中学校教諭がEXITを応援する話
ネタジェネバトルのEXITさん、面白かったですね。
録画して何回も見ています。お二人ともお元気そうでなによりです。ナイツさんに対して生で見て興奮していると発言する兼近さんマジ天然人タラシ。最高。
さて、このnoteでは、EXITさんを見て、応援したり心配したりする文章を投稿しようと思います。
私が最初にEXITを知ったのは、彼らの漫才でした。
それも、担任するクラスの生徒が文化祭のステージで披露した、いわゆるモノマネ。間の取り方も言葉のイントネーションもまったく拙い、田舎の中学生がネタ番組を録画して、一生懸命ネタを暗記して保護者の前で披露したもの。
それでも私はその漫才の言葉の選び方や構成にすっかり感心してしまい、リハーサルをする生徒を見ながら「すごい!おもしろい!」「これ、絶対うけるよ!!」と絶賛しました。今思えば、EXITのネタなんだからウケて当然なんですが、当時はまったくネタ番組やバラエティ番組を見ていなかったので、「ネオ渋谷系漫才」がものすごく新鮮だったのです。生徒も(この先生EXIT知らないの?)と思っていたことでしょう。
この中学生の文化祭の話は、EXITさんとは少しずれるのでここでは割愛しますが、そのうち書くと思います。
さて、そんな出会い方をした「EXITの漫才」ですが、きちんとご本人達のネタを見たのは今年の1月。冬休み中のことでした。
ふと、そういえば文化祭で見たあの漫才、本物はどんなんだろう。と思い、ネットで調べてみたのです。なんとYouTubeに公式チャンネルがあるじゃないですか!なんて便利な世の中になったのでしょう。
さて、じっくりと見た感想は。
漫才、コント、どれもおもしろい!!
ゆったりとしたツッコミが、私のような若干HSPの気がある人にとって、すごく心地いい。言葉の使い方というか、本当に「言葉」が気持ちいい。ちょうどいい。ずっと聞いていられる。声もいい。聞き取りやすい。
他にも、いろいろな企画動画があり、EXITのお二人は芸人らしくわちゃわちゃと楽しそうなことをしていらしっしゃる。大変ほほえましい。
そんなわけで、冬休みの夜を動画観賞で過ごしていたわけですが。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
え?
この若い子・・・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!???
うわ!!!書き順、こっっっっわ!!!!!!
よく見たらこの子常に動いている!!!!!体が揺れてる!!!!!
足が!!!がたがた動いて止まらない!!!!!
三角形の!!!内角の和が、分からない!!!!!!!!
アルファベットがおぼつかない!!??
九九ができない!!!????
もしかして、この子はどの学校どの学級どの学年にも一人はいる、非常に手のかかるタイプのお子さんなのでは・・・・・!!!!!
支援しなければ(使命感)
(余計なお世話)
ものすごい勢いで兼近さんに興味が湧き、動画を漁り、その後、たかまつななさんとEXITさんの対談動画を見て号泣していました。
すべてがすとんと腑に落ちて、心の底から「この人が、こういう人が幸せに生きていけるような社会にならなきゃいけないよぉお!」と思いました。深夜のテンション。
幼少期兼近さんのあまりのアレな状態に、お門違いな罪悪感まで覚える始末でした。私が四苦八苦しながら小学生に図工を教えていたまさにその同じ時期に、同じ札幌市内にあんなにも生きづらさをかかえながら懸命に生きていた少年がいたなんて。大学は地元に住む小学生の貧困も非行も発達の偏りも、何も教えてくれなかった。90年代当時。
同時に、文学のもつ底力に、脱帽しました。
ピース又吉さんの本が兼近さんの人生を変えたというエピソードに、文学とは、本当に人生を変えるんだと実感しました。うちのクラスの生徒、ラノベしか読まないけど。みんな、文学読んで!図書室に「火花」あるから!!(あと、学級文庫に置いておいた、「第2図書係補佐」は3年前から紛失中。誰だ、勝手に借りていってパクったやつ。先生怒らないから名乗り出なさい。)
少し自分のことを書きます。
EXITさんの動画を見ながら、結局何もできないまま卒業させてしまったかつての生徒たちを思い出していました。担任は、初めは一生懸命かかわっているけれど、繰り返される暴言と授業妨害と、周囲の「あの先生指導力ないよね」的な冷たい視線に疲れ果ててしまう。彼らは学校に来なくなり、家庭訪問してもめったに会えず、たまに来れば金髪ピアス姿ですぐ下校させられる。今思えば、服装なんかどうでも良くて、学校に来ただけで「よく来たね」と言って迎え入れれば良かったのに。
(もちろん中学校時代の兼近さんが暴言吐いたとかそんなこと言ってるわけではありません。兼近さんのあのギャル男プリクラ見ると思い出すってだけの話です。)
兼近さん、テンプレ通り過ぎて逆によくそこから人生立て直したもんだと尊敬する。すごい。かっこいい。中学校教諭、新川の元ヤンに完全敗北です。
EXITさんおふたりが、笑いながら漫才をしているさまを見ると、たとえ学校に来なくても、学校文化という日本に強固に根付く窮屈で不可思議なルールからはみ出しても、生きていける人がいる、と思える。むしろ、窮屈な学校文化に染まって息苦しい私たちを、軽く飛び越えどんどん新しい価値観を発信していく姿がとても心地よい。
卒業していったあの生徒たちも、もしかしたらどこかで何かに出会って人生が変わって今は結構幸せに生きているかもしれないと、少し穏やかに思い出すことができる。
兼近さんは、ブラックな職場で今日も働くしがない中学校教員の希望になりました。
同時に、もうどうしようもなく「支援しなければ」というやっかいな職業病に侵される、魅力的で危なっかしいヤンキーだということに気が付きました。今はあんまりヤンキーって言わないですよね。「やんちゃな子」とマイルドに表現するけど。
大きな声で言わないだけで、EXITさんを応援している学校関係者は多いのではないでしょうか。そして、兼近さんのあの衝動性や多動性や漢字の書けなさや視覚認知上位過ぎるところを、身近な生徒に重ねてやきもきしながら、どうしようもなく愛おしいと思っているんじゃないでしょうか。
そんなわけで、中学校教諭はすっかり兼近さんの元担任のような心境で(本当にすみません、思い上がりも甚だしいのですが)心の中でひっそりと応援したり心配したりしているのでした。
「ちゃんとひな壇でガタガタ動いてる自分に気が付いて、じっとしていられるようになったの、偉いねえ!」とか言って。
ちなみに、教員にとって生徒会役員にも相当いろいろ言いたいことがあるのですが、元生徒会長のりんたろー。さんについてはまた後程書きたいと思います。ちなみに冒頭の文化祭でEXITさんの漫才を披露した中学生は「生徒会役員」と「休み時間一人ぼっち」のコンビでした。
明日もEXITさんが元気で健やかでありますように。