ラブホで清掃のアルバイトをする大学生が、青山ブックセンターで絵本「人のセックスでご飯を食べる」を販売するまでに至った話。
去年の夏、僕が運営する「ChatBase」に、一人の大学生が訪れてきました。今日は、彼女が半年間の間にクラウドファンディングで570%達成をし、全国で企画展を行い、絵本を出版して青山ブックセンターで販売をするまでに至ったプロセスをお話ししたいと思います。
僕らの会社“MIKKE”は2018年3月に無料のコワーキングスペースなのかプラットフォームなのか溜まり場なのか分からない場を作りました。機能としては24時間365日いつでも出入りできて、寝れてシャワーが浴びれて、ご飯が食べれる、まるでベーシックインカムのようなところです。
ChatBaseには150人を超えるジャンル多様なクリエイターが出入りし、様々な新規プロジェクトが生まれたり、企業の課題解決をチームを作って行なっております。詳しくは以下の記事を読んでみてください。
絵本作家“かきぬま”との出会い
去年の夏頃に会社を作って初めて、インターンシップの募集を行いました。ChatBaseの運営を担ってくれるスタッフの募集です。Wantedlyでページを出した瞬間に沢山の人から応募が来て、すぐに募集定員が埋まりました。(10名程会ったかな、、、?)
基本的にMIKKEでメンバー募集をするときは、、、
・やって見ないとわからないので、面接で落とすことはない。
・最初の契約期間は1ヶ月。
・1ヶ月後に面談を行い一緒に続けるかどうかを決める。
という形を取っているので、当時面接した人たちは全員採用しました。面談を進めていく中で、2番目に面談をしたのが“かきぬま”です。
彼女と初めて面談をしたときは、内向きで常に自信が無い様子で、自分と誰かを比較しては落ち込んでしまう、話す時も目が合わず、何か始めたいけど自分が何をしたいのかわからない。というような感じだったのを覚えています。
突然始まった絵本づくり。
当時のインターンシップにはChatBaseの運営スタッフとしての仕事。そしてもう一つ、「自分のやりたいことを小さく形にしまくる」というプログラムがありました。
①やりたいことを大小付けず、抽象的でも具体的でも良いから10個以上ひたすら挙げ続ける。
②挙げたものを僕と一緒にmtgをし、1ヶ月以内でできる形に落とし込む。
③具体的なネクストアクションに落とし込み、ひたすらやり尽くす。
④1ヶ月後に進捗を確認するmtgを行い、改善してまた取り組む。
そのプログラムのプロセスがこちらです。まさに「やりたいことRIZAP」のような感じ。
これが実際にかきぬまが挙げた一番最初のやりたいことリスト。もちろん全てできたわけではありません。とにかくやってみることに意味があるプログラムなのです。
かきぬまは、このプログラムをやりながら、別で友達のZINEを作るのを手伝っていました。その中身が、かきぬま自信がラブホテルで清掃のアルバイトをしている時に見てきたものを描いたものだったのです。
これがめちゃくちゃ面白かったし、何よりかきぬま自信が楽しんで描いていました。だから僕が「これ題材にして絵本作っちゃえば?」と言った瞬間に、かきぬまの絵本づくりがスタートしました。
題名は「人のセックスでご飯を食べる」
ラブホで清掃のアルバイトをしている主人公“やんちゃん”が、アルバイトを通して成長していく物語です。
クラウドファンディングが579%達成
絵本づくりを始めるにあたって、かきぬまが書き始めていた題材にどのぐらいの人たちが興味を持つのか知りたかったのであるTweetをして検証して見ることにしました。
そしたら想像していたよりも反応が良かったので、受注販売の形を取れば赤字を出さずに絵本が作れると思いました。そして利用したのがクラウドファンディング「CAMPFIRE」です。
そして絵本とクラウドファンディングといえば、キングコング西野さんの「えんとつ町のプペル」。この作品は、絵本をするのと同時に全国のあらゆる地域で絵本の原画展をやっていたそうです。その展示を繰り返していくことで地道に絵本を届けていったのを聞いたので、僕らもクラウドファンディングと同時に、絵本の原画展を開催していくことにしました。
