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テスターレポートを読み解こう!!

たまたまいわちゃんが投稿してた内容が目に入ったのでそれについて書いていきます。

いわちゃんの投稿

これを見てたしかにテスターレポートはわかりにくい部分多いよなと率直に思いました。僕自身もテスターレポートは嫌いでアナライザーソフトかExcelを使用して数値分析をしています。

特に今回の内容は3種類のバックテスト結果が存在していて、それぞれ一部分を切り取った内容になっています。赤字の部分はごまさんが書き込んだものなのでこれはテスターレポートには出てきませんのでお間違いのないように。

切り取りをしているといってもテスターレポートとはなんだ!?って人もいると思うので説明します。テスターレポートとはFX自動売買(EA)をMT4を使用しバックテストを実施した際に出力されるものです。

参考にテスターレポートを置いておきます。

大体、画像で切り取るときは以下のような画像が多いです。

テスターレポートの数値項目

一方、今回のテスターレポートがこちら↓

ごまさんのテスターレポート

なんとなく違いはわかったでしょうか?

見本のテスターレポートで比較するとこんな感じ

通常のテスターレポート
見えていない項目を黒塗り

必要かどうかはさておきなんで見れないんだろうという素朴な疑問はわきます。

ちなみにごまさんのテスターレポートは3種類で1枚の画像になっています。
黄色枠のところで切り取りされているのは通貨ペア、期間、モデル、パラメータです。

通貨ペアと期間に関しては赤字で記載がありますのでおそらくそれであっていると推測してよいでしょう。ただし、期間の10年がいつを指しているのかは不明です。せっかくならそこの部分もテスターレポートで表記されているのでそのまま掲示してもらえると良いなとは感じますね。
しかし、この画像でも判断のできないLot設定について記載があるのは易しいですね。また通常のバックテストで出ない、リカバリーファクターの数値も出ていますね。それ故にその易しさを全面に出してほしいなと思います。

そういったことから例え文字記載されていたとしてもそれが正しいものだとは言い切れないのでそういった情報には気をつけましょう。

次に上の2種類のバックテスト結果です。
これに関しては著しく情報が欠陥しています。EA慣れしている側からするとこの結果は同一EAでLot設定を変更したものだと推測ができます。

しかし、これはあくまで個人的な自己解釈です。
この自己解釈こそがFX業界では致命的になりえるので裏付け確認は必要です。そうした場合、このテスターレポートから読み取れることはほぼ皆無なのでしょうか。しっかり読み込んでみたいと思います。

まず、同一EAのバックテスト結果なのか??

ごまさんのテスターレポート

赤枠のテストバー数に注目!!
どれも同じ数値をしていますね。このテストバー数とはバックテストの際に読み込んだチャートバー数を表します。今回の数値は『3,726,395』。そのことから同一EAで取得したバックテストだと推測できます。今回の場合は同一EAだと思って間違いないでしょう。

ちなみに時間足は1分足でバックテストを取っているとも推測ができます。※詳細は割愛

次にモデリング品質

ごまさんのテスターレポート

赤枠の部分がモデリング品質です。
これは簡単に言うとバックテストの精度を表します。MT4では最大で99.90%。この数値が高いと信頼のおけるバックテストデータとも言えます。今回のバックテスト結果も数値は99.90%なので問題ありません。
しかし、他の2種類にはその表記が確認できないため断言はできませんが同じものだろうと推測できます。このだろうが危険なのですが.…

モデリング品質に関しては99.90%のバックテスト結果を参考にするように心がけておけばまずは無難です。

簡単ではありますがこのように情報が欠けていてもある程度は読み解いていくことが可能です。しかし、初心者の人にはこれだけ見ても中々わからない、正規のテスターレポートですら理解が難しい人が多いのかなとは思います。

とは言え、こういったデータを読み解くスキル、いわゆるリテラシーを上げていく必要が利用者側には求められます。情報が親切、不親切関係なく自身のリテラシーを上げることで想定のしてない事態を避けることができます。ある意味、自己防衛のためにも必要なスキルとも言えるでしょう。

ここからは見えるデータだけを見ての個人的見解を述べていきます。
先にお伝えしておきますがEAの評価はバックテスト結果のみでは測れません。しかし、実績が公開されていない以上あるものだけで考えるしかありません。

結論から言うと..…
このEAはおもちゃとして使うなら問題ないと思ってます!

理由は提供がプレゼントなので実質コストがかからないこと。少額からでも使用できるためEAというものを知ってみたいと思う訓練、体験EAとして使用するなら問題はないかと思います。

しかし、本格的にこのEAでバックテストデータ通りの利益を稼ごうと考えているのであればそれは幻想です。
その理由を述べていきます。

単利のバックテスト結果を参考にした場合、素直に働いたほうが良いほどの金額。
データを見ると固定0.1Lot 期間10年で利益が167,172円となっています。年間にすると約16,700円 月だと約1,400円です。初期証拠金が1万円での結果なので資金量を増やし、Lotを上げれば比例して利益も増加します。

10万円なら固定1Lot、100万円なら固定10Lotという感じです。

比較表

こうして見ると10万円から開始できるとすごくいいかもしれませんね。
100万円もあればすごく楽しい日々が過ごせそうな気がします。

しかし、ここで落とし穴があるので気をつけてください。
実はこのEA、このまま稼働させるとほぼ破綻してしまう恐れがあります。

ごまさんのテスターレポート

赤枠に注目してください。
これはバックテスト上で起きた連敗数とその負け金額です。

数値上では6連敗、金額は-9,509と表記されています。
さて、ここで振り返りましょう。このバックテストは初期証拠金いくらでしたか??

