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【表現評論】スマイルプリキュア! コアレビュー Part 4 第19-24話

第19話 パパ、ありがとう!やよいのたからもの

第19話については、レビューの文章を書いても、観た私の気持ちが読んだ人に伝わるとは思えない。この記事を読まなくていいから、まずは観てほしい。

やよいの名前の由来を探して、今は亡きお父さんとの記憶をたぐる回。単身赴任などを理由に同居していないのではなく亡くなっているのは、子ども向けアニメとしては攻めた設定に思った。やよいが5歳のときに亡くなり、その前に名前の由来を聞いていたようなのだが、現在中学生のやよいからすれば10年近く前のできごとであり、なかなか思い出せない。

キュアピースとして敵と戦闘している最中に昔のことを思い出す。やよいのお母さん(ちはる)のように春らしく明るい人になってほしいという願いでやよい(弥生:3月の旧称)と名付けたとのこと。それを思い出したピースは必殺技を繰り出す。ピースサンダーを繰り出す前にピースに雷が落ちるのだが、いつもはそのときに雷の衝撃を受けていることが顔に出てしまう。しかし、今回は雷の衝撃を受けてもりりしい顔を崩さなかったピース。このような細かい違いでキャラクターの心情を表現しているのだと思う。

このレビューはストーリーを説明することに主眼を置いていない。あらすじを知りたい人は公式ホームページを調べればよい。ラムネーションのレビューにも書いたかもしれないが、実際に体験しなければわからないことはある。

第20話 透明人間?みゆきとあかねがミエナクナ~ル!?

ギャグ回。マジョリーナの道具によって透明になったみゆきとあかねがなんとか学校生活を送っているシーンがハイライト。戦闘シーンでは二人は透明化が解けるが、敵が透明で見えない点をどのようにクリアするかが課題であった。頭脳派のキュアビューティによる見事な解決には舌を巻いた。

第21話 星にねがいを!みんなず~っと一緒!!

みなで短冊を書いて星に願いをたくす。キャンディは、みゆき達と一緒にいられるようにお願いし、みゆきは星のキュアデコルを飾る。地球では織姫と彦星のおとぎ話があるように、メルヘンランドではペガサスに関する伝説があるとのこと。
現れた敵は協力であったが、みなの必殺技があわさってなんとか撃退した。そこに、ずっと強者のオーラをまとっているジョーカーが現れ、キュアデコルとキャンディを持っていかれてしまう。いよいよストーリーが大きく動き出す。

第22話 いちばん大切なものって、なぁに?

プリキュアたちが絶望する回。特にキュアピースの絶望顔は有名である。

第22話の象徴

キャンディの兄、ポップとともにバッドエンド王国へ向かうため、中継地点としてメルヘンランドに向かったみゆきたち。そこに現れたジョーカーになす術もなく敗北を喫してしまう。キャンディを助けるためにバッドエンド王国に向かわねばならないが、もしそこでも敗北してしまえば二度と元の世界に戻れないかもしれない。みゆきたちは自分がどうすべきかをきちんと考えようと、一人ひとり自分と向き合うこととなる。結論としてはキャンディだけでなくみんなの笑顔を守りたいと、バッドエンド王国へ向かうことを決めるのだった。

みゆきたちは、一見するとセカイ系のような問いに向き合っている。キャンディか、自分の生活か。典型的なセカイ系の作品では、ヒロインと世界の二者択一を突き付けられ、ヒロインをとるものが多いと思われる。一方でスマプリでは、キャンディか自分の生活かという二者択一を拒否して両方を選択する。フィクションの世界ではセカイ系が席巻していると思っていたが、こういうところで踏ん張っている作品に出会えるとは思っていなかった。思えば涼宮ハルヒの憂鬱も、原作第一巻の終盤でハルヒとキョンが閉鎖空間に閉じ込められた際、ハルヒは閉鎖空間の中で生きる(=キョンとともにいる)ことを選択したのに、キョンはそれを拒否して元の世界に戻る(=ハルヒだけでなく、他のみんなも救う)ことを選択した。キョンの選択でないとストーリーがしまらないという事情はさておき、それまで暴力系ヒロインであるハルヒに従っていたキョンが、自分の意志を通すところがすばらしい。ヒロインだけを選べば本当に自分の都合しか考えていない選択だと評価されるが、可能ならヒロイン以外も救いたいと、少なくとも私はそう思う。

第23話 ピエーロ復活!プリキュア絶体絶命!!

バッドエンド王国に到着したみゆきたちは、さっそく敵と戦闘を開始する。さすがは敵のおひざ元、敵の力は普段の戦闘よりもずっと強い。キュアハッピーはキャンディのもとへ、他の4人は敵を食い止めることにした。この戦闘では大岩を持ち上げたり氷の剣で戦ったりするのだが、これはオープニングのサビ部分のシーンの回収である。

なんとか力を振り絞って敵を倒したハッピーたちはキャンディを救出するが、悪の皇帝ピエーロの復活を許してしまう。ピエーロの攻撃に反撃もむなしく吹き飛ばされる。キャンディがプリキュアの勝利を強く願ったそのとき、第21話で少し触れられたペガサスの加護がハッピーたちに降り注ぐ。プリキュアプリンセスフォームとなったハッピーたちの必殺技、レインボーバーストでピエーロを倒すことに成功する。キャンディを救出し、メルヘンランドも救ったみゆきたち。ここでハッピーエンドを迎えるのである。……だったらよかったのになあ。
ここで第一部が終了する。何事もなかったかのように次回予告が放送され、まだプリキュアたちのがんばりを観られることに喜ぶ一方、まだ続くの~?という気持ちもある。まあ、最終決戦がこれで終わったら短すぎるからしかたないか。

第24話 プリキュアが妖精になっちゃった、みゆ〜!?

第23話で一応の山場を迎えたため、第24話は通常のテンションに戻すためのクールダウンの回である。
妖精の姿になってメルヘンランドを探検するみゆきたち。その裏ではピエーロの再復活を願う敵たちによる計画が進行していた。探検中にパワーアップした敵が襲ってくる。ピエーロに対抗したときと同様にレインボーバーストで敵を退治する。大ボスと雑魚敵に同じ最終奥義を使って大丈夫なのですか、先が思いやられますね、という疑問は女児からは出てこないから口にしてはけない。

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