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マイネ王を、誰もが楽しめるコミュニティにするには?

Intro:8年目のコミュニティサイトが取り組む「新たな課題」

初めまして。PLAIDのプランニングチーム CX Planning Unitの天田です。「ファンとの共創」や「コミュニティサイト」などのキーワードを聞いたことはありますか。ここ数年で特に聞く機会が増えた、と感じている方も多いのではないでしょうか。では、そんな昨今の状況から遡ること8年前、2015年から続くコミュニティサイト「マイネ王」をご存じでしょうか。8年の間にユーザーと共に成長してきたマイネ王が、今回新たな課題に取り組みました。CX Planning Unitが並走させていただいたプロジェクトについてご紹介します。


Challenge:マイネ王を、誰もが楽しめるコミュニティにするには?

マイネ王は、2015年に格安スマホ通信サービス「mineo」のコミュニティとして誕生しました。スペック比較や価格競争に陥りがちな業界において、ユーザーとの心理的なつながりを作りたいという想いから生まれたコミュニティです。オンラインでは、スタッフ(社員)が情報発信するスタッフブログや、ユーザー同士でスマホに関する疑問を解決するQ&A、ユーザー同士が自由に交流する掲示板などがあり、ユーザーとスタッフ、ユーザー同士が積極的にコミュニケーションを図っています。特にコアユーザーは、全国各地で実施される「オフ会」でスタッフや他のユーザーとmineoの現状や今後についてディスカッションをするなど非常に熱量が高いことで知られています。マイネ王も、そのようなコアユーザー向けの施策をこれまで主に実施してきました。

このようにマイネ王に対する熱量が高いコアユーザーがいる一方で、まだマイネ王への関わり方が限定的なライトユーザーも存在します。例えば「登録のみ」のユーザーや「閲覧のみ(自らは特にアクションをしない)」のユーザーです。ライトユーザーは、マイネ王ユーザー全体の中で、大きなボリュームを占めています。そこで、オプテージ様ご担当者様とCX Planning Unitメンバーが一つのチームとなってユーザー理解を深めるプロジェクトが始まりました。その根底には、ライトユーザーにもマイネ王の魅力をお伝えしたい・楽しみ方を知っていただきたいという想いがありました。これまでコアユーザー向けの施策に注力してきたマイネ王が、誰もが楽しめるコミュニティになるための第一歩とも言えるかもしれません。KARTEに蓄積されたデータを活用しながらユーザー分析をしていく中で、8つのユーザーインサイトを発見しました。以下でその一部をご紹介します。


Insight①:「相談から雑談へ」ユーザーの楽しみ方が広がっていく。

マイネ王にはユーザー同士がやり取りをする「掲示板」が2種類あります。一つは、ガジェットやIT関連についてのやりとりがされる「モバイル/IT掲示板」です。もう一つは、料理・音楽・スポーツ・写真など、さまざまな趣味についてやりとりがされる「交流スペース掲示板」です。

ユーザー分析の結果、マイネ王への来訪頻度が低いユーザーは「モバイル/IT掲示板」を見ているという傾向がありました。IT関連で疑問や質問があった際に、掲示板に答えがないか調べるような使い方です。一方、マイネ王への来訪頻度が高いユーザーは、「モバイル/IT掲示板」に加えて「交流スペース掲示板」をみる傾向がありました。ここでは、趣味の話題で他ユーザーとやりとりをしたり、大喜利をして盛り上がったりと、他ユーザーとの積極的な関わりが多く見られました。モバイル/IT掲示板のように疑問を解消したい、という明確な目的があるわけではないのですが、それゆえ話題が尽きない「終わりなき雑談」が繰り広げられていたのです。

