第三回AbemaTVトーナメント振り返り

トッププロ12人による将棋界初のドラフト会議によって選ばれ、12チーム36人の団体戦で行われた第3回AbemaTVトーナメント。
8/22放送で決勝戦が行われ、永瀬2冠(叡王、王座)率いるチームバナナが渡辺名人(3冠、棋王、王将)率いるチーム所司一門を5勝0敗にて破り、優勝を果たした。現在の将棋ブームを牽引する藤井聡太2冠(王位、棋聖)は、この結果により、個人戦だった第1回、第2回に続いての3連覇を達成しました。

この半年間、将棋好き界隈で大きな話題となっていて、既にAbemaTVトーナメントロスになっている自身の慰めのために、本大会を個人成績に注目して振り返ろうと思います。

①勝数上位3名
藤井聡太2冠9勝(3敗)
森内俊之九段9勝(2敗)
永瀬拓矢2冠8勝(4敗)

個人2連覇を含む3連覇の藤井2冠の結果もさることながら、初出場ながら結果を残した森内九段。予選では高見泰地七段、本戦では増田康宏六段に負けたのみで、予選負けなし、本戦でも2連勝の計6連勝とノッていた広瀬章人八段に勝ち、準決勝では藤井2冠にも勝っている。永瀬2冠も優勝チームのリーダーに相応しく、要所要所で白星を取っていた。
勝率、直接対決での結果から、最多勝は森内俊之九段で文句なないでしょう。

②勝率上位3名
広瀬章人八段(.857 6勝1敗)
森内俊之九段(.818 9勝2敗)
木村一基九段(.800 4勝1敗)

予選負けなしの広瀬八段は圧巻。結局、本大会最後の対局となった森内九段戦まで負けなしの6連勝。もし今後個人戦での開催があった場合には、間違いなく優勝候補の筆頭でしょう。最多勝の森内九段の入賞は当然とも言える一方で、注目なのは木村九段。チームは予選敗退したものの予選1敗のみで、タイトルホルダー(当時)の意地を見せつけた。

③全体の感想
超早指し棋戦という特徴から若手有利と言われた大会だったが、最多勝は森内九段、勝率は広瀬八段と決して若手とは言えない二人が獲得した。はからずも、佐藤康光会長がドラフト時に仰っていた「ベテランもまだまだ強いんだというのを証明したい」というのがまさに結果として表れた形になった。 

また、この棋戦では受け将棋の適性が高いのではないかという話題にもなった。最多勝の上位3人も当然ながら、木村九段、佐藤天彦九段なども受けの棋風で、比較的受けに力を発揮しやすい振り飛車チームが予選で好成績だったことも、そう言われる理由の一つだろう。

一方で、攻めが強い棋風のトップ棋士には苦戦が見られた。準優勝チームのリーダーだった渡辺明3冠も個人としては五分程度の成績で、豊島将之竜王名人(当時)も予選敗退、羽生善治九段に至っては全敗での予選敗退となり、非常に残念だったファンも多いと思う(自分もその一人だが)。

④今後への期待
まず、第4回の開催が期待されるが、A級+タイトルホルダーとなるとリーダーのメンツに大きな変更は期待出来ない。となると選出される棋士の人選もある程度被りそうなことから、多少のルール変更は仕方ないと思う。

個人的に一番やってもらいたいのが、女流棋士版のAbemaTVトーナメント。
個人戦だった第1回は伊藤沙恵女流三段が優勝し、第2回AbemaTVトーナメントへの参加権を得たが、今度は団体戦でも見てみたい。
高見七段や佐々木勇気七段などの若手の人気プロ棋士に監督をしてもらって、3名ずつ選出、4 チーム程度の総当たり戦で1戦につき1局のみ監督が出場出来るとかのルールにしたらおもしろいんじゃないかと思う。

⑤最後に
参加された棋士の先生方、解説を担当された棋士の先生方、司会・聞き手・記録係を務めた女流棋士の先生方、本当にお疲れ様でした。
ただでさえ超早指し棋戦ということもあり忙しない上に、本戦からは生放送ということで、その苦労は我々視聴者の想像を越えたものがあったかと思います。
そのおかげで、この半年間、コロナで心が荒む中、本当に楽しく視聴出来ました。ありがとうございました。
そして、このような神企画に携わっていただいたスタッフの皆さまにも感謝の限りであります。

来週から何を楽しみにすればええんや……



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