クラウドファンディングや展示は本当に沢山の仲間たちが協力してくれました。サンプルの絵本づくりや最初のChatBaseでの展示を手伝ってくれたChatBaseのスタッフ、展示を開催させてくれた場を運営してるさまざまな方々、そしてクラウドファンディングの支援をしてくれたみなさん、、、かきぬま自身、本当にたくさんの人たちに囲まれていきました。
クラウドファンディングも当初の予定を大きく上回る579%達成。絵本も130冊以上売れました。
さらに朝日新聞が運営するWebメディア「DANRO」や僕の大好きなナカムラケンタさんが代表を務める「日本仕事百科」にも取材していただきました。
クラウドファンディング後のかきぬまの大きな変化。
かきぬまは、インターンを初めて半年で、クラウドファンディングを達成し、絵本も売れ、取材もしていただき、そして何より沢山の人たちに囲まれていきました。そこにいるかきぬまは、僕がインターンの面談を初めてした時のかきぬまとはまるで違う人間のようでした。
何が大きく変わったかというと、自分ではなく誰かに向かって何かをしたいと言い始めるようになったことです。
クラウドファンディングを始めるまでは、自分のことをみんなに知ってほしい。わかってほしいというような気持ちが前面に出ていました。もちろんプロセスとしてこのような気持ちは大切です。
しかしその後、支援してくれる人が増えていくたびに、この人に感謝したい、この人に本気で良い絵本を届けたい。と強く誰かのことを思って何かをしたいと考えていくようになったのです。そんな姿のかきぬまを見たときは涙が出そうになりました。すごく嬉しかった。
絵本ができあがり、青山ブックセンターで販売できることに。
そしてクラウドファンディングが終了し、再度絵本づくりがスタートした。構成から見直し、紙もデザインもこだわりたかったので、ChatBaseにも来てくれているデザイナーのラカニメタあきら氏にお願いしました。
彼女はお金はどうでも良いからと、絵本のデザインから中身の構成の見直し、紙の選定、そして印刷会社への営業までとにかくなんでも一緒にしてくれた。本当にありがとう。(ちなみに報酬はちゃんとお支払いしました笑)
そして、200冊の絵本「人のセックスでご飯を食べる」が出来上がりました。業界の方々からするとたかが200冊かもしれません。でも僕らやかきぬまにとっては本当に大きな一歩です。出来上がった瞬間はめちゃくちゃ興奮しました。
130冊はクラウドファンディングで売れたのですが70冊余ったので、この70冊をしっかりPRして色々な方々に届けられないかと思い、最近MIKKEのPRパートナーになってくれたキルタくんに協力して頂きました。
そうすると、フリーでライター/編集者をしているすみたくんに繋がり、彼に青山ブックセンターの店長の山下さんを紹介して頂き、本を30冊ほど置かせてもらうことに。さらに、すみたくんが作った「ゆとり本」の出版イベントとして企画した「THE EVE 新時代前夜祭」でも絵本を出品させてもらうことになりました。
ChatBaseはどんな人でも半歩進める、精神と時の部屋。
絵本はほとんど完売。かきぬま自身の成長。そして何よりかきぬまが沢山の人に出会い、沢山の友達や仲間に囲まれるようになりました。自ら居場所を作ったのです。
現在のかきぬまというと、次の作品をもう作り始め、ロゴや挿絵などイラストのお仕事を受けたり、プログラミングを始め、エンジニアとしてのキャリアもスタートしました。笑
ChatBaseは、どんな人でも来て良い場所です。まだやりたいことが明確でなくてもいつでも大歓迎。その想いをそこにいる色々な人たちと一緒に焦らず少しずつ芽にしていけば良いんです。
始めたいことが明確だけど何からはじめたら良いかわからないという人、何か始めたいけど何が好きかわからない人。まず僕に連絡ください。小さな半歩から一緒に始めましょう。
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