以上から、交流スペース掲示板が、マイネ王を楽しむためのきっかけになることが分かりました。そこで、モバイル/IT掲示板を見ているユーザーさんに、交流スペース掲示板をご案内する施策を考えることになりました。と言っても、交流スペース掲示板で雑談しませんか?趣味について話しませんか?と言われたら多くのユーザーが戸惑うはずです。もっと自然に、交流スペース掲示板の存在を伝えることはできないでしょうか。

そこで私たちが着目したのが「年始」というタイミングです。多くの人が「今年一年をどう過ごしたいか、どう楽しみたいか」と抱負を考えるタイミングを活用して、交流スペース掲示板をご案内をすることにしました。具体的には「今年、楽しみたいことは?」という問いかけから始まる「投票施策」になっています。ユーザーは4つの選択肢(料理・写真・音楽・スポーツ)から一つを選択することができます。すると昨日までの累積回答結果が表示されます。さらに、4つの選択肢それぞれに関連する掲示板が表示され、実際の掲示板を見に行くことができるようになっています。この施策を通して、多くの方に交流スペース掲示板をお伝えすることができました。

誰もが楽しめるコミュニティへ ポイント①

ユーザーの楽しみ方を広げるためには、事業やサービスに直接関わる話題や相談だけではなく、ユーザー同士の雑談が重要です。また、雑談の場があることをユーザーに「できるだけ自然な形でお知らせする」ことも今回意識したポイントでした。


Insight②:「予習→練習→自習」ユーザーが機能を使いこなすまでの3STEP

マイネ王には「チップを贈る」という機能があります。ユーザーは、役に立った情報に「ありがとう!」とチップを贈ったり、面白いアイデアに「それ、いいね!」のチップを贈ったりすることができます。今回の分析では、このチップがユーザーの中でどのように始まり広がっていくかについて見えてきました。

まず多くのユーザーは「チップとは何か」を知るところから始めます。関連ページや掲示板で、その仕組みを調べるのです。いきなりチップを贈ることはできませんので、まずはしっかりと知識を得る、いわば「予習」していると言えるでしょう。

その後ユーザーは、初めてのチップを贈ることにトライします。その贈り先には「しりとりをしながらチップを贈り合える掲示板」がよく選ばれていました。なぜこれらの場所が初めての贈り先として選ばれるのでしょうか。それは「いきなり他ユーザーにチップを贈るのは緊張する」けれど「しりとりというきっかけがあればチップを贈りやすい」と思うユーザーが多いからだと考えられます。「しりとり掲示板」がチップの「練習場」として機能しているのです。

以上の「自習」「練習」を経て、ユーザーはチップについて慣れていきます。その後は、特定ユーザーにチップを贈ったり、チップの贈り方について掲示板でより具体的な質問をするなど、チップについて「自習」していくユーザーの姿が見られました。

誰もが楽しめるコミュニティへ ポイント②

どんなに便利な機能も、すべてのユーザーが最初から使いこなせるわけではありません。その機能を「予習する場」はあるでしょうか。その機能を試してみる「練習の場」はあるでしょうか。ユーザーが機能を使いやすい環境を整えられているかが重要です。


Summary:「プロセス」を観察する

「ユーザーの楽しみ方が相談から雑談に広がる」「機能を使いこなすまでには予習・練習・自習がある」というインサイトをご紹介しました。どちらにも共通するのは、ユーザーがマイネ王を楽しむための「プロセス」に関して理解を深められたということです。掲示板の閲覧回数がどれくらいか、機能の利用回数がどれくらいか、といった定量的な「結果」だけでなく、そこに至るまでのプロセスに着目してきました。

プロセスの観察をCX Planning Unitでは非常に重視しています。なぜならプロセスはユーザーの足跡であり、インサイトが隠れているからです。そしてそのインサイトを理解することが顧客体験の向上や事業成長に欠かせないのです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


株式会社プレイド 天田卓良
CX Planning Unit Strategic Planner

CX Planning Unit は、データ分析・戦略立案・体験設計に強みを持つプロフェッショナルチームです。ご興味ございましたら、こちらからお問い合わせください。


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