ、長生きするでしょう。
〇満つることを知りて俗念を脱するがよし。・・・なにごとも足るを知って名誉・利益などの欲念・邪念から脱する・逃れ抜け出すように、かな^L^
〇後世に至るまで、その行いが儀則とされる・・・後の世までも・死後もあなたの素晴らしい生き方が人々の目標・典例とされるようになる^L^
〇この爻は易六十四卦の爻・384爻のなかでも稀に見る善き爻なり^L^

漸の上九には水山蹇の(あしなえ)足難みの卦が伏しています。

ところが、漸の上爻に伏するのは、水山蹇〔すいさんけん〕䷦・”蹇〔けん〕は難なり”・困難の卦です><;
卦象【かしょう】からみると冬山の遭難、連休など急に冷え込んだときの山の遭難のときによく顕れる卦です。


水山蹇〔すいさんけん〕の卦象【かしょう】は上卦・前方の☵坎難をみて内卦☶艮で止まる・・・艱難〔かんなん〕・危険を前にして動きを止める、と意があります。また、冬山の象にみて氷のクレパスを前にして止まる・・・卦の字から見ると、水山蹇〔すいさんけん〕の蹇〔けん〕は、寒の二水【にすい】・”冫【ヒョウ・こおり・氷】”が”足”に変わった字・・足が凍傷になる、という意味です。

水山蹇〔すいさんけん〕の卦象【かしょう】は上卦・前方の☵坎の難【なやみ】とをみて 内卦☶艮で止まる・・・艱難〔かんなん〕・危険を前にして動きを止める、と意があります。
また、冬山の象にみて氷のクレパスを前にして止まる・・・卦の字から見ると、水山蹇〔すいさんけん〕の蹇〔けん〕は、寒の字の下にある二水【にすい】つまり ”冫【ヒョウ・こおり・氷】”が”足”に変わった字・・足が凍傷になる、という意味です。


8日のあさ、朝日岳の遭難事件を知ったときは、ショックでした。

䷴風山漸の上九に伏する䷦水山蹇を心配していたのです。
逵【キ・くもじ】の雲路にも、
”鴻の其の羽を用いて儀と爲す可し【べし】”
の儀にも、葬儀の意味が含まれているのです。

秋の行楽シーズンの登山が、暗転した。那須町湯本の朝日岳で7日、男女4人の遺体が発見された山岳遭難事故。・・・・・後略・・・・・・

・・・この漸の卦は、山好き自然好きの【易爺】の好きな卦のひとつですが、好き嫌いに関係なく、すべての卦にいろいろな意味が含まれています。

・・・その多くの象意【しょうい】の中から、どれを選んで占考するか、そこが易の妙味です。
・・・この漸の上九鴻漸于逵の”逵”の易辞と卦象には、このほかにも興味深い意味が含まれています。次の機会にお話しします^L^


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