そうです。初期証拠金は『10,000』でしたよね。
ということはタイミングによっては約95%の損失が発生しているということになります。先ほど資金を大きくしてLotを上げれば理想の利益が出ると試算しましたが95%の損失が起きる可能性のあるEAに100万円はつぎ込めないでしょう。となるとスタートの初期証拠金を上げつつ、Lotも従来より控えめに設定して稼働をしないといけません。今回の0.1Lot運用なら最低でも30,000あればひとまず問題ないように感じます。

ということは先ほどの試算も全て1/3で考えたほうが現実的となります。

このように利益にだけ目を向けるのではなくリスクがどの程度潜んでいるのかを見ていくことはEA選定においてすごく重要です。

とは言ったものの今回のEAはこの状態から『ごま式資金戦略』といったものを使用していくのが前提となっているようです。なので見ていくデータはごまさんテスターレポートの左上の項目になります。

ただ、肝心な情報が全く見えないんですよね。。。
なのでこれに関しても見える限りで考えていくしかありません。

テスターレポートでの『ごま式資金戦略』は10,088,429円、複利で5,604,499円の利益が初期証拠金10,000円で到達しています。

複利の力、恐るべしですね。
ごま式資金戦略も複利の倍近い利益ですごい数値を出しています。1万円からここまで増えるのならめちゃくちゃいいと思うし本当にそうならぜひ使ってみたいです。

しかし、個人的にこの数値は非現実的、幻想だと考えています。
なぜならテスターレポートによる複利稼働結果は再現性に乏しいからです。

理由は単純です。10年の期間ずっと複利運用した結果だから。
年数が重なるほどに証拠金が増えていきそれに伴ってLotが上がるので利益も大きくなります。

わかりやすくするために画像で比較します。

11年間、複利稼働を続けた場合


1年ごとに証拠金をリセットして複利稼働を続けた場合

①枚目の総損益は『3,861,416』
②枚目の総損益は『1,740,821』

同じ複利運用なのに比較すると倍以上の差が出ています。
1年後に証拠金を元に戻してのバックテスト結果
一切出金をせずに試算したバックテスト結果
どちらが現実的なのかはもうお分かりだと思います。


こうしたことから複利のバックテスト結果には注意点が大きくなります。
今回のパターンの欠点は大きく3つです。

①10年間、出金することなく稼働が難しいこと
②最大Lotの制限があること
③Lotが大きくなることで別の問題がおきること

①は10年間出金なしは非現実的でしょう。
確実に出金はしたいですししないと別のリスクも孕んできます。

②はブローカーによって最大Lot数が決まっています。
例えば1万円に対して0.1Lotの比率で増加した場合、500万円だと50Lotです。
最大Lot数が30Lotだとしたら実稼働では注文ができないことになります。

③はLotが大きくなると別の問題がおきること。
Lotが大きくなるとスリッページも大きくなり、BTとの乖離も大きくなります。これは②も同様です。

そうしたことから今回のバックテスト結果には信憑性が低い点が多く、利益の額面だけを受け取ってしまうとこんなはずじゃなかったということに繋がりかねません。

ごま式資金戦略についても同様です。
複利とは違ったやり方なのでしょうがLotサイズを可変しながらやっていく方法だと推測できるので先ほど同様の問題が起きる恐れが非常に高いです。

こうしたことから今回のEAはリスク面が考慮されておらず、不透明な情報が多いのでパッと見える数値だけで適切な判断が難しいなと感じます。BTデータしかないのも難易度をまた上げます。

なので、最初に伝えたとおりおもちゃとして使うのであれば問題ないという結論でした。

仮に1万円から1,000万円を夢見た人は改めてお勉強をしましょう!!

正直、不親切なデータ情報ですがそれだけでも読み解こうと思えばある程度は推測は可能です。今回の例を元に少しでもテスターレポートの見方を理解してもらたのなら嬉しいです。

ちなみに、いわちゃんが言っていた岩ライザーFXだとこんな感じです。

テスターレポート


岩ライザーFX

同じEAのバックテスト結果ですがどちらが見やすいでしょうか?
個人的にはテスターレポートより岩ライザーFXだなと思ってます。

もちろん、岩ライザーFXも勉強が必要ですが視認性はすごく良いと感じます。先ほどの複利比較といったことも可能なのでいわちゃんがなぜ岩ライザーFXのレポートでなくてテスターレポートなのだろうといった疑問もわからなくありません。

せっかくなら見やすいデータで見たいところですがこればかりは発信者の自由ですので仕方がありません。私たち自身が与えられた情報を読み解く力が必要だと考えてます。

という感じで簡単ですが以上でテスターレポートの説明は終わります。
長文で拙い文章を読んでいただきありがとうございました。

僕が伝えたいのは受け手側は賢くならなくてはならない。
情報とは様々な形で発信されていてその受け取り方を誤ると一気に不利益を被ることになります。そうした誤認を生ませる手法はいつの時代にも存在しているので自身の資産を使って挑む世界ではよりシビアにより賢く生きていきたいものですね。

また、受け手側のリテラシー向上こそが業界の発展、健全化にも繋がると考えてますのでなにかのきっかけになれること願っています。

最後に
今回の話はたまたま見かけたことから発信した内容であるためEA批判といったものではありません。ただでさえ小難しいテスターレポートを切り取られた状態でも僕ならどう読み解くか?そしてどう判断するのか?といった内容ですのであしからず。


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