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IT出身の老舗ハンコ屋が語る「ハンコ不要論」

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IT業界(デジタル)とハンコ業界(アナログ)の事を一定程度、理解した上で語る今回の「ハンコ不要論」。 色々と思うところがありますし、両極端の業界を経験したからこそ、見えてきた両者…
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#脱ハンコ

【2-3】ハンコはなくせるのか/ハンコ屋自身が考えてみた(本人認証編1/2)

「実印」「印鑑証明」とか、仕組み自体、良く分からない。 そもそも ・親ハンコ貰ったけど、まだ一度も使ってない。 ・家や車を買う時に業者さんに言われて数回使った このような方、案外多いのではないかと思います。 また、 ・脱ハンコになったら、実印とかもなくなるんでしょ? ・電子化したら何か不都合があるの? こうした疑問にもお答えしつつ、意外と知られていない、デジタル化の盲点などについても、この記事を読んで覚えていただければと思います。 認印を使う「意思の確認編」はこちら

【2-2】 ハンコはなくせるのか?(意思の確認編)

結論:社会がデジタル化のデメリットを許容する場合、撤廃することが可能!しかし一方で・・・ 第一章のハンコ文化とサイン文化の比較はあくまでもアナログ文化の比較でした。 これは一長一短があり、優劣をつけるのは困難でした。 ではデジタルとの比較ではどうでしょうか? ここでは、アナログ文化を用いた認証の仕組みと、デジタル技術を用いた認証の仕組みを簡単に比較してみたいと思います。 これまで出てきた以下の2つのハンコの使い道の内、ここでは「②意思の確認」について、電子化が可能かどう

【2-1】ハンコ不要論の根っこ

では、話を現代のハンコの使われ方に戻します。 ハンコには2種類の使われ方があるとこれまでの記事でお伝えしてきました。 (おさらい)--- ------- ハンコ不要論、実は「①」について語られる事は多くないんです。 不要論の多くは「②」について叫ばれます。 「役所でハンコがないと受理できないと言われた」 「ハンコが手元にないので会社に出社しないといけない」 「100円ショップで売ってるのを押すことに何の意味があるの?」 これらはある意味、当然の意見です。 世の中がど

【1-6】私が『ハンコ文化VSサイン文化』が「引き分け」だと思う理由…

サイン文化への理解をチェックしてみましょう日本におけるハンコの変遷は理解しましたが、諸外国のサイン文化との比較を最後にしておきたいと思います。 これまで、 ・日本のハンコ文化は世界的にめずらしいというお話 ・日本も昔はサイン>ハンコだったお話 ・ハンコの役割のお話 ・ハンコかサインかの大激論が巻き起こったお話 というお話をさせていただきました。 この中で日本においても、サインは身近にあった文化だという事だったという事がご理解いただけたかと思います。 一方ここでは、日本

【1-2】戦国武将がハンコを復活させたお話

なぜ再びハンコは復活したの?結論:花押を書くのが面倒だったから!? 前回のお話の中で、日本の認証史では「サイン(花押)」に置き換わっていた時期があったというお話をしました。 でも、一度衰退したはずの「ハンコ文化」が再度、復活することになりました。今回はこちらのお話です。 このハンコ復活の背景には、日本のハンコ史でいう④の時代における、 "2つの理由"が影響しています。これを見ていきましょう。 ③と④の間の時代というのは、日本の歴史の中でも苛烈を極めた時代、そう”戦国時

【1-1】なぜ日本はハンコ文化になったのか?

【正解】 B.です。 B.では10か国としましたが、実際には「3か国」です。 ハンコを使っているのは日本だけ?日本以外で採用している国は、台湾・韓国で実用的にハンコが使用されています。 案外知らない方も多いようです。貴方はご存知でしたでしょうか? ちなみに、台湾は一般的に正方形の角型が主流です。 これは台湾人が夫婦別姓が多いという点と、フルネームの文字数が日本の「4字」と異なり、「2字、3字」の方が多いという点が影響しています。 一方韓国では日本と同様に円形の印鑑が

【序章】ハンコは必要か否か?

今回のパンデミックにより自宅勤務を余儀なくされた方も多かったかと思います。その中で巻き起こった「ハンコ不要論(脱ハンコ)」。 勇気を出して、結論から申し上げます。 私は「ハンコは不要」だと思います。 業界人として、かなり思い切った発言ですので、当然のように反発があることを予想しています。 それでも今回の不要論について、いち「ハンコ屋」としての意見を正面からぶつけることは、現代を生きる人々にとって有意義なことではないかと考えて今回の記事を書くことに決めました。 この結論に至