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ハピネスは常識を超える

渋谷道玄坂といえば、名物と言われるくらい駐禁取締り区域だ。 そこに30分でも停めていれば、チョークで印がつけられる。 切られる覚悟で停めるといった方が正しいくらいだ。 

僕に最初に与えられた仕事は、駐禁を見張る係だった。MくんのベンツとKくんのレクサスと社員のキャデラック、三台の鍵を持たされ、切符を切られないように見張ること。 駐禁車前出し業務に慣れて来た頃、いつも通りミニパトが来てそこに向かおうとした時にMくんがこう言った。「おまえそれでいくの?」「はい。」と答えたら、「その格好じゃあ取り締まれないだろ?」え?またもや嫌な予感がよぎる。Mくんがそこにあるよと言った指の先を見ると、ミニスカポリスの衣装がある。ぼくは放心状態になり無意識に手に取った。

 きつめの衣装にどうにか体を押し込んでMくんの前に登場すると、笑いをこらえながら満足そうな顔をして取引先へ行く車に乗り込んだ。 ミニパトが見てくる、こちらも婦人警官を見る。僕は婦人警官にこう言った。「あんたたち今日から私があんたの上司にあたるミニスカで渋谷を守る!変態婦人おじさんよ!チョークはもっと太く、自分を出して遊びじゃないのよ!」僕は彼女たちの上司になりきった。 その日が来るたび、僕が降りていき逆に婦人警官を取り締まる日々を繰り返すうちに僕たちはかなり仲良くなっていった。 婦人警官から「上司遅いわよ!」と言われるくらいに仲間意識が芽生えていたのだ。 その日から部下達は少し時間がオーバーしても見逃してくれることもあった。

 僕はこの時ノリとはチャンスを掴むためにある。常識を超えた所にハピネスがあり、普通のピントでやっていれば彼女達も通常通りの設定が狂うことはなかっただろう。 まさにこれが洗脳ではないだろうか?ここで学んだのはノリだ。そしてこの方程式が社会の方程式だ。シリアスにシリアスを足せばビックシリアスになる。シリアスが来たらハピネスで返すそうとすれば答えは変わる。

 君たち社会人はただシリアスに対しシリアスで返しているだけなことに気付いて欲しい。 常識を超えたところにひとつの人生のチャンスがあるのだ。 

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